抗議団体「ヘリ基地反対協議会(反対協)」の新事実が発覚

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 基地建設反対運動が続く沖縄県の辺野古沖で3月16日、抗議団体「ヘリ基地反対協議会」が運航する小船舶2隻が転覆。研修旅行で乗船していた同志社国際高校2年生の武石知華さん(17)と船長が犠牲となる痛ましい事故から2か月が過ぎた。

【動画】辺野古ボート転覆事故・反対協幹部が中国共産党“宣伝機関”配信動画に登場 中国人記者を船に乗せて周辺海域を案内し、当局から警告を受けていた

 団体側の対応に批判が集まるなか、新事実が発覚した。同団体の事務局長が、中国共産党の宣伝機関の記者を船に乗せ、辺野古基地の周辺海域を案内していたのだ。中国事情に精通する紀実作家の安田峰俊氏が、その全貌を伝える。【全3回の第2回】

対日バッシング記事を担当する"プロパガンダの女王"

 一方、脇の甘い抗議団体を利用した中国人記者団を率いていたのが、冒頭の動画でも登場した邢曉婧氏(シンチャオジン)という女性だ。

 彼女は取材の成果をもとに、今年1月から『環球時報』で計4回の沖縄大型ルポ「琉球紀事」を展開。反対協の東恩納氏のほか、琉球独立団体の発起人や沖縄靖国訴訟原告団長の陶芸家らの意見を多数取り上げた。記事にいわく「約40人」に接触したという。

 邢氏はどのような人物なのか。本人を知るブロック紙の元駐北京特派員が話す。

「名古屋大学(大学院)に留学歴があり、日本語は非常に流暢。人懐っこいタイプで、北京の日本人社会に手広く出入りしていた。日本人の特派員で、彼女を知らない人はモグリに近い」

 だが、こうした人当たりのよさは、あくまでもオモテの顔だ。

 彼女はこれまで、熊本県の長射程ミサイル配備や自衛官の中国大使館侵入事件など、安全保障関連の問題が起きるたびに来日。中国視点の記事を量産してきた。

 さらに2024年には、当時の中国が対日世論戦の材料にしていた福島原発の処理水排出批判の関連記事を発表。党の中央宣伝部(プロパガンダ部門)が主催する記者賞を受賞し、中国各地を講演行脚している。まさに"プロパガンダの女王"とも呼ぶべき人物だ。

沖縄記事の肩書は「赴琉球特派記者」

 事実、昨年11月の高市早苗・首相による「台湾有事」発言で日中関係が険悪化してからは、対日バッシング記事の筆者としてしばしば登場。外務筋によると「『環球時報』の日本記事は、ほぼ彼女が担当」しているという。

 中国共産党はなぜ、こうした世論工作のスペシャリストを沖縄に送り込んできたのか?

 背景にあるのは、中国による情報工作や沖縄県庁への接近などで近年激しさを増している、「対沖縄工作」だ。

 この動きは2023年6月、習近平・国家主席の「琉球」に言及する発言を契機に活発化。昨年末の高市首相による台湾有事発言以降は、沖縄と日本本土の分断を煽る傾向がより露骨になった。

 たとえば、昨年11月19日付けの『環球時報』は沖縄の日本帰属を疑問視する社説を発表。加えて学術界でも、同様の主張をおこなう半官製のシンポジウムがしばしば開かれている。

 ネット上でも、「琉球独立」や「祖国(=中国)復帰」を訴えるデマ動画が大量に流布されるようになった。

 ゆえに、邢氏の沖縄記事の肩書も「赴琉球特派記者」である。『環球時報』は日本の沖縄領有を否定するイメージを定着させるため、県名の「沖縄」を故意に避けているようだ。

(第3回に続く)

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 関連記事では辺野古転覆事故を起こした反基地団体と中国の反日プロパガンダ工作のつながりの全貌について詳報している。

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【スクープ先行全文公開】「辺野古転覆事故」反対協幹部が"中国共産党宣伝機関"記者を船に乗せ基地周辺を案内、対日プロパガンダに利用されている実態

【プロフィール】

安田峰俊(やすだ・みねとし)/1982年、滋賀県生まれ。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)で第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『戦狼中国の対日工作』(文春新書)など著書多数。近著に『民族がわかれば中国がわかる』(中公新書ラクレ)がある。

※週刊ポスト2026年5月29日号