アメリカ、イスラエル対イランの戦闘はいつまで続くのか。停戦期限が迫る中、アメリカイランの両国が2週間の延長を検討しているとブルームバーグ通信が報じた。

【映像】戦火に包まれるレバノン(実際の様子)

 ニュース番組『わたしとニュース』では、この戦闘終結への道筋や各国の思惑について、国際政治学者の三牧聖子氏とともに読み解いた。

■「終わりに近い」トランプ大統領の焦りとアメリカの国内事情

「終わりに近いと思います。限りなく近いはずです。彼らはなんとしても合意したがっているはずです」(トランプ大統領)

 テレビのインタビューで、イランへの攻撃は「終結間近だ」と発言したトランプ大統領。ホワイトハウスのレビット報道官は、「(再協議について)前回と同じ場所(イスラマバード)で行われる可能性が非常に高いだろう」と語った。

 その一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、ホロコーストの犠牲者の追悼式典でイランへの強硬姿勢を改めて強調した。「イランの核兵器開発を決して許さない。そしてホロコーストを2度と起こさせない。この約束を果たし、イランの恐怖政治体制に最大の打撃を与えた」。

 レバノンの親イラン武装組織ヒズボラをめぐっては、イスラエルとレバノンがアメリカの仲介で協議したが、レバノン側は停戦を訴える一方、イスラエル側はヒズボラの武装解除を求めていて隔たりはなお大きいままだ。戦闘終結への道筋は依然として不透明だ。

 こうした状況を踏まえ、三牧氏は「アメリカ国内は『もう戦争をやめてほしい』という世論がいよいよ強まっている。開戦当初も3割か4割の支持率で、アメリカの歴代の政権がやってきたイラク戦争やベトナム戦争、開戦当初の支持率としてはそれらと比べて非常に低い。さらに今回はホルムズ海峡が封鎖されたことで原油価格が上がって、ガソリン価格が上がった。3月の終わりには1ガロン4ドルという極めて高い水準に到達して、まだ上がっている。アメリカの人たちもここまで長期化して生活にも影響が出ていて、早くこの停戦交渉をまとめてほしいというのが大半の意見で、トランプ大統領としても『終わりますよ』と言わざるを得ない状況だ」。

 さらに、トランプ大統領のイラン核合意に関する姿勢は、オバマ政権下での核合意(JCPOA)への強いこだわりと批判に基づいているとみる。

「トランプ大統領1期目の時に、オバマ政権時代にまとめた核合意は『これでは不十分だ』と一方的に離脱した。今日の問題の1つの根本は、この1期目の離脱。トランプ大統領としては、離脱して、今回イランと戦争までしたので、オバマ大統領がまとめたものよりも厳しい条件をイランに突きつけなきゃいけない。例えば、オバマ元大統領の合意ではウラン濃縮を3.67%認めるというもの。トランプ大統領が今までかなり『ゼロ濃縮』にこだわっていたのは、オバマ時代より厳しい条件を突きつけなきゃいけないというのがあったと思う」(三牧氏、以下同)

「ただ、今の停戦交渉へという中で、このウラン濃縮に関してはアメリカ側も譲歩する姿勢を見せ始めている。ウラン濃縮を何年禁止するかに関して、今までは『永久だ』と言っていたのが、年数を決めてという形に。今この年数に関してイランアメリカで折り合いがついていないが、すぐ決裂してしまった1回目の交渉よりは、イラン側もアメリカ側も国内では『もうやめたい』という機運もあるので、具体的な数字を出して折り合いをつけようとする姿勢が見えてきている」

■不透明感が増す“逆封鎖”にアメリカ国民は「乗れていない」

 アメリカ側はホルムズ海峡の“逆封鎖”を行っているが、アメリカ国内の反応はどうなのだろうか。

イランは石油を売ることによって戦費を稼いでいて、その石油の大部分は中国に行っている。アメリカ政府はイランを封じ込めて、さらには中国にも打撃を与えるという形で説明している。ただ、イランによる封鎖、それにアメリカの封鎖も加わって、いつ海峡の正常化に向けた機雷の掃海等ができるのか、ますます不透明感が増して、我々日本も含む世界、さらにアメリカ国民も、このアメリカの“逆封鎖”という行動にはそんなに乗れていない。これで本当にイランが譲歩するのだろうかと。むしろますます強硬になって、あらゆる手段を使って海峡を封鎖するみたいな行動に出かねない。イランも大変なダメージだが、防衛戦争で引くところがないので、イランをむしろ強硬にしてしまう懸念等も国内では指摘されている」

 では、次の協議で状況が打開できるのだろうか。「トランプ大統領としてはウラン濃縮・核開発問題と、ホルムズ海峡の問題の2つが非常に重大な案件。ホルムズ海峡に関しては、イランは今、通行料をとって支配権を維持したいと言っているが、やはり軍事的にはアメリカとイスラエルが圧倒している。ホルムズ海峡を解放する、できるだけ戦前の状況に戻すというところで、イランがこの点譲歩してくれれば(という状況)。アメリカイランは双方ともに国民が『(戦闘を)もうやめたい』という世論もあって、アメリカの方はとりわけ中間選挙の年でもあるので、世論を聞かなきゃいけない。アメリカ側も譲歩する余地はあるので、うまく核開発の問題とホルムズ海峡の問題で折り合えるといいなと思う」

 2回目の協議に向けて、アメリカイランも合意をしたいという思いはあるようだ。

アメリカは2000年代に中東の軍事介入をして失敗した。あの時はアメリカの軍事力で中東を思い通りに変えていくんだという世論が強かったが、トランプ大統領自身も無駄な中東への介入にお金を使わない、国内の製造業を立て直すために国内にお金を使いますと、それが非常に支持されて再び大統領になった人。中東への軍事介入ではなく国内問題に注力する、それを期待している有権者、いわゆる岩盤支持層MAGAだけでなく、無党派も含め国民が広く期待していた。そのトランプ大統領が2000年代のネオコンみたいな無謀な中東の介入をしていることに対して、国民世論として介入疲れがある」

「トランプ大統領も今年11月に中間選挙がある。こんな風にズルズルと戦争を続けて、ガソリン価格も高騰し続けたままではかなり厳しい戦いになるので、やはりイランとどこかで折り合いをつけないといけない、その兆しみたいなものは少し見えてきていると思う」

(『わたしとニュース』より)