村上宗隆、本塁打量産の理由 元MVP捕手が分析…特筆すべき傾向「ヤクルトが覚えさせた」
中日などで活躍した中尾孝義氏 22四球は「ボールを見極められている証拠」
ホワイトソックス・村上宗隆内野手が、メジャー1年目から米球界を沸かせている。29試合出場で12本塁打。本塁打数はヨルダン・アルバレス(アストロズ)とアーロン・ジャッジ(ヤンキース)両外野手を抜き、両リーグ単独トップに立った。
中日、巨人、西武の3球団で名捕手として鳴らした野球評論家・中尾孝義氏は「いやー、本当に凄いよね」と喜ぶと同時に「今、打っているのは真ん中から低めが多い。それにプラスして高めも対応できれば、もっともっと本数は増えます」と期待を寄せる。村上の驚異的なスタートを分析してもらった。
村上は敵地ミルウォーキーで迎えた開幕カード、ブルワーズ戦で3試合連続アーチと鮮烈なデビューを果たした。4月16日(日本時間17日)のビジターでのアスレチックス戦ではバックスクリーンを越えるグランドスラムを放った。すると、この一発を起点に5戦連続ホームラン。MLBでの日本選手では、ドジャース・大谷翔平投手が昨年記録して以来の快挙だった。打った球種も1号から6号までは直球系、7号以降は変化球も仕留め、順応している。
「メジャーの投手は、球速があるから力任せで抑えようとしてくる傾向がある。その辺でコースが甘くなった時にしっかり捉えられています。まだ、ほとんど初めてのピッチャーとの対戦ですが、試合前に映像を見たりして研究しているだろうし、イメージ通りに振れているはず。試合を重ねれば重ねるだけ、攻められ方とかにも慣れてきます」
ホームランバッターの宿命でもある三振は41と多い。打率は2割台。それでも22四球の選球眼が光る。「ボールのキレが良ければ、いくら好打者でも狙っていた球が来ても空振りはします。だけど四球をこれだけ取れているのは、ボール球を見極められている証拠。下半身がボールにきちんと入っていて、かつ上体が開かない」。ストライクゾーン内では村上らしい強いスイングができており、誘ってくる球には我慢がきいていると見る。
中尾氏は、日本時代のヤクルトの指導を高く評価する。「飛ばす力は元々持っていました。彼がどんなに三振しても辛抱して使い続け、ストライク、ボールの見極めを覚えさせた。そして若くして本塁打王、さらには3冠王にまでなった。順序を踏んで上手に育てました。村上ってメチャクチャ振り回す印象がない。それが一番良いと感じますね」。
「ヘッドが残っている」から揺るがない 日本トップクラスならパワーでも対抗可能
村上のパワーは、米国のメディアでも話題になる程のインパクト。会心の当たりがスタンドインするのは勿論、打撃技術も併せての一発も披露した。24日の本拠地シカゴでのナショナルズ戦での11号。4回に元巨人のマイルズ・マイコラス投手と対し、カウント1-2からの外角低めのチェンジアップをやや泳ぎながらも拾った。最後は右手1本で振り払うと、打球はバックスクリーン右へと飛び込んだ。
「村上は振り回さなくても飛びます。バットのヘッドが早く前に出ない。ヘッドが先に動かないのです。ヘッドが残っていれば、少しぐらい体勢を崩されても対応できる。加えて下半身が強い。前足の膝、そして後ろ足の内転筋から下、足裏の母指球で変化球も待てる。体勢を崩される事自体があまりないし、ちょっと崩されても揺るぎが少ない」
12本塁打の村上だが、二塁打、三塁打はゼロ。中尾氏は日本のプロ野球が生んだ大打者の言葉を思い出すという。ロッテから中日に移籍してきた際に落合博満氏が「ホームランの打ち損ないがヒットなんだよ」と漏らしたという。「昔はヒットの延長がホームランと言われていた。僕らは芯に当たって角度が良ければ本塁打になるんですが……。落合さんは違うんだよね。だからホームランバッターは、そうなのかなぁと思う。村上もそういう意識があるのかもしれませんね」。
大谷の活躍は言うまでもなく、昨年はカブスの鈴木誠也内野手がシーズン32本塁打。今年は巨人からブルージェイズに移った岡本和真内野手もチームトップの5本塁打を放っている。「日本の選手たちの体が大きくなってきたのも要因。今は日本のトップクラスの打者なら、メジャーのパワーにも引けを取らなくなってきたと感じます」。中尾氏は、日本勢の打席をワクワクしながらチェックしている。(記録は現地4月27日終了時点)(西村大輔 / Taisuke Nishimura)
