「高市チルドレン」のホープ、吉村悠・衆院議員に浮上した常習的な有権者買収疑惑「会費2000円で飲み放題・着席方式」正規より安い料金で酒食提供か
今年2月の衆院選で初当選した自民党の新人議員は「高市チルドレン」と呼ばれる。なかでも麻生太郎・副総裁と近く、ホープの1人と見られているのが自民党青年局次長の吉村悠氏(福岡10区)だ。その吉村氏に疑惑が持ち上がった。
【写真】有権者買収疑惑が浮上している「吉村はるか新春の集い」当日の様子
吉村氏は、祖父と父が元福岡県議会議長、母も県議を務めた40歳の3世議員だ。本人は25歳で県議に当選して4期務めており、国政初当選とはいえ政治キャリアは長い。
会費2000円では安すぎるとの声も
その吉村氏は衆院選公示日前々日の1月25日、自身の選挙区である北九州市小倉北区のカラオケレストランの大ホールで「吉村はるか新春の集い」を開いた。案内状によると会費は2000円。連絡先は吉村氏の資金管理団体「吉村はるか後援会事務所」だ。
〈200人を超える支持者の方々に参加していただきました〉
吉村氏はSNSに新春の集いの様子をそう書き込み、吉村氏を囲むように参加者たちが右手を突き上げた写真をアップしている。その写真では、各テーブルに瓶ビールとコップが置かれ、3種類ほどの揚げ物が盛られた皿も見られる。
参加者の1人が語る。
「毎年参加しています。飲み放題で着席方式。1人ずつ料理も出た。今年は総選挙の直前とあって決起集会の熱気でした」
別の参加者の話だ。
「当日参加で、会費2000円は会場で現金で払いました。満席でしたね。あのホールは200人は無理だが、150人近かったかもしれない」
会場の大ホールの着席形式の宴会定員は約100人。大盛況だったのは間違いないようだ。
ところが、地元では「会費が安すぎるのではないか」(地元政界関係者)と問題視されているのだ。同カラオケレストランに、この大ホールを使った場合、料金設定がいくらになるか聞いたところ、「飲み放題付きだと軽いおつまみが付くコースで1人2700円。3品の料理が付くコースで3800円、シメのご飯モノが付くコースで4500円になる」という。
吉村氏側が地元での新春の集いの参加者に店の正規料金より安い会費で酒食を提供したとすれば、公職選挙法に抵触する疑いがある。
政治とカネの問題を監視してきた上脇博之・神戸学院大学教授の指摘だ。
「吉村氏や後援会が地元の有権者に2000円の会費でそれ以上の料金に相当するコースの飲食を提供した場合、公選法第199条の2で禁じている公職の候補者による選挙区内への寄附行為、つまり有権者買収にあたる疑いがあります」
店側の説明と食い違う事務所の回答
吉村氏の新年会が「お得」なのは地元政界関係者の間では以前から知られていたようだ。
「昔から会費は2000円でしたが、『行けばそれ以上の飲み食いができる』と話題になっていましたね」(地元議員)
それを物語るSNSへの書き込みがあった。
吉村氏は2年前の2024年1月にも同じ会場で新春の集いを開いたが、支援者と思われる人物がSNSで「本人から招待された」として〈当日参加OKで、一人2000円で食べ放題、飲み放題とのこと〉と同行できる参加者を募り、案内状の写真もアップされていた。
思い出されるのは高市早苗・首相の"政治の師"だった故・安倍晋三元首相の「桜を見る会」前夜祭問題だ。安倍氏が地元の後援者たちを首相主催の桜を見る会に招待した際、安倍後援会がホテルで会費5000円の前夜祭を開き、支援者たちを会費以上の酒食でもてなしていた問題だ。国会で追及され、安倍氏の公設秘書が政治資金規正法違反で略式起訴された。
今年1月の新春の集いの問題を取り上げた地元ネットメディア「HUNTER」は、主宰した吉村後援会の会計責任者の説明として、手配したのは〈食事に飲み放題を付けて4000円ほどのプラン〉だが、〈150人分しか頼んでいなかったので、参加者全員に食事は行き渡っていなかった〉と報じた。会費2000円に対して、それに満たない食事や飲み物しか出ていないという説明だ。
ただ、前述の出席者の証言では着席方式で一人ひとりに料理が出たのだから、会費以上の飲み食いができた参加者がいたことになる。また、4000円のコース150人分が、1人2000円の会費とトントンになるには300人の参加者が必要だが、出席者の証言や吉村氏の投稿からも多くて200人前後と考えられ、やはり会費以上の飲食ができた疑いが生じる。
改めて会場のカラオケ店の運営会社に聞くと、以下の説明があった。
「そちらの方は特別のコースです。料理とかもいつもよりも(質を)下げたり、種類も少なくするなどしています。お客さんと交渉して1人2000円で受けています」
前述の報道と食い違う説明だが、飲み放題や料理3品程度が出たのなら、他のコースと比べて割引料金にあたりそうだ。
同カラオケ店の大ホールで団体の宴会を開こうとした女性もこう話す。
「飲み放題付き、軽い食べ物も出る形で料金を尋ねたら、『2000円のコースはない。2000円にするなら料理は枝豆のみなど一品になります』と言われた」
前出の上脇氏は言う。
「店舗側の回答が矛盾して事実ではない可能性もあるが、仮に店が飲み放題付きの1人3800円などのコースを吉村後援会には少し料理を減らして2000円の割引料金で提供したとすれば、後援会は差額分を店から『みなし寄附』を受けたとして政治資金収支報告書に記載する必要がある。しかもその寄附で後援会が有権者に会費以上の酒食を提供した場合、やはり選挙区内への寄附や買収に当たる可能性は否定できません」
吉村事務所はメールでこう回答した。
「定番コースの金額×参加者人数分でお願いしたのではなく、150人+αの飲食を想定して店舗側と話をして予算額を決めてお願いした。その結果、参加費支払者からの会費収入で当日の集会にかかる経費はすべて支払えています。政治団体が経費の補填をしている事実はありません」
店側の1人2000円で受けたという証言とも食い違う説明だ。料金の詳細や店への支払い総額などについての質問には答えなかった。
疑惑は晴れないのだ。
※週刊ポスト2026年5月8・15日号
