町助役から受け取った1億円超「預かっただけ」「不退転の決意で返した」、金品授受で関電元副社長…地裁で尋問
関西電力元役員らによる金品受領問題で、会社に損害を与えたとして、関電が旧経営陣6人に約19億2700万円の損害賠償を求めた訴訟で、旧経営陣の尋問が24日、大阪地裁で始まった。
この日出廷した元副社長の豊松秀己氏は、福井県高浜町の元助役から断り切れずに受け取った金品が総額1億円超だったとし、「預かっていただけ。不退転の決意で返した」と述べた。
関電の第三者委員会の調査報告書によると、旧経営陣を含む歴代役員ら83人は1980年代以降、高浜原子力発電所がある高浜町の元助役・森山栄治氏(死去)から、小判や現金など総額約3億7000万円相当の金品を受領した。関電は訴訟で、旧経営陣には、金品受領を取締役会に報告せず、迅速な公表を怠るなどした取締役としての注意義務違反があったと主張。旧経営陣は請求棄却を求めている。
「一括で返還」
豊松氏は尋問で、金品を受け取るようになった経緯を詳述した。
常務取締役として原子力事業を担当していた2010年1月、自宅を訪ねてきた森山氏から、「手土産」として50万円分の商品券を初めて渡された。「このようなものを受け取るわけにはいかない」と断ったが、「原発の運営を妨害する」と激高され、個人で預かることにした。以降、18年頃まで繰り返し金品を受け取り続けた。同年にほぼ全てを一括で返還したという。
豊松氏は「(役員を)退任時に全てを返還することを決め、責任を持って記録をつけていた」と証言。森山氏との関係を絶てなかった理由を、第三者委が「問題が露見すれば、社会的批判にさらされるという幹部らの懸念があった」と指摘したことについて、「そんな懸念は全くなかった。原発の稼働は経営上最大の課題で、安定的な運用を(森山氏に)妨害されるリスクを避けることが最善策だと思った」と強調した。
元会長「業務の対価」
第三者委は、金品受領問題とは別に、東日本大震災後の電気料金値上げに伴って減額された元役員らの役員報酬の一部が、会長だった森詳介氏らの指示で、役員退任後に就いた「嘱託」の報酬として補填(ほてん)されていたとも認定した。
この日は森氏も出廷し、「補填ではない。嘱託の業務実態に見合った適正な対価を支払った」と反論した。
原告代理人から、嘱託の対象者が社内で秘密にされていた理由を質問されると、森氏は「減額された報酬の補填だと世間的に誤解を生む恐れがあったため」と説明。松阿弥隆裁判長から「誤解を招くと感じながら、なぜ改めなかったのか」と問われると、「違法でなく、そこまで思いが至らなかった」と語った。
旧経営陣の尋問は、5月11、14日にも行われ、八木誠前会長と岩根茂樹元社長、白井良平元取締役、八嶋康博元取締役の計4人が証言する予定。
