太陽で最大規模「Xクラス」の巨大太陽フレアが発生。日本各地で通信障害起こす可能性がある「デリンジャー現象」を観測

国立研究開発法人「情報通信研究機構」によりますと、日本時間の4月24日午前10時7分、太陽の表面で大規模な爆発現象「太陽フレア」が発生しました。

規模は一番大きい分類となる「Xクラス」で、この影響により日本各地で短波通信に影響を及ぼす可能性がある「デリンジャー現象」が確認されています。

現在のところ、人工衛星やGPSに影響を与える高エネルギー粒子の飛来は観測されていませんが、今後の動向に注意が必要です。

地球がいくつも収まる巨大な大爆発「X2.5」フレア

太陽フレアとは、主に太陽の黒点周辺の磁場が急激に変化することで、膨大なエネルギーが解き放たれる大爆発現象です。その物理的なスケールはすさまじく、地球よりも大きな規模の爆発が起こることもあります。

太陽フレアの規模は、観測されるX線の強さによって小さい順に A、B、C、M、X の5つのクラスに分けられます。今回発生したフレアは、最も規模の大きい「Xクラス」の中でも「X2.5」という強さを記録しました。

アメリカの観測衛星(GOES)による最新のデータでも、普段は安定しているX線強度が、爆発のタイミングでXクラスの領域まで針のように鋭く跳ね上がっている様子が確認されています。

日本各地で「デリンジャー現象」が発生

この巨大な爆発で放出されたX線や紫外線は、すでに地球にも到達しています。

太陽フレアが発生すると、強いX線や紫外線が光の速さ(約8分)で地球に到達し、地球の上空約60~90kmにある「電離圏」という層の状態を急激に変化させます。

これにより、普段は遠くまで電波を反射してくれる電離圏が、逆に短波帯の電波を吸収してしまうようになります。これを「デリンジャー現象」と呼びます。

情報通信研究機構(NICT)によると、今回のフレア発生に伴い、日本時間の24日午前10時15分から日本各地でデリンジャー現象が発生しています。

航空無線や船舶の通信、アマチュア無線などの短波通信に一時的な障害や通信不良が生じている可能性があります。

人工衛星やGPSへの直接的な影響は今のところなし

過去の大規模な太陽フレアでは、爆発に伴って「高エネルギープロトン(陽子)」という電気を帯びた粒子が宇宙空間に大量に放出され、高度約36,000kmの静止軌道にある人工衛星の電子機器を誤作動させることがありました。しかし、今回のフレアでは、現在のところ高エネルギープロトンの急増は観測されていません。

そのため、私たちの生活に身近なスマートフォンやカーナビなどのGPS機能への影響も、現時点では生じていません。

また、地上の人間や生物は地球の強力な磁場と厚い大気に守られているため、直接的な影響はありません。

太陽活動は終わっていない? 今後懸念される「低軌道衛星」やGPSへの影響

X2.5の大爆発のピーク自体は過ぎましたが、活動が完全に落ち着いたわけではありません。

今回の爆発を起こした黒点は、依然として活発なエネルギーを保っており、観測データ上でも高い活動レベルが続いています。

今後数日間は、再び同規模の太陽フレアが連続して発生する可能性が残されています。

さらに警戒が必要なのが、遅れてやってくる影響です。 もし今回の爆発で「コロナ質量放出」と呼ばれるプラズマの塊が地球方向へ放出されていた場合、1~3日後に地球へ到達し、地球の磁場を大きく乱す「磁気嵐」を引き起こすおそれがあります。

磁気嵐が発生すると、地球の上層大気が加熱されて風船のように膨張します。この影響で、静止軌道よりはるかに低い高度数百kmの宇宙空間を飛んでいる「低軌道衛星(スターリンクなどの通信衛星)」が受ける空気抵抗が急増します。

過去には、この大気抵抗の増加によって数十基もの通信衛星が高度を維持できずに大気圏に落下し、失われた事例もあります。

さらに、この磁気嵐に伴って電離圏が乱れることで、数日後にGPS測位に数メートルから数十メートルの誤差が生じる可能性もあります。

爆発の瞬間的な影響はピークを越えたとみられ、24日午後7時現在、短波通信に影響する「デリンジャー現象」は、静穏に戻っています。ただ、太陽の黒点活動は活発で、今後数日間は、引き続き最新の情報に注意が必要です。