高市首相

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衆院の予算審議は60時間程度に

 電撃解散後、史上最短の選挙期間を経て投開票日を迎えた今回の衆院選。歴史的大勝利を収めた高市早苗首相は「数は力」を背景に自身の考えを浸透させようとする動きが見え隠れする。

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 その勢いゆえ、このところ首相の口ぐせから永田町や霞が関で「なんでダメなの案件」と呼ばれる事案も発生し、波紋を呼んでいるという――。

「高市官邸は選挙で大勝後、2026年度予算案の年度内成立を目指すと言い出しました。解散で審議入りが遅れていたわけですが、選挙に勝ったのだからと強気に出ています」

 と、政治部デスク。

「予算案の審議は通常、衆院だけで80時間は必要とされており、衆参両院を合わせると2か月は必要というのが通例です。が、3月半ばには首相の訪米が決まっており、それまでに衆院を通過させる案もあるほどです」(同)

 実際、衆院の予算審議は60時間程度になりそうな気配だ。

高市首相

国会の人事にも

 高市氏は人事にも「好き嫌い」を如実に反映させるようになった。その1つが衆院のナンバー3の序列にあたる議院運営委員長の人事で浜田靖一氏を山口俊一氏に交代させた。

「予算案の年度内成立を強く指示するようになり、それをうまく導けそうにない、動こうとしない浜田氏に“肩たたきをした”というのが実情です。高市氏は麻生太郎自民党副総裁に衆院議長を打診したものの断られ、その後に麻生派所属の森英介氏を議長に山口氏を議運委員長に据える人事を行いました。国対にも手を突っ込もうとして現・国会対策委員長の梶山弘志氏を交代させる人事も想定していましたが、それはうまく行かなかったのか自重したのか、ちょっと不明ですが、実現しなかった。いくつもの場面で“なんでダメなの? なぜできないの?”という首相の言葉を聞いた人がいます」(同)

 例えば「衆院だけで80時間」という審議時間は慣例とされるわけだが、そもそも何を根拠にしているのかというと、おそらく誰も首相を満足させる解答はできないだろう。

トップの「なぜできないの?」

 理屈で言えば、「ではなぜ今、慣例を変えていいのですか?」とか「衆院解散にあたり予算審議に影響を与えることは織り込み済みだったはずなのに、なぜそれを今さら覆していいのですか?」と逆質問することは可能。

 しかしトップの「なぜできないの?」が質問ではなく、「やれ!」と同義であるというのは組織の常識に近い。

 このあたりの発言をリーダーシップの発露と見るか、パワーハラスメントの典型と見るかは人それぞれであろう。

 先月末、国会答弁の中で高市氏は赤沢亮正経産相に対して「(訪米する)私に恥をかかせるな」と伝えたという話を披露。その際にもこれは上司と部下のほほえましいやり取りなのか、それともシンプルなパワハラと受け止めるべきか、見方は二分された。
確実なのは、トップの発言というものは、本人の意図以上に波紋を呼びやすいものだということである。

予算委員会に光が当たり

「与党側の質問を絞ったり土日も審議したりすることで与野党が議論を尽くせる環境づくりを目指していますが、みなが納得する形で落ち着くのはなかなか難しいかもしれません。高市氏は効率を優先する人で、非効率なことが多い国会を嫌っています。どんな些細なことでも答弁しないといけないので徹底的に準備せざるを得ない。とにかくマジメな性格なのでやるとなれば手を抜かず『睡眠は3時間』もいとわないのですが、そもそも睡眠時間を削られるのをよしとしているわけではありません」(同)

 NHKが中継する予算委員会は長年、予算と関係ない話が多すぎることなどが批判の対象とされてきた。特に近年は不毛なやり取りがSNSで拡散され、与野党問わず各方面からツッコミが入りまくっているのが現状だ。タイパ・コスパを重視する傾向にある層にとって与党側の“持ち上げ”で“無風”な質問や、野党側の建設的ではない類の質問は時間のムダにしか見えないのだろう。

非効率な国会

「“非効率な国会”の是正を高市氏が唱えていると見ればタイパ・コスパ重視層としては高市氏を支持する要因の1つになるでしょう。スキャンダルや閣僚の失言にのっかっただけの質問に対してもこの層は否定的なスタンスです。“国会でやることなの?”といった具合です」(同)

 とにかく国会の質疑を「効率的に」−−その流れに飲まれれば野党側は支持を削られ続けることになる。かといって「政治とカネ」問題など与党の問題点を指摘しなければ、本来の支持層から見放されるリスクもある。
見せ場を作りたい野党としては、質問冒頭に、「今回は予算案についての質問が9割、政治とカネについての質問が1割です」といった具合に質問構成を「可視化」するのも一つの手となるかもしれない。

デイリー新潮編集部