蝉川泰果のデビュー戦は28位タイ 何を思った?(撮影:鈴木祥)

写真拡大

<マイナビABCチャンピオンシップ 最終日◇6日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217ヤード・パー72>
プロデビュー戦Vを狙った蝉川泰果だったが、最終日は「69」で3つ伸ばすにとどまり、トータル7アンダーは28位タイと、思ったような結果にはならなかった。「予選通過はできたんですけど、優勝を期待されているなかで、こういう結果になってしまって悔しいなと思います」とプロ初戦を振り返った。
そんな蝉川が最後に魅せた。18番パー5のセカンドショットは残り163ヤードと得意のドライバーで稼いだが、目の前にある木がピンとかぶっていた。最終日のピンは右手前。少しでもショートすれば、池に入ってしまう。
木を避けて池が広がる右サイドからドローで打った球はグリーンの少し手前に着弾。ギャラリーからは「オォー!」と大きな歓声が上がったが、少し戻って今度は悲鳴に似た歓声に変わる。しかし、ボールはかろうじて止まり、再び大きな歓声となった。「普通あんなところで止まらないですよね。持っていますね」と本人はしたり顔だ。
「イーグル獲りたかったんですけど、ちょっと球が動きそうで怖かったので、早く打ちたかった」と、グリーンの手前のフェアウェイからのイーグルトライは、ショートして入らず。それでもバーディフィニッシュとして、大きな拍手に笑顔で応えた。「僕がギャラリーとして観に来ていた試合で、なおかつ去年はローアマを初めて獲れた試合。地元でもあるし、たくさんの声援もいただいたので楽しい試合でした」。
いま一番したいことは?と問われると「えー」と少し考えた後、「悔しいので練習したいですかね」と、21歳はもう次の試合に気持ちを向けている。
優勝はできなかったが、予選を通過したことでプロとして“初任給”82万2000円を得る。「予選落ちすると、ここまで来た経費、キャディさんを雇う費用、自分のご飯代とかも入れて0円になっちゃう。でも予選を通れば賞金も入ってくる。こんな言い方をしたらやらしいかもしれないですけど、この一打で何十万、何百万変わってくんのやと思いながら最後の2ホールはプレーしました(笑)」と初めての緊張感もあった。初賞金の使い道を聞かれると、「まだないですね。もっともっと貯めてJT終わった後にいろいろ考えようかなと思っています」と答えた。
あす、静岡県に移動して、次戦は「三井住友VISA太平洋マスターズ」に出場する。「フルスイングじゃない距離を調整するときに横のブレが出ていたし、パッティングの距離感が合わずに3パットを10回くらいした」と大きく2つの課題が浮き彫りになった。それでも「スコアをまとめられている。これだけ課題があるなかでこういう感じなら、もっともっと上に行けるなと思いました」と手応えも感じている。
「絶対にVISAではこんな形で終わらずに、絶対に優勝…」と言いかけて、「絶対ではないですね」と笑う。「日本オープン」のタフなセッティングを攻略した飛んで曲がらないドライバーは今週も健在だった。7262ヤードでパー70と距離が長い太平洋クラブ御殿場コースでは、蝉川の飛距離がきっと生きるだろう。(文・下村耕平)
<ゴルフ情報ALBA.Net>