高3で、突然「あいうえお」が発声できなくなった…「喉に金属を埋める手術」を受けた34歳女性が“救い”を見つけるまで
◆図鑑を読み耽った少女時代
田原舞:小学校高学年のとき、テレビ番組で深海魚を取り上げていたんです。簡単にいえば、ラブカに一目惚れをしたんです。当時、水族館はありましたが、少なくとも身近に深海魚をじっくり見られる施設を私は知りませんでした。そこで、図鑑を購入して、繰り返し読んでいましたね。
――ブランド名にもなっているラブカの魅力は、どんなところですか。
田原舞:サメなのにサメらしからぬフォルムをしていて、愛らしいと思ったんです。ニコッと笑っているかのようなお顔にも愛着を感じました。また、目は光が当たると緑色の宝石のように光り、それも魅力的でした。ラブカの歯は三叉になっていて、これは現世ではラブカだけの特徴なのだそうです。古生物を感じさせるそんなチャームポイントにも、惹かれました。
◆観賞から「実食」のステージへ
――SNSを拝見していると、田原さんは深海魚を文字通り「味わって」いますよね。
田原舞:そうですね。最初のうちは図鑑で読んで、大人になって水族館に入り浸って……という感じでしたが、ブランド立ち上げ以降、漁師さんや知り合いから深海魚を譲っていただくようになり、食べることにも挑戦し始めました。
――率直に聞きますが、美味しいんですか?
田原舞:種類にもよりますが、美味しい種類は本当に感動するくらい美味しいです。トウヨウカマスの塩焼きは、あまりの美味しさに感激しました。また、ラブカはやはり美味しいですね。基本的に、深海魚は水圧に負けないように身体に水分もしくは油分を蓄えています。水分を蓄えているタイプの魚は味がいまいちであることが多く、油分タイプは美味しいことが多いと思います。
◆「キモい」の一言に傷ついた過去
――ただ、そんな有り余る愛を、学生時代は表現できなかったとか。
田原舞:そうなんです。中学生のとき、仲良しの友人に打ち明けたことがあるのですが、「え、キモいじゃん」という反応でした。そのとき、深海魚を否定されたことで自分を否定されたように感じて、なかなか近しい人にも言うのを躊躇していたんですよね。
――高3のときに交際していた方とご結婚され、現在はお子様もいらっしゃると伺いました。当時彼氏だった旦那さんには、伝えていたのですか。
田原舞:はい。家に遊びに来るときには当然、魚の図鑑がたくさんありますので、「魚が好き」という認識ではいたと思います。ただ、ブランドを立ち上げるまでは、ここまで好きだとは思っていなかったと思います(笑)。
◆高3で発症した発声障害で、世界が暗転
――ブランド立ち上げの経緯を教えてください。
田原舞:家族は私の深海魚好きを知っていましたが、先ほどお話した事情で、あまり友人などには伝えていませんでした。ただ、親戚と話しているときに、「深海魚のグッズのほとんどは子ども向けで、大人が気軽に使えるものが少なくて……」と漏らしたら、「じゃあ自分でやってみたらいいのに」と言われたんです。まさか自分でも、絵の心得もないのにデザインをしてお店を立ち上げるなんて、夢にも思っていませんでした。
――ブランド立ち上げの前後で、どのように変わりましたか。

