写真/舩越園子(マキロイの大敗はマスターズの歴史に残る?)

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マスターズで初日から3日間、首位を守り、2位に4打差で最終日に挑んだ北アイルランドのローリー・マキロイ(21)。最終日の前半までは途中、並べれながらも首位を維持していたが、10番のドライバーショットを大きく左に曲げ、民家の庭に打ち込んでトリプルボギー。11番も12番もボギー、ダブルボギーと崩れ、この「魔の3ホール」で目前と思われていたグリーンジャケットを逃した。

優勝候補が最終日に「80」を叩いたあの負け方は見ていられないほど悲惨だったが、マキロイは気を取り直し、マスターズ終了直後に欧州ツアーのマレーシアオープンへ向かった。アトランタ空港から飛び立ち、クアラルンプールの空港に到着したら、なんと今度は大事なゴルフクラブがバッグごと紛失。とことん不運なマキロイだが、航空会社に怒りをぶつけることもなく、「何度も何度も乗り継いだりタイムゾーンを越えたりしてフライトを続けていれば、荷物の紛失だって時にはあるさ」と笑顔さえ見せたという。

マスターズの敗北は厳密に言えば「不運」ではなく、経験や実力、精神力の不足によるものだったのかもしれないが、「10番のティショットだけが悔やまれる」と振り返ったあのわずか1球がすべての大崩れのきっかけだったことを思うと、慰めの言葉は「運が悪かったね」しか思いつかない。その不運に続くゴルフクラブの紛失。ただでさえ大敗からの立ち直りに時間を要する状況なのに、さらなるアクシデントに見舞われたマキロイが不憫に思えてしまう。

振り返れば、昨年末に「2011年は欧州ツアー専念」を発表し、米ツアーメンバー資格をギブアップする決断をした陰には、北アイルランドの地元に住む恋人の存在があった。しかし結局、学業に専念したいという彼女とは今年始めに決別。当面、マキロイはゴルフだけに打ち込むことを心に誓ったというのに、その矢先の不運続きだ。

やがて消滅する米ツアーメンバー資格、恋人、グリーンジャケット、ゴルフクラブ。マキロイは大切なものを次々に失っている。だが、これだけ犠牲を払ったのだから、いつか必ず報われると信じたい。少なくともマレーシアオープンでは高額のアピアレンスフィーだけは手に入るらしい。とはいえ、傷心のマキロイに必要なのは金銭ではなく、心の充足だ。ゴルフの神様がいるのなら、不運にもめげず、若いにも関わらず大人の対応をしているマキロイに、ビッグで素敵なご褒美を与えてあげてほしいものだ。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)