さまざまな人間関係の中で嫌な思いをしたり腹が立ったりすることがある。どう対処したらいいのか。歯科医の井上裕之さんは「私の答えは『自分を変える』こと。そういう気持ちで受けとめれば、相手から好感をもたれる」という――。

※本稿は、井上裕之『一流の人間力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

■イラッとしたときの魔法の言葉とは?

「反りが合わない上司とはどう付き合えばいいですか。いつもその上司のいやなところばかりが目につくんです」

相談を受けました。私の答えは

「自分を変える」ことです。

反りが合わない、いやなところが目につく人は、おそらくほかの人にとっても反りが合わない人であり、いやなことをする人です。

なぜ、いやなことをするのか、それには必ず何か背景があります。

ですから、「この上司はいろいろな辛いことがあるんだろう。私にとっていやなことではあるけれど、受け入れてあげよう」と自分の考えを変える。口に出さなくても、自分のスタンスを変えるだけで、相手はいい人に変わります。

私のクリニックには、まれに、何を言っても聞き入れてくれない患者さんが来院されることがあります。一瞬、閉口します。しかし、

「ほかのところでも、同じように振る舞っていて、相手にされていないのかもしれない。だとすれば、私だけでも話を聞いてあげよう」

と自分のスタンスを決めて接すると、その人は俄然いい人に変わります。

これは潜在意識(=自覚していない意識)のエネルギーの法則によって、自分の波動が相手に伝わって共鳴するからです(潜在意識についてここでは詳解を省きます。詳しく知りたい方は、拙著『人間関係が整うとすべてうまくいく』(KADOKAWA)をご覧ください)。

■「大丈夫? 何かあった?」と声をかけ、心配してあげる

自分が心を開くと、相手も心を開いてくれます。食事の約束をしていた相手が30分遅れてきたとします。

「なんで遅れてきたんだよ」と相手を責めて、イライラしていたら、食事の間じゅうずっとイライラが続いて、せっかくの食事の時間が台無しになります。

遅れたほうも待たされたほうも気分が悪くなります。

写真=iStock.com/SunnyVMD
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そこで、遅れてきた相手に「大丈夫? 何かあった?」と声をかけ、心配してあげる。

相手がすまなそうに「ごめんね」と謝ってきたら、「全然平気だよ。スマホで電子ブック読んでいたから」と返してあげる。

すると、相手は恐縮しながらも「あー、怒っていなくてよかった」と気持ちがラクになりますし、あなたに対しては「器の大きな人」という印象が残るでしょう。好感をもち、認めてくれて、尊敬もされます。

私にはイラッとしたときに、心でつぶやく言葉があります。

「ここは器を大きく」

イラッとしたときに、自分の感情をあらわにすると、相手との関係性が悪くなります。怒ると必ず相手も怒るからです。

人との関係性を悪くしてもいいことは何もありません。自分にとっても、相手にとってもです。イラッとくるときほど、器を大きくして自分の気持ちを抑える。すると、相手は恐縮したり、謙虚になったりします。穏やかに接すると、相手も穏やかになります。

自分の気持ちを抑えるには努力が必要です。

簡単ではありませんが、努力をすると必ずギフトが返ってきます。あなたへの「尊敬」であったり、「好印象」であったり、「良好な人間関係」というギフトです。お金では決して手に入れられないギフトだと思いませんか?

■日頃から器を広げる方法

器が大きい人とは、心が広くて、小さいことをいちいち気にしない人のことです。

ほかにも、ちょっとしたことでイライラしない、ピンチが来ても動じないで落ち着いて対応する、人の過ちを責めず許してあげられる……などの特徴があげられます。

器を大きくする方法の一つは、世の中にはいろいろな価値観があると知ることです。自分とは異なる価値観を否定するのではなく、ありのままに受け止めることです。

価値観の多様性を知る方法はいろいろあります。本を読む、人と話をする、海外旅行をする。私が、手軽に価値観の多様性を学べると実感しているのは、ヤフーニュースのコメント欄です。

一つのニュースに対して、「犯人が悪い」「社会のこういうところが悪い」「こういうふうにすれば、事件は防げたのではないか」など、注目のニュースであればあるほど、さまざまな書きこみがあります。

井上裕之『一流の人間力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン

時間があるときは、できるだけコメント欄を一つずつ読んでいきます。

自分になかった視点に気づくケースも少なくありません。

「あっ、そういう考え方があったんだ」
「そういう見方があったんだ、なるほど

と受け入れられたときに、自分の器が少し広がるのを感じます。器を広げるコツは、まずはそのニュースに対して、自分なりの考えをもつことです。自分はこういう問題意識をもっているけれども、ほかの人はどう思っているのかな、という視点で見ていくと、気づきも多いですよ。

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井上 裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長
歯学博士、経営学博士、東京医科歯科大学非常勤、インディアナ大学客員講師など国内外7大学の役職を勤める。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト公認グランドマスター。ベストセラー『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『本物の気づかい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書多数。
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(いのうえ歯科医院理事長 井上 裕之)