ブリティッシュ・クラシック・マラソン2023、参加してみた 30周年「走る」イベント代表格
30周年を迎えた「走り」イベントの代表格
2023年4月15〜16日にかけて、英国のヒストリックカーによるレギュレーショナル・ラリー・イベント「ブリティッシュ・クラシック・マラソン(BCM)」が開催された。
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このイベントは1994年にスタートを切っているので、今回は第30回という記念すべき大会となる。

2023年4月15〜16日にかけて、英国のヒストリックカーによるレギュレーショナル・ラリー・イベント「ブリティッシュ・クラシック・マラソン(BCM)」が開催された。
BCMが初めて開催された当時、日本における古いクルマのイベントは部品交換会に代表される、いわゆる「置き」のスタイルがほとんどで、また「走り」のイベントでも軽いツーリング程度の距離に留まるものが多かった。
BCMも初回は1デイのヒルクライム+αのイベントとしてスタートしているが、第2回からは1泊2日のスタイルになり、走行距離をどんどんと伸ばしていったのである。
はじまりの地、30年ぶりの原点回帰
愛知県岡崎市近辺を起点とすることが多いブリティッシュ・クラシック・マラソンだが、今回のスタート地点は岐阜県土岐市にある焼き物の工業団地、織部ヒルズに設定されていた。
実はこの場所はちょうど30年前にBCMが初開催された地でもある。30年経って原点回帰を果たしたというわけである。

今回のスタート地点は岐阜県土岐市にある焼き物の工業団地、織部ヒルズ。30年経って原点回帰を果たした。今回エントリーしたクルマは69台。
1974年までに生産された英国車、というテーマに沿い、今回エントリーしたクルマは69台。戦前のオースティン・セブンから70年代のミニやロータスまで、多彩な顔触れが揃った。この時代の英国車の多くは過去に同型車がモータースポーツに興じていた歴史があり、一見ラグジュアリーに見えるモデルであってもTPOとしては悪くない。
ラリープレートのステッカーを掲げれば雰囲気は完璧だ。
純粋な腕とスピードを競う場面も!
交通法規を順守するとはいえ、ラリー・イベントであるBCMのコースは参加者たちには知らされていない。
スタート直前に渡されたルートマップを頼りに、コースを正確にトレースし、主催者が設定している設定タイムを予測しながらラリーを進めていく。

ラリーの勝敗を決めるのは全7回のチェックポイントを通過したタイムに、コースの途中に設定された競技の点数を加えたもの。スーパースローやジムカーナ競技等でドライビングの腕を競う。
高速道路を使って都市部を抜け、山の麓に取り付き、そこからはBCMならではのコース、つまり決して道幅の広くないワインディングを駆け巡っていく。
ラリーの勝敗を決めるのは全7回のチェックポイントを通過したタイムに、コースの途中に設定された競技の点数を加えたもの。
今回もスーパースローやジムカーナ競技等でドライビングの腕を競う場面が用意されていた。
雨の中、本州を縦断、日本海へ
当初は恵那、そして飛騨高山と走行距離を伸ばしていったブリティッシュ・クラシック・マラソン。2000年代に入ると本州を横断し、日本海に到達している。
今回も日本で唯一、クルマで走行可能な砂浜として有名な石川県羽咋市の千里浜なぎさドライブウェイを堪能した後、宿泊先とパーティ会場になるアローレ加賀に到着し1日目のラリーを終えている。

長距離を走るBCMにとって雨はつきものであり、同時にラリーの気分を盛り上げてくれるスパイスでもある。
1日目のトピックはまる1日中降り続いた雨だった。古いクルマのオーナーで雨の日に喜んで乗る人などいるはずもない。
とはいえ長距離を走るBCMにとって雨はつきものであり、同時にラリーの気分を盛り上げてくれるスパイスでもあるのだ。
ワイルドからフォーマルのギャップを愉しむ
レーシーなオープンカーなどはドライバーとナビゲーターもびしょ濡れになってしまう。それでも1日目のラリーを終えた後は豪華なウェルカムパーティーが待っている。
泥っぽいドライビングスーツからフォーマルなウェアに着替えて臨むギャップもBCMの特徴であり、参加者たちがドライビングと同じくらい楽しみにしている時間でもある。

1日目のラリーを終えた後は豪華なウェルカムパーティーが待っている。
皆勤賞の常連も、「息子が免許を取ったから」と久しぶりに参加した親子も、そして「念願の愛車を手に入れたので!」という初参加の人も同じ趣味を持った仲間だ。
さらに今日1日のドライビングという共通の体験もあるので話題には事欠かない。またパーティも豪華な食事やお酒、バンド演奏など盛りだくさんの内容で参加者たちをもてなしてくれる。
初めて通る若狭湾のコーストライン
ブリティッシュ・クラシック・マラソンの30周年を祝福してくれているのか、2日のスタート直後から、天気予報に反して再び雨が降り出した。
2日目のコースで参加者たちを驚かせたのはトンネルを抜けた先に急に広がる若狭湾の海だった。

2日目のコース。若狭湾まで足を伸ばしたのは初めてのこと。単純な本州横断ではなく、ぐるりと円を描くように巡り、ゴールがある愛知県岡崎市の岡崎シビックセンターを目指した。
BCMの一団がここまで足を伸ばしたのは初めてのこと。単純な本州横断ではなく、ぐるりと円を描くように巡り、ゴールがある愛知県岡崎市の岡崎シビックセンターを目指したのだった。
表彰式では6位から順にカウントダウンしていく。そして800km以上にも及ぶ今回のラリーを制したのは1963年式のモーリス・ミニ・クーパーマーク1でエントリーした津久井隆、青山京平組。毎年上位に絡んでいたペアがついに頂点を奪取したのだった。
30年続くとアソビは文化に昇華する
表彰式が終わると、1台また1台とラリーカーたちが会場を後にしていく。それをスタッフたちが全員で温かく見送る姿もBCMの恒例となっている風景だ。
初回からこのイベントをオーガナイズしてきた宮地正史さんはブリティッシュ・クラシック・マラソンと共に駆け抜けてきた30年という時間を振り返り、「最初はモノ好きな人たちの集まりに過ぎなかったわけだけれど、30年続いたら文化と呼んでいいんじゃない? これは日本のブリティッシュ・クラシックカーの文化だよ」とつぶやいた。

800km以上にも及ぶ今回のラリーを制したのは1963年式のモーリス・ミニ・クーパーマーク1でエントリーした津久井隆、青山京平組。毎年上位に絡んでいたペアがついに頂点を奪取したのだった。
その言葉を強く裏打ちするのは、毎年のように過酷なラリーを走り切り、泥っぽく逞しい表情になったクルマたちである。
人は歳を取るが、銘車とそれをフィーチャーした文化は連綿と受け継がれていくのである。
