綾瀬はるか

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 この1月にスタートした連続ドラマでは、綾瀬はるか主演の「天国と地獄〜サイコな2人〜」が依然として好調である。6話までの平均視聴率は14・5%(視聴率はビデオリサーチ調べ・関東地区・以下同)と15%台がみえているほどだ。綾瀬はこれまで、主演クラスで起用された連続ドラマで数々の高視聴率を叩き出してきた。「JIN-仁-完結編」の21・3%を筆頭に「MR.BRAIN」の20・5%、「JIN-仁-」の19%、「南極大陸」の18%、そして「世界の中心で、愛をさけぶ」の16%と話題作ばかりとなった(ちなみにすべてTBSの作品である)。とはいえすべて主人公の相手役であり、厳密な意味での綾瀬の主演作ではない。今回は、綾瀬はるか主演作の平均視聴率から、そのベスト3とワースト3を紹介したい。

綾瀬はるか

 見事1位に輝いた作品は2014年10月クール放送の「きょうは会社休みます。」(日テレ系)で、その平均視聴率は16%であった。

 綾瀬が演じたのは、彼氏いない歴=処女歴=30歳といういろいろ残念なOL・青石花笑である。そんな彼女がひょんなことから会社でアルバイトをしている9歳年下のイケてる大学生と付き合うことに。“こじらせ女子”に突如、人生の奇跡が舞い降りたワケだが、これまでこじらせていた時間が長かったゆえに、ささいなことでもいちいち立ち止まり……という、こじらせ女子の初めての恋愛模様を描いたラブコメディである。

 恋愛初心者のヒロインをとにかくコミカルに演じた綾瀬の好演が光った作品。恋愛にうとい花笑は普段からメガネを掛けている。普通なら彼氏ができた影響でコンタクトに変えるものだが、最終回までずっとメガネ姿のままだった点が印象に残る。本作は東京ドラマアウォード2015の連続ドラマ部門で優秀賞にも輝いた。改めて見返してみたい1作だ。

 2位は15・4%を獲得した10年7月クールの「ホタルノヒカリ2」(日テレ系)。07年7月クールで放送された「ホタルノヒカリ」(日テレ系)の続編だ。「1」は綾瀬にとって連続ドラマ初単独主演作だった。彼女のキャリアを語るうえでも、本シリーズは重要な作品なのである。

 このシリーズでも、綾瀬は恋愛に縁遠いヒロイン・雨宮蛍を演じた。職場では有能な仕事ぶりをみせる“大人の女性”として振る舞っているが、実は恋愛に無関心で家でゴロゴロしているのが大好きな干物女という役どころだった。

 恋愛を半ば放棄してぐうたらに過ごす干物女のリアルな姿をコミカルに描き、パート1では13・6%のスマッシュヒットとなった。その続編だから、15%超えは当然の反響といえよう。特に20代後半から30代前半の若い女性視聴者には共感できる部分があったようで、高い人気を誇った。12年6月にはシリーズのその後を描いた「映画ホタルノヒカリ」も公開されている。

 上記2作品はラブコメ路線だったが、3位には“カッコイイ”姿を披露した作品だ。13年のNHK大河ドラマ「八重の桜」。平均視聴率は14・6%だった。

 舞台は幕末の会津藩。主人公の八重は女だてらにスペンサー銃を構え、会津戦争を戦い抜いた“猛者”である。

 会津藩降伏後は現在の同志社大学を創設した新島襄の妻となったが、ただでさえ大河ドラマで幕末を舞台にした作品は視聴率が伸び悩む傾向がある。そもそも主人公の新島八重の知名度はあまり高くない。それでも平均で15%近くの数字を獲得したことはかなりの善戦といっていい。鶴ヶ城籠城戦シーンで綾瀬が見せた凛とした男装姿が今でも印象深い1作である。

ワースト作は…

 ここからはワースト3の紹介だ。第3位は意外にも今後、映画版の公開が控えるこのドラマ。17年10月クールに放送された「奥様は、取り扱い注意」(日テレ系)である。ワースト3位とはいえ、12・7%も取っている点はすごいのだが……。

 綾瀬演じる専業主婦の伊佐山菜美は、元スゴ腕の特殊工作員という過去を持っていた。そのスキルを使って周囲の主婦たちの様々なトラブルを解決していくという、笑いあり、アクションありの痛快エンタメ作品である。

 最大の見どころは綾瀬が披露したキレキレのアクションだろう。西島秀俊が演じた夫の勇輝が、表向きはIT企業を経営しているが、裏の顔は公安のエリートで、そのことを隠している設定もドラマを盛り上げた。最終回で勇輝は自分の正体を菜美に明かし、拳銃を突きつけるという衝撃的なシーンで幕を閉じたが、その後を描いた映画版が今年3月19日から公開予定。要必見である。

 残るワースト2作品はともに6・8%で並んでいる。まずはNHK総合で16年から3年間に亘り全22回で放送された「精霊の守人」シリーズだ。

 作家で文化人類学者の上橋菜穂子のファンタジー小説『守り人』シリーズ全10巻の実写化で、綾瀬演じる女用心棒のバルサの冒険活劇である。バルサは短槍使いの凄腕用心棒で、精悍で男勝りな性格。それまで比較的女性らしい役でヒット作を連発してきた綾瀬にとって、初の本格的なアクションに挑戦した作品となった。体当たりでこなしたアクションシーンを見事に演じ、17年にはジャパンアクションアワードでベストアクション女優賞最優秀賞を受賞している。アクション女優としての可能性も広げた一作といえるだろう。

 NHKのドラマは朝ドラと大河ドラマ以外、あまり視聴率が高く出ない傾向にある。期間を空けて3年に亘って放送という形も珍しい。一ケタの視聴率に終わったのも、仕方ないのではないだろうか。

 その点、問題はこの1作である。16年1月クールに放送された「わたしを離さないで」(TBS系)だ。

 日系イギリス人作家のカズオ・イシグロの同名小説が原作である。世間から隔離された施設で“普通の子ども”として育てられてきた3人の男女が、実は生まれながらにある使命を与えられた“特別な子ども”であることを知ってしまい、自分たちの“本当の運命”と向き合っていく……というヒューマンサスペンス。

 特別な使命を抱えた3人は、綾瀬のほかに三浦春馬と水川あさみという実力派が演じるということで、かなり期待されていた。が、最高視聴率は2度記録した7・7%がやっとで、全10話の平均視聴率は6・8%という大惨敗だった。低空飛行に終わった理由として「クローン」や「臓器提供」といった暗いテーマだったことが挙げられるだろうか。展開も“絶望”に向かって進んでいっただけに、見ている側としてもかなりキツかった。このドラマが放送された翌年にカズオ・イシグロはノーベル文学賞を受賞しているので、タイミングが早すぎたのも不運であった。

 結果的に二ケタを割った連ドラ主演作は2本のみ。平均で12%を取れたら合格点とされる昨今、綾瀬はるかはやはり“数字を持っている”女優なのである。

上杉純也

デイリー新潮取材班編集

2021年3月1日 掲載