この記事をまとめると

■第47回バンコク国際モーターショーが2026年3月25日から4月5日の会期で開催

■会場内における新車受注トップ10はトヨタとホンダ以外が中国系ブランドだった

■中国系ブランドはローンに通りやすい傾向があったり契約特典が豪華な傾向にあって人気だ

タイではモーターショーの会場で数万台もの新車の受注が入る

 タイの首都バンコク在住の事情通から、2026年3月25日から4月5日の会期で開催された、第47回バンコク国際モーターショー(BIMS)における予約販売台数が発表されたと連絡があった。筆者が中国や東南アジアなどで見てきた自動車ショーは新車販売を主眼とする、つまりトレードショー色の強い内容となっており、会期中の成約台数という数値が重要視されている。出展を検討する完成車ブランドなども、出展するか否かの判断において、この会期中の成約台数、つまり出展して何台売れるのか? という点を重視していると聞いたことがある。

 今回のBIMSにおいてブランド別予約販売台数トップとなったのは中国BYDオート(比亜迪汽車)で、1万7354台だった。2位はトヨタで1万5750台、10位にホンダが入っているものの、トップ10にランクインした日系ブランドはトヨタとホンダのみで、ほかはすべて中国系ブランドであった。これだけ見れば、日本車は大丈夫か!? とも思えるのだが、事情通はこのうちどれぐらいの台数が正式受注になるか……といったコメントで情報提供を結んでいた。

 タイに限らず、世界的にも新車購入に際してオートローンを利用するのは当たり前となっている。BIMSでは各ブランドが商談ブースを構えているが、多くのブランドではファイナンス会社の出張審査コーナーも併設されており、その場で与信審査が行えるようになっている。しかし、消費者の旺盛な購買意欲を背景に、近年では個人の債務額が急激に増加している。これをひとつの背景として各国政府がオートローン審査の厳格化を進めており、それが新車販売の伸び悩みにつながっている。この影響は二輪車やコンパクトモデルなど、所得にそれほど余裕のない層の需要が高い車両ほど大きいようである。

中国系ブランドは誰でも買いやすい

 このような背景もあり、最近では与信審査に時間を要するようになり、商談当日に結果が出なくなったため、与信結果を待たずに予約受注として販売実績にカウントしているというのである。つまり、ショー会場を訪れ、あとはローンの与信結果次第として商談をまとめ上げ、販売実績としていったんカウントするものの、結果的にローン審査が通らないなどの理由で、正式受注としてカウントできる台数は減ってしまう傾向にあると事情通は語ってくれた。

 このようななか、あくまで噂話として現地で聞くのは、中国系ブランドなら審査を緩めますよと、ローン申請段階で中国系(とくにBEV)ブランドの購入をすすめられることがあるという話である。中国系ブランドがファイナンス会社に根まわししていることによる動きともされるが、真偽は定かではない。ただこれが信ぴょう性の高い話ならば、本来審査の通らない人にも融資が行われている可能性も高く、支払い不能となる債務者が発生しやすい状況となり、ある意味タイではオートローンのサブプライム化が進むのではないかとまでいわれている。

 2025年末にバンコクで開催されたオートエキスポのときよりはややトーンダウンしているように見えたが、ショー開催期間中の中国ブランドの、値引きも含む購入特典は半端ない状況が続いている。「果たして利益が出ているのか?」と、会場を訪れた日本人の多くが感じている。

 とくにお手頃価格となる中国系ブランドのBEVについては、たとえばトヨタ・カローラクロスやホンダHR-V(日本でのヴェゼルに相当)といったHEV(ハイブリッド車)の購入を検討していた人が、半端ない購入特典などもあり、それより安く買えるとのことで中国系の同クラスBEVを購入したり、本来新車購入の厳しい層がコンパクトな中国系BEVを購入するなど、よりお買い得に新車を買いたいなら中国系BEVというのは、タイでは広くよく聞く話となっている。審査が厳格な日系ブランド車の購入を諦め、中国系ブランドへ流れていくといったケースもあるかもしれない。

 このような中国系の動きの影響を、日系ブランドだけでなく、ドイツ系高級ブランドあたりまで被っているように見える。タイの新車販売市場は決して良好とはいえない現状なので、日系や欧州系などでもある程度の購入特典は用意するのだが、その内容を見ると、中国系がやや度を超えた特典で販売促進活動を進めているため、それを無視することができないといった印象を会場内で筆者は感じた。

 売り方も含め、タイにおいて中国系ブランドは台風の目のような存在に筆者には映っている。