「時間がない」は心が枯れた証拠? 精神科医が教えるエネルギー枯渇のサイン【感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング】
いつも疲れているのは、心に溜まった闇や影のせい?
「時間がない」と感じるのも疲れのサイン
「寝ても疲れがとれない」「やる気が出ない」といった感覚は、心身が発する重要なSOSサイン。体の重さやだるさも、単なる肉体疲労ではなく心の奥に溜まった闇や影が、「もう限界だ」と送るメッセージです。
「心のエネルギー」が不足すると、他にも以下のようなサインが表れます。
●「時間がない」と焦りを感じる
●「何かをしよう」という意欲が落ちる
● 他人に頼りすぎたり甘えすぎたりする
● 頭に霧がかかったようにぼんやりして、集中できない
● 簡単な会話や文章が頭に入ってこない
● 感情のスイッチが切れたように、心が動かない
「時間がない」と焦りを感じるのは、そもそも何かをしようというエネルギーが枯渇してしまっているからだといえます。 そして、簡単な会話や文章でも頭に入ってこないのは、言語を処理する機能が
低下しているからです。
これらは単なる脳の疲労と思われがちですが、実は「自分らしく生きられていない」「本音と建前がずれている」ために生じるストレスサインなのです。
サインを見逃すと強い不調につながることも
これらのサインを無視して無理を続けると、脳は最後の手段として体と心に強制的にストップをかけることがあります。それが「クラッシュ」と呼ばれるエネルギーの枯渇状態です。
このとき特徴的なのが、活動の最中ではなく、活動後にバッテリーが切れて再起動できなくなるような状態(労作後倦怠感)です。例えば、短時間の会話や仕事をしただけなのに、半日~2日後に動けないほど体が鉛のように重くなることがあります。
また、夜になると「体は動かないのに頭だけが冴えてしまう」「考えが暴れ出して止まらない」といった症状が起こることもあります。
ここまでくると、気合いや考え方で乗り切れる段階ではありません。この状態を放置すれば、体の中では交感神経(アクセル)と副交感神経(ブレーキ)の両方がオンのまま緊張状態が持続し、やがて副腎疲労※1にいたります。
慢性疲労症候群(ME/CFS)※2や線維筋痛症※3など、通常の臨床検査で大きな異常が見つかりにくい不調の背景にも、こうした体の機能の乱れが関わっていることがあります。
疲労感は決して心の弱さではありません。脳と心と体が出している「これ以上は危険」というエネルギー枯渇のサインなのです。 どうか見逃さないでください。
※1 副腎疲労:過度のストレスにより副腎が疲労し、ホルモン分泌が乱れる状態。
※2 慢性疲労症候群(ME/CFS):強い疲労や倦怠感が長期間続き、休んでも回復しにくい病気。思考力低下や睡眠障害、自律神経障害なども伴う。
※3 線維筋痛症:全身の広い範囲に原因不明の強い痛みが出る病気。こわばりや睡眠障害、倦怠感などを伴うことが多い。
POINT
「時間がない」「集中できない」は心のエネルギー不足の警告。
放置せず、ペースダウンと休息を意識的にとって。
【出典】『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』著:長沼睦雄
【著者紹介】
長沼睦雄(ながぬま・むつお)
十勝むつみのクリニック院長・精神科医。昭和31年生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了。その後、障害児医療分野に転向し、道立札幌療育センターにて14 年間児童精神科医として勤務。平成20 年より道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と成人の診療を行う。平成28 年に帯広にて十勝むつみのクリニックを開院。急性期の症状を対症療法的に治療する西洋医学に疑問を感じ、HSP・アダルトチルドレン・神経発達症・発達性トラウマ障害・慢性疲労症候群などの慢性機能性疾患に対し、「脳と心と体と食と魂」をつなぐ根本治療を目指す統合医療に取り組んでいる。
『敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本』『繊細で敏感でも、自分らしくラクに生きていける本』(共に永岡書店)、『子どもの敏感さに困ったら読む本』『10 代のための疲れた心がラクになる本』(共に誠文堂新光社)、『その、しんどさは「季節ブルー」』(日本文芸社)など著書多数。

