(画像:『上田と女がDEEPに吠える夜』TVer配信ページより)
『上田と女がDEEPに吠える夜』(日本テレビ系)が、攻めた内容で話題を生み出している。

 同番組は、同局で放送している『上田と女が吠える夜』の新シリーズとして2024年4月から放送がスタート。深夜帯の放送で、番組名通りに『上田と女が吠える夜』よりDEEPな題材を深掘りする。

 約1年間で放送してきた話題は、「生理のツラさ」や「ルッキズム」、「性的同意」など民放のバラエティ番組としてはかなり際どい内容ばかり。3月11日の放送回では「芸能界の働き方改革」をテーマに激しいトークを繰り広げた。

◆SNSで議論も「TVerアワード2024」特別賞

 見逃し配信で人気が高く、再生数などでTVerに貢献した番組に送られる「TVerアワード2024」で特別賞を受賞しているヒットコンテンツだ。

 最近でも、3月4日に放送した回では「フェミニズム」をテーマにトークを展開。X(旧Twitter)を中心に大きな議論を巻き起こすことになり、深夜のトーク番組ながら一定の影響力を持つまでになっている。

◆女性たちの本音が聞ける『上田と女がDEEPに吠える夜』

 同番組は、MCをくりぃむしちゅー上田晋也が担当し、『上田と女が吠える夜』のレギュラー陣が持ち回りで出演している。この布陣に、テーマに合わせた女性有名人をゲストに迎え忖度なしのトークを展開する。

フェミニズム」をテーマとした回では、登壇者はMEGUMI、ファーストサマーウイカ、漫画家の瀧波ユカリ氏、山崎怜奈、LiLiCoの5人。俳優の綱啓永が聞き役でトークが進行した。

 各登壇者がこれまで受けた女性差別の経験を語り、その上で世の中を良くするための提言を行った。

◆生きづらさが赤裸々に語られ、女性は共感・男性は気づき

 この番組の魅力は、何と言っても女性たちのインパクトある発言だ。

フェミニズム」回でいえば、LiLiCoは忙しい中で仕事を片付け舞台に向かう途中で、タクシーの男性運転手から「いいよな、女は昼間からタラタラと芝居観られるなんて」と発言されたことを告白。

 コメンテーターも務める山崎怜奈は、「女性がちょっと語気強く言っただけで『怖い』とか『ゆっくりしゃべって』『落ち着いて』とか言われる」と話し、瀧波氏は男女平等の話題に対して「だったら男は女を全力で殴るけどいいの?」と言われると明かした。

 女性たちの生きづらさが赤裸々に語られ、女性からは共感を得る部分が多く、男性は気づきを与えてもらえる番組になっている。

上田晋也ベテランMCらしいバランス感覚が抜群

 とはいえ、女性の登壇者が多いので、どうしても男性からの意見が少なく、偏(かたよ)った方向に進行してしまうおそれもある。

 そこで、番組のバランスを巧みに操っているのがMCの上田だ。かなりデリケートな話題が多いが、トークバラエティである以上、男女、どの世代の視聴者が見てもおもしろくする必要がある。

 加熱しがちな女性たちの発言に対して、上田は持論を展開して、時には厳しい反論を受けながらバランスを取るようにしているようだ。

 また、ツッコミで笑いを取りながら、真剣な議論の場合は無駄な展開を作らないで静観する場面も多い。ベテランMCらしくバランス感覚が抜群で、DEEPな話題の多い番組を成立させている。

◆上田のフェミニズムへの考え方に共感の声

 今回の「フェミニズム」回でも、上田は女性たちの意見を聞きながら、男性の主張が強かった昭和を引き合いに出し、「良き昭和って、ごく一部の男にとってだけ良かった時代なんだろうなって思うの。しかも発言力があったり、会社で地位が高かったりする人たちにとっていい時代だったんだろうけど、それによって苦しんだ女性が相当数いたんだろうと思う」として、それらの古い思想が根強く残って現在でも脈々と続いているとし、そのことへの異議を唱えているのが今のフェミニズムの人たちだと思うと持論を述べた。