蝉川泰果が史上初のアマ2勝を達成! 今年覚醒したワンダーボーイ
今年の「日本オープン」は、1927年の第一回大会以来、95年ぶりのアマチュア優勝で幕を閉じた。快挙を成し遂げたのは東北福祉大4年の蝉川泰果(タイガ)。先月の「パナソニックオープン」でアマチュアVを遂げた蝉川は、国内メジャーの舞台で史上初となるアマチュアでツアー2勝を達成した。
兵庫県出身。タイガの名前は、米ツアー通算82勝、メジャー通算15勝のスーパースター、タイガー・ウッズ(米国)に由来する。ウッズがメジャー4連勝のタイガースラムを達成した2001年に生まれた。「海外でも呼びやすい名前にしたかった」と、ハンディキャップ5までいったことがある父・佳明さんは語る。本人の目標の人も「タイガー」だ。
ゴルフクラブを握ったのは1歳の頃。おもちゃ屋で買った子供用のプラスチック製クラブを振り回していた。「最初はそのクラブで壁を叩いていたけど、プラスチックボールを打つことを教えると、部屋の中を行ったり来たり、ボールを転がしていました」(佳明さん)。そして「保育園の頃には普通のジュニア用クラブを振ったのは覚えています」と、プラスチック製のクラブはいつの間にか本物のゴルフクラブに代わっていた。
小学3年生の頃には競技に出るようになり全国大会まで進出。高校は大阪市の興国高校に進み、「関西ジュニア」や「国民体育大会」で優勝した。「高校3年生のときに大学に行くか、プロに行くかで迷ったんですけど、金谷(拓実)さんだったり、比嘉(一貴)さんだったり東北福祉大の先輩を見て」と、日本一の大学に進むことを選んだ。「2年間でツアー優勝できたら」と思っていたが、昨年の「関西オープン」では6年ぶりの予選通過と、ツアーではまったく成績を残せていなかった。
昨年12月に初めてJGAナショナルチームに選出されると、今年に入って快進撃が始まる。4月の「関西オープン」で最終日最終組に入り、優勝争いを経験した。そして下部のABEMAツアー「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」で史上5人目のアマチュア優勝を達成。「ABEMAの優勝がきっかけで、僕は全部の試合で勝てるイメージが湧いている」と自信を深めた。
8月から9月にかけてフランスで行われた「世界アマ」では個人戦2位。そして迎えた国内男子ツアー「パナソニックオープン」では、トップタイで2度目の最終日最終組からスタートすると、後半に入って怒とうの5連続バーディで抜け出して史上6人目のアマチュア優勝。ウイニングパットを沈めると大粒の涙を流し、「学生のうちに優勝できるというのは想像していなかった」と喜んだ。この優勝で松山英樹、金谷拓実、中島啓太に続いて、日本勢4人目の世界アマチュアランキング1位の座についた。
蝉川の武器は飛んで曲がらないドライバー。「左にしっかり振り切ることを意識して真っすぐ飛ばす」。狭いホールでも果敢にドライバーを握り、正確なフェードボールでフェアウェイを外さない。ツアー1勝と世界No.1アマチュアの肩書きを持って、「勝たないと評価されない」と臨んだゴルファー日本一決定戦「日本オープン」では、深いラフと狭く絞られたタフなセッティングのなか、初日に「64」をマークして6アンダーで飛び出す。3日目を終えてトータル13アンダーまで伸ばし、2位に6打差をつけて最終日を迎えた。
最終日はスタートから連続バーディで、一時は後続に8打差をつけた。だが、9番ホールでアプローチのミスが続いてトリプルボギーを叩いて、バーディとした比嘉一貴とは4打差に。最終18番ホールではついに2打差まで迫られた。
緊張のティショットは、右に曲げた比嘉に対し、蝉川はドライバーをしっかり振り抜くと、ハイフェードでフェアウェイど真ん中に着弾。セカンドショットでバンカーに入れてピンチを招いたが、エッジからのパットをねじ込んで2打差で逃げ切った。これで史上初のアマチュアでツアー2勝を達成。昨年までツアーでほぼ実績がなかった21歳は、ついに日本一のゴルファーとなった。
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