世界が注目した頂上対決。開催国のブラジルがW杯優勝国のスペインを3―0と圧倒し、大会3連覇を達成した
ブラジルの強さが際立ちました。素晴らしいゲームプランでスペイン戦に臨んだと思います。スペインに何もさせなかったと言えるほどの強さでした。

ブラジルはチームとして上向きでしたし、突出した選手も多かったと思います。それに加えて、これまでのブラジルに足りなかった守備意識の高さがありました。シャビやイニエスタに何もさせなかったというブラジルの中盤の守備の良さが勝敗を左右しました。

前線からのプレスで中盤の守備を助け、ダブルボランチのルイス・グスタボとパウリーニョが運動量とバランス感覚の良さを生かし、スペインの決定機を潰していました。2人は守備力だけでなく、攻撃に参加したときの動きもいい。世界の強豪国の中でもこれほど素晴らしいコンビは見当たりません。

さらにいい時間にゴールも挙げました。試合巧者のスペインですから、「試合の立ち上がりとハーフタイムを挟んだ時間帯は守備に気をつけなければいけない」という感覚は身についていたはずです。それでもブラジルがゴールを奪えたのは、球際の強さと迫力、人数をかけたところのプレッシャーの激しさがスペインを上回ったからだと思います。

もっともスペインもブラジルのプレッシャーをかいくぐり、決定機も作っていました。そこでゴールが生まれたら流れも変わってきたと思います。ただ、それでも個人の力と組織力を兼ね備えたブラジルが、最後はスペインを凌駕していたのではないでしょうか。

日本がブラジルのようになるためのファースト・ステップとしては、まず守備力の強化だと思います。ブラジルはスペインのいいところをどう消すか考えていました。そして受身になる守備ではなくて、前から奪う守備でスペインの良さを出させないようにしていました。日本も同じように積極的な守備をして相手の特長を消し、ボールを奪うことが必要でしょう。

ただ、日本はボールを奪うことに合わせて、奪った後に、今度はどうやって相手に奪い返されないようにするか考えなければなりません。現在の日本ではしっかりボールを収めて、相手に渡さず前を向けるのは本田圭佑だけです。チーム力とともに、ボールを失わない個人の力を伸ばしていくことも重要になっていくと思います。

この大会で世界の勢力地図は少し変わったと思います。本大会ではブラジルと同じ組になりたくないですね。


撮影:岸本勉/PICSPORT (6月30日、コンフェデ杯決勝/ブラジル×スペイン)


前園真聖

■プロフィール
前園真聖(まえぞの まさきよ)
1973年生まれ、鹿児島県出身。サッカー解説者。横浜フリューゲルスで1992年、プロデビュー。その後、東京ヴェルディ(ヴェルディ川崎時代も含む)や湘南ベルマーレでプレー。ブラジルのサントスやゴイアス、韓国の安養LGチータースや仁川ユナイテッドに在籍するなど、国外にも活躍の場を広げた。

現在は、自身のZONOサッカースクールを総合プロデュースしているほか、2009年にビーチサッカー日本代表として現役復帰。同年11月、UAEドバイW杯・ベスト8に貢献した。

前園真聖・公式Twitterアカウント
@zono23