「5秒日記」書評 何でもない5秒を輝かせる
「5秒日記」 [著]古賀及子 年明けから短い日記をつけるようになった。「○○して楽しかった」とか「○○して疲れた」とか、日記というよりメモ的なもので、読み返しても特に何の感慨も湧かない。ふてくされかけていた頃に本書に出会い、これだ!と発奮した。
著者の古賀さんは人気の日記エッセイスト。『5秒日記』とは、5秒で書く日記、ということではなく、一日のうちのある5秒を「さっと、虫取りの網でとんぼを捕まえるみたいにすく」って書く日記だ。本書から例を挙げれば、植木に水をやろうとしたら鳩(はと)が「プー」と鳴いた、とか、家族みんなでカリフラワーの得体の知れなさを怖がった、とか、そのくらいの5秒。そんな何でもなさそうな5秒が、古賀さんの日記のなかでは次々奇妙で特別で輝かしい5秒に姿を変える。紙上にこぢんまり固定されているのではなく、5秒が現実よりも自由に飛び回っている。すごい。見よう見まねで私も5秒日記を実践し始めた。5秒を捕まえる虫取り網を心に握っているだけで、日常が冒険になる。人生にささやかな革命を起こしたい方にお薦めの一冊。
