「人生の最盛期を捧げた」旧統一教会、信仰の自由の裏で失った30年 “メシアの骨の壺”執拗な献金要求、多額の借金…元信者が明かす教団の闇
総額1000万円以上の献金、重なる消費者金融からの借金――。大分県内の元信者の女性が、30年間にわたる旧統一教会(世界平和統一家庭連合)での過酷な信仰体験と複雑な胸の内を明かしました。
正体隠した「アンケート」と「手相占い」
始まりは、大学時代に路上で求められたアンケートでした。
元信者:
「最初は東京の路上で声をかけられて勧誘されました。怪しいと思ったので一度はやめたんですけど、声をかけてくれた人が本当にいい人で…。おそらく、その人たちも純粋だったと思います」
池袋駅前でアンケートに応じた女性は、教団の正体を隠した「自己啓発セミナー」に誘われました。ビデオ学習や合宿を経て、創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏がメシア(救世主)であると明かされる「主証し」を受けます。
一時は教団を離脱したものの、再び正体を隠した「手相占い」の勧誘を受けます。姓名判断の鑑定料や「先祖の因縁」を理由とした印鑑購入(40万円)をきっかけに関係が再開。それから30年以上にわたり、彼女は教えを信じ続けることになります。
重なる消費者金融からの借金
信仰生活の中で、執拗に求められたのは多額の献金でした。
元信者:
「毎月、『月齢献金』と言って収入の10分の1を求められました。節理とかいって『2世が大変で救うため』とか、いろんなことを言われました」
女性は、メシアの骨で作られたと言われるツボ「龍雲石」を160万円で購入したほか、実印・銀行員・認印の印鑑3本セットを40万円で購入。さらに「先祖解怨式」や「救国献金」、「祝福献金」など献金総額は1000万円以上に上りました。
自身の収入だけでは賄えなかったため、消費者金融5~6社から借金を重ねて献金させられ、苦しい生活を強いられました。
旧統一教会が社会から再び注目されるきっかけとなったのは、山上徹也被告が起こした安倍元総理の銃撃事件でした。
山上被告は去年の裁判で母親が多額の献金をして家庭が崩壊したことや、安倍氏が教団の関連団体にビデオメッセージを寄せたことに絶望感を抱いていたことなどを事件の動機として述べています。
「組織の利権や闇」信仰の自由に疑念
この事件を機に、女性は損害賠償を求める全国の集団調停に加わりました。
被害者の救済に取り組む全国統一教会対策弁護団の遠矢洋平弁護士。大分県内では少なくとも5件の相談が寄せられています。
遠矢弁護士:
「まず正体を明かさずに勧誘されます。宗教の勧誘とはっきり言わず、『ちょっとアンケートどうですか?』と。もうその時点で信仰の自由という土台は崩れていると考えています」
「自分が信者であったということを公表することには、高いハードルがあると思っています。個人情報が外部に漏れないようにこれまでもやってきましたし、今後も配慮するので声をあげてほしい」
一方で東京高裁は今年3月、旧統一教会に解散命令を命じ、清算手続きが進んでいます。また、被害救済にあてる資産として少なくとも400億円を預貯金で確保したことが明らかになっています。
元信者:
「解散命令が出たときは、そうだよな、そうなるよなと思いました。教団側は『信仰の自由を侵害している』と主張していますが、形がなくても信仰は自由。そこにあるのは組織の利権や闇ですよね」
失われた「人生の最盛期」
女性は教団から決められた相手と結婚する「祝福結婚」も経験し、「合同結婚式」にも参加しました。写真や紹介などをもとに教団側が相手を選定する仕組みです。先祖の因縁や罪を清算し、“原罪のない子孫”を残すための重要な儀式とされています。
元信者:
「振り返ってみて一番つらかったのは、親を泣かせたことです。友達も失い、何一つ親孝行ができませんでした。人生の最盛期を教団に傾倒したため、キャリアを積むこともしませんでした。自業自得だと思いますが…自分を産んでくれた親に対して、もっと何かできなかったのかと後悔しています」
「あんなに一生懸命、あんなに熱心に信じて頑張っていたので、過去の自分を否定することは勇気がいるんでよね。だけど誰も幸せじゃないし、もう二度とその世界には戻りたくない。もっと自分を大事にしていきたい」
女性は教理の矛盾などから不信感が募り、2018年に脱会。今も教団に残っている知人の考えは尊重しつつ、組織や利権に縛られない「自由な信仰」のあり方を願っています。
取材:OBS八尋真梨絵記者

