「気持ちの問題では?」 うつ病の回復を妨げる、今すぐ改めるべき誤解【精神科医が解説】
Q. うつ病は、本人の気持ちの持ち方は関係ないのでしょうか?
Q. 「妹がうつ病と診断されました。妹はもともと少しネガティブな性格で、悪い方に考える癖があります。『薬を飲んで、きちんと治療を受ける必要がある』と説明されたようなのですが、本人の気持ちの持ち方も無関係ではないのでは……と思ってしまいます。実際はどうなのでしょうか? 早くよくなってほしいです」A. うつ病は気持ちの問題ではありません。心身の不調として理解することが大切です
うつ病は、単なる気分の問題や性格の弱さによるものではありません。いまだによく誤解されてしまうのですが、さまざまな要因が関係して起こる心身の不調です。発症してしまった場合、本人の努力や気の持ち方だけで改善できるものではありません。また、うつ病の状態になると、意欲の低下や思考力の低下が起こりやすくなります。「頑張りたくても頑張れない」状態です。健康な人でも「やる気が出ない」「ゆっくりしたい」という気持ちになることは日常的にあると思いますが、同じものだと考えて「気合が足りない」「怠けている」と捉えてはいけません。うつ病の特徴を正しく理解せずに接すると、本人の精神的な負担をさらに強め、回復を遅らせてしまうことさえあります。
周囲の人にできることは、無理に励ましたり考え方を変えさせようとしたりするのではなく、状態を理解し、見守る姿勢を大切にすることです。妹さんはすでに病院を受診されているようですが、必要に応じて医療機関に付き添うなど適切なサポートを心掛けることが、回復の近道です。
▼中嶋 泰憲プロフィール
千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。
(文:中嶋 泰憲(医師))
