究極の高級ミニ:デヴィル 小さく非力なキャデラック:シマロン 知ってたら博士級? 小さな高級車(3)
ラドフォード・ミニ・デヴィル(1963〜1965年)
今でも、コンパクトカーの中で一目置かれるミニ。1960年代へ遡っても、華やかなセレブリティたちに愛されたモデルだった。もちろんそんな富裕層は、ラグジュアリーならもっと良いと考えていた。
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ミニ・クーパーやライレー・エルフ、ウーズレー・ホーネットといった、上級志向の選択肢は正規に用意されていた。だが究極といえる高級ミニは、ロールス・ロイスやベントレーのボディを手掛けた、コーチビルダーのラドフォード社によって作られている。

ラドフォード・ミニ・デヴィル(1963〜1965年)
多くが特注仕様だったが、デヴィル・パッケージと呼ばれるベーシック仕様も存在した。クーパーかクーパーSがベースで、コノリー・レザーのシートに、ウォールナットのダッシュボードを採用。重くなる車重は、エンジンの専用チューニングでカバーされた。
★マニアな小ネタ:同時期に高級なミニを手掛けたのが、ピーター・セラーズ氏が立ち上げたフーパー社。彼は後にラドフォードへ移籍し、リアに大きなテールゲートを備えたデヴィル GTを1965年に発売している。
プジョー205 ジェントリー(1991年)
傑作ハッチバックのプジョー205へ、1991年に設定されたのがジェントリー。ベースはホットハッチのGTiで、クロームメッキのボディトリムに専用アルミホイール、ダーク・グリーンかシャンパン・ゴールドのボディ塗装で仕立てられた、高級仕様だ。
エンジンはGTi譲りの1.9L 4気筒。ややパワーダウンされていたが、ブレーキとサスペンションは1.6L版のGTiから拝借され、充分なスポーティさを秘めていた。レザー内装に電動サンルーフが備わり、お手頃なオートマティックの205 GTiとも呼べた。

プジョー205 ジェントリー(1991年)
ちなみに、205 ジェントリーは英国市場の限定。生産数は300台だった。
★マニアな小ネタ:エンジンは燃料噴射で、ボンネットはフラット。通常の205のAT仕様はキャブレター仕様のみで、エンジンの高さをカバーするため、僅かに膨らんでいた。
シンガー・シャモア(1964〜1970年)
今はなきヒルマンが生み出したサルーン、インプの人気を上向かせるべく、1964年に追加されたのが、ルーツ・グループ傘下にあったシンガーによるシャモア。ゆったりしたシートにウォールナット・トリムなど、豪華な内装が特長だった。
タコメーターに油温計、ヒーター・ブロワーも標準装備。そのぶん、ライバルモデルの最上級グレードより、価格も安くはなかったが。見た目は、専用ホイールキャップとフロントグリル、サイドストライプで差別化。塗装色も独自の選択肢が用意された。

シンガー・シャモア(1964〜1970年)
ワイドなタイヤは、操縦性を向上。改善した遮音性が、走行時の質感を高めた。その結果、シャモアは英国で人気を集め、5万台近くが生産されている。
★マニアな小ネタ:シャモアは、軽快に山を駆け回れるカモシカの英語名。シンガーは、そんな特性を小さなサルーンに与えたいと考えたのだろう。
キャデラック・シマロン(1982〜1988年)
ドイツから押し寄せる、小柄なメルセデス・ベンツ 190クラスやBMW 3シリーズに対抗するべく、キャデラックが投入したのが小さな高級サルーン、シマロン。Jプラットフォームを採用した、最上級モデルといえた。
アメリカでは、キャデラックの枠を超えて、ゼネラル・モーターズの全ブランドで購入することができた。英国へも輸出され、ヘッドライトとテールライト、フロントグリルが交換され、ヴォグゾール(オペル)・キャバリエとして販売された。

キャデラック・シマロン(1982〜1988年)
シートはレザー張りで、足元にはふかふかのカーペット。エアコンも装備され、確かに見た目の高級感は高かった。エンジンも2.8L V6で悪くなく思えたが、最高出力は126ps。キャデラックというブランドには、非力すぎたことは否めない。
★マニアな小ネタ:シマロンは、5速MTを採用した初のキャデラック。同ブランドでMTを選べたのは、約30年ぶりでもあった。
