「年金」をすべて支払った「完納者」の割合とは?満額納めた場合の受給額も解説

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少子高齢化時代に突入し、かつてより老後の生活が長くなっている日本の現代社会では、年金をどのくらいもらえるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、国民年金を満額納めた「完納者」の場合、老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給できる金額はどのくらいなのか解説します。

国民年金第1号被保険者における完納者の割合は「40.6%」

日本では、20歳に到達すると日本年金機構から国民年金加入のお知らせが届き、60歳までの40年間国民年金の被保険者となります。20歳の時点で学生であったり経済的な理由で国民年金保険料の支払いが難しかったりする場合は、猶予や免除の制度を受けられるため、国民年金の被保険者であっても保険料を納付しないケースも考えられるでしょう。
ただし、猶予や免除などの期間がある被保険者は、完納した場合と比べると将来の年金の受給額が低くなる点には注意が必要です。もし満額受給を希望する場合は、後から該当期間分の国民年金保険料を追納する手続きを行うことにより、受給額を満額に近付けることが可能です。
厚生労働省年金局が発表している「令和5年国民年金保険者実態調査 結果の概要」によると、国民年金第1号被保険者における保険料納付者は全体の50.2%で、そのうち完納した人の割合は40.6%とのことでした。
 

国民年金を40年間完納すると……? 老齢基礎年金額は令和7年度の月額で「6万9308円」

ここで気になるのが、国民年金を完納した場合、実際に自分が年金をもらう側になったらどの程度の金額になるのか、という点ではないでしょうか。日本年金機構によると、令和7年4月分からの年金額では、40年間国民年金をすべて納めた人がもらえる老齢基礎年金の月額は「6万9308円」となっています。
なお、厚生労働省によると、「年金額は、物価変動率や名目手取り賃金変動率に応じて、毎年度改定を行う仕組み」となっています。実際に、令和6年度の老齢基礎年金の月額は「6万8000円」でしたが、物価高の影響などにより改定され、令和7年度は前年度よりも1.9%引き上げられた金額になりました。
日本年金機構によると、老齢基礎年金の基本的な計算式は以下の通りです。
・78万900円(平成16年度額)×改定率×保険料納付月数/480月
 

厚生年金の平均受給額は「月額14万円」程度

では、厚生年金の月額受給額はどの程度なのでしょうか。厚生労働省年金局が発表している「令和5年度 厚生年金保険国民年金事業の概況」では、令和5年度末時点の厚生年金保険(第1号)における受給者平均年金月額は、併給する老齢基礎年金を含めて「14万7360円」としています。
ただし、厚生年金の場合、加入期間だけでなく過去の報酬額によっても受給金額が左右されるため、この金額はあくまでも平均です。
例えば日本年金機構では、平均的な月収として厚生年金保険での平均標準報酬額が45万5000円であることを前提とし、40年間就労した場合、夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を含めた厚生年金の月額の例を「23万2784円」と挙げています。
なお、厚生年金に関しても、近年は賃金の上昇や厚生年金への加入期間が伸びているといった理由から、将来的に受給額が上昇する可能性があります。
 

まとめ

老齢基礎年金の場合、満額を受給するためには480ヶ月(40年間)の納付が必要です。年金受給額は物価変動率や名目手取り賃金変動率に応じて改定されることがあり、将来的に受給額が上がる可能性も考えられるでしょう。
 

出典

厚生労働省年金局 令和5年国民年金被保険者実態調査 結果の概要 第1章 保険料納付状況の概要 1.保険料納付状況(4ページ)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~(1ページ、3ページ)
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金Q&A(年金額の改定) Q.年金額はどのようなルールで改定されるのですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー