菅の政権運営を左右する6月 全てはワクチン次第か……
の開催判断、通常国会の会期末処理、そして首都・東京の都議会議員選といった難題が待ち受けている
からだ。その3つのハードルをクリアしても、すぐに自民党総裁選という関門が立ちふさがる。いずれも
新型コロナウイルスとの戦いの中での対応となるだけに、息もつけない毎日が続く。
コロナ収束の道筋
菅は5月7日、東京や大阪など4都府県に発令中の緊急事態宣言の期限を5月末まで延長することなどを決め、記者会見でこう訴えた。
「私が先頭に立ってワクチン接種の加速化を実行に移す。必ず近い将来、この局面を乗り越える」
そして、ワクチン接種について「来月をめどに高齢者の接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患がある方々を含め広く一般の方々にも接種を開始したい」と述べ、前倒しして6月にも一般への接種をスタートさせる考えを表明した。
コロナ感染の「第4波」が押し寄せる中で、ワクチンは国民の安心、安全を守る「切り札」といえる。
政府は6月末までに1億回分以上のワクチンを確保できるとの見通しから、医療従事者(約480万人)と65歳以上の高齢者(約600万人)だけでなく、持病のある人(約1030万人)の一部にも接種が可能だと踏む。「1日100万回接種」という目標を掲げ、7月末の高齢者への接種完了も目指す。
菅の発言には、出遅れていたワクチンの確保と接種を少しでも加速させたいとの思いがにじんだ。
5月24日からは東京都と大阪府に大規模接種センターがオープン。菅は全国の1700余の市区町村のうち、約1000市区町村が7月中の高齢者接種を終了できるとの見通しを示しているとして、残りの市区町村も国の協力があれば目標達成は可能だと力説した。
ただ、自治体の中には接種会場や医療従事者の十分な確保が難しいところもある。スムーズに接種できるかは、なかなか見通せない。ワクチン確保の見通しが狂い、6月の一般への接種のシナリオが崩れれば、菅政権への逆風は強まる。
そして安心、安全が不安、危険に変われば、これまでに国民の間にたまっていた「自粛疲れ」「経済の疲弊」の不満が一気に噴出する。
それだけに、菅政権は総力戦でワクチン接種の加速に取り組むが、ワクチンを巡る少しの誤差は、東京五輪の開催の可否にも直結しかねない。
既に五輪開催に懐疑的な声が渦巻いている。報道各社の世論調査では、緊急事態宣言の延長もあり、五輪開催を支持する声は多数になっていない。
日本共産党委員長の志位和夫は5月6日の記者会見で、五輪・パラリンピックについて「今のコロナ感染状況はご承知の通りで、緊急事態宣言を延長せざるを得ない深刻な事態が続いている」と指摘し、「そうした状況を踏まえ、直ちに中止を決断し、関係諸方面と調整すべきだと強く求めたい」と強調した。
そして、五輪中止を求める理由について(1)ワクチン接種が間に合わない(2)国によって感染状況が異なる中でフェアな五輪にならない(3)医療従事者を五輪のために集めることは現実的でない──ことなどを挙げた。
呼応するかのように、立憲民主党政調会長の泉健太は翌7日の衆院議院運営委員会で「大変残念だが、夏の五輪は延期か中止にして、ワクチン接種と治療、国民の命と健康を優先させるように提案する」と訴えた。
あくまで五輪開催を目指す政府・与党との対立軸を明確にさせると共に、6月16日に会期末を迎える通常国会の終盤戦をにらんで「野党共闘」を演出する狙いがあるようだ。
