実例もある!? 総理大臣を「くじ引き」で決めるときもあるってほんと?
大統領選の話題で盛り上がっているアメリカ。投票日は11月8日なので、今年いっぱいホットな話題が続きそうです。
選挙で「同点」になったら、どうなるのでしょうか? 日本の総理大臣の場合は「過半数」を得る必要があり、全員が半数未満だった場合は上位2人で決選投票。延長戦に持ち越されます。それでも決着がつかないときは「くじ引き」と、耳を疑うような方法で総理大臣が決まります。幸か不幸か、まだ一度も「くじ引き総理」は誕生していませんが、議員会長選挙では実際にあった話。さかのぼれば「将軍」選びにも使われた、由緒(ゆいしょ)ある方法なのです。
■「当たり」を引けば総理大臣に!
アメリカの大統領は「選挙」で決まるのはご存じでしょう。対して日本の総理大臣は衆議院が「指名」する仕組みで、衆議院議員から選ばれるのが慣例です。そんな内閣総理大臣選びには驚くべきルールがあります。なんと「くじ引き」で決めることもあるのです。
これは「衆議院規則」に記され、抜粋すると、
・18条-1 … 票の「過半数」を集めたひとが、指名の対象
・18条-3 … 過半数を得たひとがいない場合、8条に従う
と決められ、最初のハードルは「過半数」。たった1票差で勝利しても、半数を超えなければ総理大臣にはなれません。
さかのぼって8条をみると、
・8条-1 … 過半数を得たひとが「当選」
・8条-2 … 誰も半数を超えなかったら、上位2位で決選投票
とされ、誰も半数を超えなかった場合は、上位2人だけの「延長戦」になるのです。
これでも決着がつかなかったら、どうなるのでしょうか? もう一回やり直し? も一理ありますが、これでは延々と決まらない可能性があります。そこで同点の場合は「くじ引き」によって2人から「総理大臣」を選ぶ、と決められているのです。
なんて不謹慎! と思える方法ですが、ここまで決まらないのは実力が互角、とも言えますから「運が強いほうを選ぶ」とも解釈できます。現在までこの方法で選ばれた総理大臣はいませんが、将来「くじ引き総理」が登場しても、何らフシギではないのです。
■室町時代には「くじ引き将軍」も
実際に政治で「くじ引き」が使われた例もあります。参議院議員会長選挙や、古くは室町時代の「将軍」選びもくじが用いられたのです。
2010年の自民党・参議院議員会長選挙では2人の候補者に40票ずつが投票され、そのままくじ引きへ。1〜6の数字が書かれた「くじ棒」を引き、数が小さいほうが当選のルールで会長が選ばれたのです。
室町幕府の6代将軍・足利義教(あしかが よしのり)も「くじ」によって将軍になりました。先代にあたる5代将軍・義量(よしかず)は18歳で他界、わずか2年弱しか将軍を務められませんでした。跡取りもなかったため、しばらくは4代・義持(よしもち)が代行していましたが、やがて義持も病気に… 残念ながら「アイツこそ後継者」と決定的な人物がいなかったため「くじ引き」がおこなわれ、義教が6代将軍に指名されたのです。
「くじ」と聞くと、テキトーに決めたと思えてしまいますが、日本では古来よりだいじなことを決める方法だったのです。
■まとめ
・内閣総理大臣は、衆議院が指名する
・票の過半数が得られないと決選投票、それでも決着しなければ「くじ」で決める
・室町時代には「くじ」で選ばれた将軍も存在する
(関口 寿/ガリレオワークス)
