小説家の五木寛之さんが西日本新聞に連載中の小説「親鸞」をご存知だろうか。
11月24日に福岡市、北九州市の2会場で講演を行った五木さん。子どものころにふるさとの山道を深夜1人で不安な気持ちで歩いていた時に、月明りに照らされる道を見て「自分の歩く道が見えることは、こんなに安心するものか」と感動した体験などを語った。「親鸞」にも触れ、親鸞は人々に「恐怖や絶望の中で生きているその時代の人たちを照らす月光のようなものではなかったか」と自らの体験に重ねた見方も話した。



「親鸞」は、現在、西日本新聞に連載されている福岡県出身の小説家五木寛之さんの作品だ。五木さんはこれまでに仏教、特に法然、親鸞についての作品もいくつか著しており、小説「蓮如物語」エッセイ「他力 大乱世を生きる」「大河の一滴」「元気」などにもその影響がみられる。
『親鸞』についてはこれまでも吉川英治をはじめ、丹羽文雄などが小説にしており、倉田百三の「出家とその弟子」津本陽の「弥陀の橋は」などでも書かれるなど多くの作家が題材とするものだ。

五木版「親鸞」は現在(11月25日時点)83回目まですすんでいる。親鸞が少年期に叡山へ入り、青年「範宴(はんねん)」になったところである。
幼少期には川原で死骸の衣服などをはいで暮らす坊主や、石つぶてを投げる盗賊、暴れ牛を飼いならす牛飼い童などが登場する。
川原の坊さんがダジャレを得意とするなど、現代風を時おりちらつかせていることで、より物語に入り込みやすくなっているところなどが、五木流のようだ。
物語はそうした者達と交流することで世間を知るところからはじまっている。

五木さんが講演でも話した「現代は親鸞の時代と同じ」ということをこの冒頭の章で、感じることができる。そこにあるのはまぎれもない、格差社会なのだ。
講演で触れた「法然や親鸞の教えは、時代に絶望する人たちの月明りが照らす道となったのではないか」ということを、現代と重ねながらこれからどう表現していくか。物語は始まったばかりである。
これまでも、エッセイなどで現代社会をどう生き抜くかに対してアプローチしてきた五木さんが、ズバリ「親鸞」という作品で何を伝えてくれるか楽しみである。

(編集部:真紀和泉)

【参照記事】
西日本新聞

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