「ゆるふわ女子大生ファッション」の終わり…「ジャージ・スウェット通学」が新たなトレンドとなったワケ

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「ゆるふわ」ではなくなった女子大生ファッション

1980年代バブル期、テレビ雑誌などのメディアでたびたび取り上げられ、火がついた“女子大生ブーム”とそのファッション。その後、1990年代、2000年代、2010年代と、さまざまな女子大生ファッションの変遷を辿るなか、先日Xでは以下の内容のポストが、1.3万“いいね”を獲得し、話題となった。

《今の女子大生、上下グレーのスウェットジャージとスニーカーに黒髪ロングで、なんでニートみたいな服着てバッチリメイクなんだろう?と初め不思議だったけどあれが流行りなのよね》

このポストに対しては、《ちなみにジャージで大学行ってそのままサークル出て着替えずに帰ったりしてました。しっかり“おめかし”しなきゃっていう風潮がなくなって生きやすいです》や、《大学ってわざわざお洒落とかして行きたくないって考えてる人間だから今のスウェットの流行りまじで有難い》など、若い世代からの共感の声が多数あった。

またこれに関連して、以下のようなポストも。

《なんか「大学ごときにおしゃれするのダルい(笑)」みたいなめんどいだけじゃなく、おしゃれにも冷笑する時代が来てるんだと思う。コロナ禍でみんな無気力冷笑モードになった。》

現在Z世代以下の若者たちの間で“冷笑”という言葉がSNSを中心によく見られているが、これは熱心な活動や意見に対し、一歩引いた目線で“せせら笑う”といった斜に構えた皮肉な態度を指すネットスラングだ。

こうした若者の間に流れる独特な空気感も、現在の女子大生ファッションの“無気力さ”に関係しているのだろうか。

現役女子大生が語る“ジャージ通学”の心理

実際に大学へジャージで通学することが多いという現役女子大生のユウナさん(仮名・21歳)。ユウナさんは都内の女子大に通っているが、大学へ“おしゃれ”をしていくことは滅多にないという。その理由についてこう語る。

「大学に行っても、一人で授業受けて終わるだけの日も多いし、わざわざそのためだけにメイクして着飾るのは、ダルいなって感じるんです。別に知らない人にどう見られてもいいし、それよりも自分がラクできることを優先したいというか。

でもたまに大学内で友だちと会うタイミングがあるときや、大学の授業が終わってから予定があるときなどは、フルメイクして、ちゃんとコーディネートを考えて大学に行くこともありますよ」(ユウナさん)

大学に行くときは基本ノーメイク、全身ジャージやスウェット姿が多いというユウナさん。バイト先へ行くときも、同様の格好をすることが頻繁にあるんだとか。

「今のバイト先は一応接客業なんですが、服装のルールとかがゆるいので、ジャージやスウェットパンツを履いていくこともよくあります。メイクは一応しますが、他の同世代のバイト仲間の子もスウェットパンツとかで働きに来てるので、服装については特に気にしたことはありません」(ユウナさん)

ユウナさんはこうした自身の服装の心理について、さらにこう分析する。

「大学内でも街中でもジャージやスウェットといった“ダル着”で歩く人たちをよく見かけますし、駅ビルとかにある若者向けのアパレル店でも、ジャージなどを着たマネキンが飾ってあることも珍しくないです。ジャージなどを着るのは、“服装を考えるダルさ”以前に、トレンドとして流行っているから、というのも理由としてあるんじゃないでしょうか」(ユウナさん)

ジャージやスウェット通学が流行のワケ

ここからは、若者のファッションやライフスタイルを中心に研究している、共立女子短期大学教授の渡辺明日香氏に話を聞いた。

渡辺氏は同大学で実際にジャージやスウェット姿の学生が目立ってきていると話す。

「私が教える学生たちの間で見られる傾向としては、入学したばかりの1年生たちは、マーメイドスカートやスッキリとしたシルエットのデニムなど、割ときれいめな服装をしていることが多い一方、2年生以上になると、ジャージやスウェットを着る学生の割合が増えているように感じます。だいたい学年の3割ほどは、こうしたラフな服装をしている印象ですね」(渡辺氏)

80年代には「ハマトラ(横浜トラディショナル)」といった“お嬢様風スタイル”が主流だった女子大生ファッションが、現在のような緩めの服装に変化したわけについて、これまでの若者ファッションの変遷を追いつつ、渡辺氏はこう分析する。

「1986年に施行された『男女雇用機会均等法』をきっかけに、女性の社会進出が本格化し始めたこともあり、女性が主体となって“自分で稼いだお金を自分のために消費する”という傾向が80年代後半から強くなりました。こうして美容ファッションなどに自己投資をすることが女性たちの間でトレンドとなり、『ハマトラ』に代表される華やかな服装が憧れとなったわけです。

90年代になると華美な服装とは打って変わって、スポーティーでカジュアルな『渋カジ(渋谷カジュアル)』と呼ばれるスタイルが登場します。セレクトショップなどで購入したさまざまなブランドを、自分だけの個性を出しつつ着こなすのがトレンドでした。

現在若者たちの間でジャージやスウェットといったアイテムがトレンドとなっていることは、当時と全く一緒のスタイルではないにしろ、この90年代のスタイルがリバイバルしてきているという印象も受けます」(渡辺氏)

2000年代に入ってからは、『CanCam』、『JJ』、『ViVi』といった女性ファッション誌に代表される“赤文字系”が流行。男性から“モテる”要素を全体的に取り入れつつ、清純さ、グラマラス・セクシーなど、雑誌ごとに代表される細分化した女性らしいスタイルが、女子大生ファッションの定番となった。

そして2010年代に入ると、再びカジュアル要素が強くなっていくという。

「2011年に発生した東日本大震災以降、余震などが続き不安定な情勢となったことから、女性たちの間で、ハイヒールといった女性らしいアイテムより、機動性が高いスニーカーといったアイテムの人気が高くなりました。さらに2020年からも引き続きこうしたカジュアルトレンドは継続し、例えば『ワークマン女子』といった店舗が誕生するなど、女性らしい装いよりも、タフで機動性がある、ナチュラルな装いが流行します。

“Y2K(ワイツーケイ)”と呼ばれる2000年代初頭のファッションのブームもありますが、それとは別に2010年代から続いているカジュアルファッショントレンドも、ジャージやスウェットなどが現在の若者たちから支持される理由として挙げられるでしょう」(渡辺氏)

【つづきを読む】服はダル着だけど、メイクやネイルはバッチリ…いまの女子大生がファッションで「あえて力を抜く」理由

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