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「学びたい」という思いに、年齢も理由も関係ありません。この春、大分県内初の県立夜間中学「学びヶ丘中学校」が開校しました。10代から80代まで、多様な背景を持つ36人の1期生。その中には、あの“スーパーボランティア”の姿もありました。

【写真を見る】86歳で中学1年生に スーパーボランティア・尾畠春夫さんが「夜間中学」へ 奉公、独学…“空白”埋めるため約80年越しの挑戦

「学ぶのに遅すぎることはない」

学びヶ丘中学校で21日開校式が行われ、様々な事情で学校に通えなかった人たちの「学び直しの場」としてスタートを切りました。

佐藤樹一郎知事:
「学び始めるのに遅すぎるということは決してありません。新たな一歩を踏み出した皆さんの姿そのものが、大きな希望を与えてくれるものとなります」

午後5時から始まり午後9時に終了

井口キャスター:
「学びヶ丘中学校は、大分市の爽風館高校の敷地内に開設されました。ここで夜の中学校生活が始まります」

夜間中学は、昼間に爽風館高校の生徒が使用する教室を活用します。活動は月曜から金曜までの週5日。午後5時の給食から始まり、学級活動や4コマの授業を経て、午後9時に終了します。

通常の中学と同じように9教科や道徳、総合的な学習の時間もあり、12人の教職員がチーム担任制で生徒をサポートします。

県立学びヶ丘中学校 山川明宏校長:
「夢や希望をもう一度呼び起せる場所です。ここに来るのも実はいっぱい勇気が必要ではないかと思います。そういった方々のこれからを切り拓き、しっかりと支援していきたいです」

スーパーボランティア尽きない「学びへの意欲」

1期生の中には、日出町の尾畠春夫さん(86)の姿もありました。スーパーボランティアとして全国に知られる存在ですが、なぜ入学を決意したのでしょうか。

尾畠春夫さん:
「私は小学4年までしか義務教育を受けていません。『うちでお前は養ってやれん。飯を食わしてやれないから村で一番大きな農家に奉公に行け』と言われました。勉強はしたかったけど、奉公に行っているからできないですよね」

7人きょうだいの3男だった尾畠さん。小学5年生から奉公に出され、中学にはほとんど通うことができませんでした。

鮮魚店を営むようになってからは、独学で勉強を続け、学びへの意欲が尽きることはなかったといいます。

尾畠さん:
「引き算と足し算は最低しないといけない。かけ算もしないといけないし、それは店が終わってから長いときは朝3時くらいまで1人で勉強していました」

今でも新聞を見て、読めない漢字があると書き出して調べるのが日課となっています。

尾畠さん:
「小中高の子どもから『おじちゃん、ちょっと王様の王を書いてみて』『玉を書いてみて』と言われたときにそんなの知らんわって言うのもなんか恥ずかしいから。自分ができることをやって、卒業するときは90歳か91歳でしょうね。最後まで行って卒業式に出られればの話よ」

それぞれの「空白」埋めるため

県立学びヶ丘中学の初年度は、10代から80代まで36人が入学。家庭の事情や不登校で中学に通えなかった人や、外国にルーツを持つ人など、その背景は様々です。

(新入生)「不登校で、中学すべて行っていないので頑張ります」「日本に来て13年ですが、漢字が難しいから日本語の勉強をしようと思って中学に入りました」

「小学校から不登校で入学してみようと思って、目標は勉強に取り残されないように頑張ることです」「漢字をいっぱい覚えたい。一番ビリでもいいから卒業できたらいい」

「もう一度学びたい」「学校に通いたい」というそれぞれの思いに応える夜間中学。86歳の尾畠さんとクラスメートたちの挑戦は、まだ始まったばかりです。