降り注ぐ火柱、焼け焦げた子ども用自転車 「駐在さん」が守り抜いた命と再会の約束
大分市佐賀関。潮の香りと人情が残るこの街で、住民から「駐在さん」と親しまれている大分東警察署・佐賀関駐在所の加藤貴彦警部補(50)。単身赴任で地域に溶け込み、4年。街の安全を見守ってきた加藤さんが、あの日におきた凄まじい光景を振り返りました。
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目の前で見た火災旋風の恐ろしさ
加藤貴彦警部補:
「景色や食べ物はもちろんですが、何より人がいい。今の時代に失われつつある『人情』がここには残っています」
平穏な日常を火の手が襲ったのは去年11月18日のことでした。現場へ急行した加藤さんの目に飛び込んできたのは、予想を上回る火の勢いでした。
加藤貴彦警部補:
「まさかこれほど広がるとは誰も思っていませんでした。のんびり様子を見ていた方に避難を呼びかけていたその時です。火災旋風に巻き上げられたのか、焼けた住宅の柱の破片がバラバラと降ってきました。避難所すら危ない。すぐに別の場所へ移動を呼びかけました。日頃からコミュニティの一員として顔を合わせていたからこそ、皆さんも私の言葉を信じて動いてくれました」
上がる悲鳴、広がる延焼 安否確認に奔走
火の手は街の象徴であった斜面の寺にも及びました。上がる悲鳴、広がる延焼の危機。加藤さんは自治会長らと連携し、夜通しで安否確認に奔走しました。
加藤貴彦警部補:
「消防の方々が足をガクガク震わせながら必死に消火にあたっていたのを覚えています。当初は被害の全容が見えず不安でしたが、火元の方以外、全員が無事に避難していると確認できた時は、本当に安堵しました」
鎮火後も、加藤さんの警察官としての任務は続きました。本署や県警本部からの応援で24時間態勢を組み、現場周辺の警戒を継続。現在も定期的なパトロールを続けていて、火事場泥棒などの被害は報告されていません。加藤さんはその間、被災者に寄り添い、住民一人ひとりの不安な訴えに耳を傾けてきました。
焼け焦げた自転車への涙
加藤貴彦警部補:
「火災の後、焼けた住宅で子どもの焦げた自転車を見た時に思わず涙が出ました。今回のような大火事を二度と起こさないように未来に伝えることも警察官としての任務と思います」
「人の役に立ちたい」その真っすぐな思いで、加藤さんは佐賀関で暮らしながら地域を温かく見守ります。コミュニティに安心感を与えたいといつも考えています。
加藤貴彦警部補:
「火災を免れた家の方は、ご近所さんが帰ってくるのを心待ちにしています。『2年後にみんな集まろう』その合言葉を胸に、皆さんが笑顔で元気に戻れるコミュニティが復活する日を私も一緒に楽しみに待っています」

