SBIホールディングス会長兼社長・北尾吉孝が打ち出す「メディア・IT・金融の融合」戦略
─ 日米両国ともに利益を享受できる可能性があると。
北尾 そうです。日本が投資した実績をつくり、米国からうるさく言われなくなる可能性を持つプロジェクトだと思います。
今回の関税交渉は、日本の産業構造を見直す機会でもあると思います。例えば自動車業界は今の関税でも厳しい状況にありますが、今なお日本には多くの自動車メーカーがありすぎる。これは化学でも製薬でも同じで、これからは、国内での無駄な競争はやめて、競争できる分野で戦うべきです。
─ グローバル展開のあり方を見直す時だということですね。
北尾 まさにそうです。かつてのグローバリゼーションは、人件費、生産コストが安い国でつくることで一見成功したように見えました。それがコロナ禍の時に、多くを中国に依存していたことに気づいたわけです。今後のグローバリゼーションでは、「地産地消」をいかにグローバルに展開していくかが肝要です。米国に工場をつくり、米国のマーケットに供給する、あるいは東南アジア向け製品の生産拠点を東南アジアにつくって、そこから供給する。「地産地消」のグローバル供給網を築き上げることが、日本のメーカーにとって最も大事な戦略ではないかと思います。
─ その新たな体制の中で、日本は高付加価値のものをつくっていくということですね。
北尾 そうです。例えば先日、富士通と理化学研究所は、次世代の量子コンピューターを開発したことを発表しました。これを活用して、次世代に役立つ製品を開発することができるかもしれません。我々もバイオテクノロジーを始め、優れた技術・製品を有する企業を探索しているところです。
SBI新生銀行を核に地方の活性化を
─ ところで、SBI新生銀行は、長年にわたる課題だった公的資金の返済に道筋を付けましたね。
北尾 今回政府側と返済スキームで合意し、公的資金の返済に道筋はつきましたが、私はできる限り早く完済したいと考えています。そのための布石も打ちつつあります。
─ SBI新生銀行は地方金融機関とも連携しているわけですが、日本の隘路である地方の衰退を食い止める方策とも絡んできますね。
北尾 公的資金を返済した後、SBI新生銀行を再上場させたいと考えています。そして、再上場後は、SBI新生銀行を中核とする「第4のメガバンク構想」を強力に推進していくつもりです。
私が、この「第4のメガバンク構想」を打ち出した当時は、まだ旧新生銀行はグループ入りしていませんでしたが、必ず手に入れようと思っていました。SBI新生銀行を中心に、様々な面で全面的に地方銀行を支えていくような基盤を構築しようと考えています。
─ 多くの地方で地元経済の疲弊が顕在化しています。
北尾 今、改めて地銀再編の潮流が起きていますが、人口減少によって地方経済は縮小を続けています。オーバーバンキング状態にある地銀はなかなか預金を増やせていませんし、貸出先は地元企業ですが、人口減少で収益力が落ちている。そこを我々は、地域金融機関の再編成を促しつつ、規模の経済をあくなきまでに追求して生き残る道を見出そうとしています。
例えば、我々は島根銀行と連携していますが、見違えるくらい変化しています。考え方を「リージョナル」から「ネーションワイド」に切り替え、スマホ専用のインターネット支店を立ち上げる等、様々な施策を実施した結果、今まで減る一方だった預金も大きく増加に転じています。また、地元の島根大学から新卒社員を採用できるようになったと頭取も喜んでおられました。
