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「嫌がらせでドミノピザが届きました。当然受け取り拒否です」。注文していないドミノ・ピザの商品が店に送りつけられたという弁当店のツイートが話題となっている。

ツイートしたのは、弁当店「キッチンDIVE」(東京都江東区)の店長・伊藤慶さん。伊藤さんによると、11月4日に田中という名前で、合計1万747円の商品が店に宅配されたという。

同店には2〜3年前から、注文していないピザやマクドナルドの商品、Amazonからの荷物が届くことがあった。ドミノ・ピザについては過去に2、3回届いたため、「うちから注文することはない」と伝えていたという。

伊藤さんは「今後はこういった送りつけがあっても、警察に相談し、厳正に対処していきたい」と話す。ドミノ・ピザは警察に相談しているという。こうした送りつけ行為は、どのような法的問題があるのだろうか。坂口靖弁護士に聞いた。

●注文を受けた店舗に対する罪が成立する

--送りつけ行為には、どのような法的問題がありますか。

一般論としては、偽の注文行為においては、通常、偽装された発注者(今回の事案でいえば、キッチンDIVE)においては、特段損害は生じません。

このような事情もあり、偽の注文行為については、実務上、注文を受けた店舗に対する偽計業務妨害罪が成立し、捜査がなされ立件されるのが通常です。

今回の送り付け行為についても、ドミノピザに対し、虚偽の発注をすることで欺き、その錯誤を利用して、ピザの宅配業務等を実行させているため、ドミノピザに対する偽計業務妨害罪が成立する可能性が極めて高いものと考えられます。

●送りつけられた側にも営業に支障が生じてしまう

--商品を受け取らずお金を払っていない場合、送りつけられた弁当店側は何か訴え出ることはできないのでしょうか。

今回の事例の場合、「キッチンDIVE」さんが店舗営業をしている間に注文していないピザが届くことで、その対応などに時間をとられ、その営業に支障が生じてしまうということが考えられます。

したがって、今回の送り付け行為については、キッチンDIVEさんに対する偽計業務妨害罪が成立する余地もあるように思われます。

ただ、今回のケースでは、既にドミノピザの方で警察に相談しているとの事情もあることから、警察としては、ドミノピザに対する偽計業務妨害罪での立件する方が簡明であるため、偽計業務妨害事件として捜査を実施していくことになる可能性が高いものと予想されます。

【取材協力弁護士】
坂口 靖(さかぐち・やすし)弁護士
大学を卒業後、東京FM「やまだひさしのラジアンリミテッド」等のラジオ番組制作業務に従事。その後、28歳の時に突如弁護士を志し、全くの初学者から3年の期間を経て旧司法試験に合格。弁護士となった後、1年目から年間100件を超える刑事事件の弁護を担当。以後弁護士としての数多くの刑事事件に携わり、現在に至る。YouTube「弁護士坂口靖ちゃんねる」 <https://www.youtube.com/channel/UC0Bjqcnpn5ANmDlijqmxYBA> も更新中。
事務所名:プロスペクト法律事務所
事務所URL:https://prospect-japan.law/