9月27日に亡くなった竹内結子さん

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生後8ヶ月の息子がいるというニュースは、ことに韓国人ファンを悲しませた

 韓国でも人気の俳優、竹内結子さん(40)の自殺が伝えられ、あちこちから哀悼の声が寄せられている。このところ日本の芸能人の自殺が続いたが、竹内さんの場合は有名ドラマに主演・出演していただけに、韓国でも大きな驚きをもって迎えられている。

【写真】「露出ドレス」批判も重なり…

 韓国の主要メディアは今月27日、自殺で亡くなった竹内さんの死亡事件を一斉に報道した。

 ネット上でも竹内さんの写真や哀悼の意を各自がSNSに載せ、追慕の空気一色だ。

 竹内さんの死により、日本の芸能界で自殺が多発しているニュースが韓国では注目を集めているが、周知のとおり、韓国でも芸能人の自殺は多い。

9月27日に亡くなった竹内結子さん

 富と名誉、人気まですべて手にしたスターは、有名人であるがゆえにさまざまなうわさやスキャンダルに巻き込まれ、悪質な書き込みやデマに悩まされ、大きな苦痛を味わってきた。

 人気と評判で人生が決まるスターの宿命は日本も韓国も同じだ。

 彼女が昨年2月に再婚し、生後8ヶ月の息子がいるというニュースは、ことに韓国人ファンを悲しませた。

 このニュースを聞いたファンらはネット上で「信じられない」という反応を示し、ドラマの中で彼女が見せた明るい姿について語り合っていた。

「一時は彼女の笑顔を見たくて日本のドラマを見たと言っても過言ではない。とても切ない」

 と悲しみを吐露する者がいれば、「『ランチの女王』で竹内さんが食べる姿を見て、おいしそうに食べる方法が分かった。あなたのほほ笑みを愛した」というメッセージも。

 竹内さんの死が注目を集めると、韓国メディアは最近増えている日本の芸能人の自殺を報じた。

 今月14日に自宅で死亡した芦名星さん(享年36、以下同)や20日に亡くなった藤木孝さん(80)、その他にも、三浦春馬さん(30)、木村花さん(22)……。

 竹内さんの自殺によって日本の芸能界の悲劇が再び注目されている。

日本列島を襲った芸能人の自殺の連鎖……韓国も同様の状況

 中でも木村花さんに関しては、SNSによる誹謗中傷が大いに話題となった。韓国の場合、その傾向は顕著だ。

 今月14日、自宅で自殺したオ・インへさん(36)は、170センチに49キロ、グラマラスなボディーの俳優。

 彼女も、悪質な書き込みによるうつ病を克服することはできなかった。

 彼女は2011年、釜山国際映画祭のレッドカーペッドでセクシーな赤いドレスをまとって登場し、一気に有名になる。

 だが、それから9年間「露出ドレス」へのバッシングに悩まされるなどし、自ら命を絶つこととなってしまったのだ。

 昨年10月には俳優兼歌手のソルリさん(25)、11月には歌手のク・ハラさん(28)が自殺で命を絶ち、韓国の芸能界は深い悲しみに包まれた。

 ソルリさんの場合は、12歳年上の歌手である恋人との性関係や、ブラジャーを着用していない「ノーブラ・ファッション」に関する揶揄、麻薬投薬説などが批判という火に油を注いだ。

 ク・ハラさんの場合は、恋人の暴行事件で裁判を受けながら日本での再起を夢見ていた。

 が、不本意にも私生活がマスコミを通じて絶えず伝えられることになってしまい、ネット上では「汚くて醜い」などといった悪意あるコメントが相次いだ。

 韓国では過去にも、チョン・ダビンさん、イ・ウンジュさん、チェ・ジンシルさんなどの俳優が20〜30代の若さで自ら命を絶ち、多くの人を悲しませてきた。

 芸能人という理由で私生活があらわになり、顔も名前も知らない不特定多数の人々からの批判を受けなければならなかったのだ。

「妊娠および堕胎」など、それ以外はここでは特にキーワードをあげることは控えておくが、女性ゆえに付きまとうフェイクニュースやデマも後を絶たなかった。

 これらの俳優はみな生前のインタビューや文章などを通じて「寂しくてつらい」「憂うつだ」「少しは応援してほしい」と訴え、自殺のシグナルを送っていたにもかかわらず、大衆はその切迫した訴えを意図的に無視して悪質なコメントを書き、バカにしてもてあそび、見下していた。

誰かの自由が誰かの死につながるのなら…

 亡くなった竹内さんについて、その原因はよくわからないのが現状のようだが、直近のインタビューでは、子育てとキャリアに対する不安を語っている。

「出産で仕事を離れることには不安がありました。(中略)私の代わりはいくらでもいると思っていて、怖くてたまらなかった」(女性ファッション誌『LEE』10月号)

 キャリアを志半ばで諦めなければならなかった女性は星の数ほどいることを考えると、誰にとっても無縁なことではないはずだ。

 もっとも、生き馬の目を抜く芸能界。人気商売ゆえにスターの人生は世間の評判で決まる。

 差し当たって、韓国では国会を中心に悪質な書き込み禁止法の制定が進められていて、日本政府も誹謗中傷を書き込んだ人を特定する身元情報の公開法案を用意するなど、侮辱的な書き込みを法的制裁で禁止できる手段を模索中だ。

 一方で、「表現の自由」が憲法で保障されている日本と韓国では、関連法の制定をめぐって意見が分かれる。

 とはいえ、誰かの自由が誰かの死につながるのなら、その権利は制限されてしかるべきだろう。

相談窓口

・日本いのちの電話連盟
電話 0570・783・556(午前10時〜午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/

・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/

・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

高秀樹/在韓ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年9月30日 掲載