学生の窓口編集部

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「技術革新」「刷新」という意味をもつイノベーション。公益社団法人発明協会では創立110周年を記念し、「戦後日本のイノベーション100選」を選定する事業を実施しています。

第1回発表においては38イノベーションが選定され、うち、一般及び大学のイノベーション研究者など有識者へのアンケートを行い、得票数の多かった案件についてはトップ10として公表されています。さっそく年代順にみていきましょう。

●内視鏡

オリンパス光学工業(現 オリンパス)が戦後間もない1940年代後半から東京大学病院の要請を受け、いわゆる産学連携で胃カメラの開発に取り組んできた医療機器です。

患者さんの負担を大幅に減らし、さらには、早期がんであれば大半は内視鏡によって治療ができるようになり、予防医学の発展にもつながりました。

●インスタントラーメン

日清食品の創業者である安藤百福氏が生み出した「チキンラーメン」は、1958年に発売が開始されると、インスタントラーメンという新市場を開拓していきました。

現在は宇宙食にも採用されるなど、革新性や社会・文化への影響、国際的な評価から、「戦後日本の極めて重要なイノベーションの一つ」として評価されることに。

●マンガ・アニメ

いまや「Manga」「Anime」は世界共通語ですが、両産業の立ち上げと連携に大きく貢献したのが、漫画『鉄腕アトム』の原作者手塚治虫氏です。彼が設立した虫プロダクションでは『鉄腕アトム』をアニメ化し、1963年に日本で最初の30分枠のテレビ放映に取り組みました。

「ジャパニメーション」「クール・ジャパン」として、日本で制作されたマンガ・アニメが世界的に高い評価を得ていることは言うに及ばず。

●新幹線

日本国有鉄道が1964年10月1日に営業運転を開始した「新幹線」は、世界で初めて実現した高速都市間鉄道システムで、後に、フランス、ドイツをはじめとする高速鉄道網の実現を促すものとなりました。

●トヨタ生産方式

トヨタ自動車が「自働化」と「ジャスト・イン・タイム」を柱として戦前から築いてきた生産方式で、前者は不良品の供給を回避するため、後者はリードタイムの短縮化と生産効率の改善を実現するためのものです。

1974年の石油危機以後の不況期を乗り切って躍進をとげたことで世界的に注目されました。世界トップの自動車メーカーとなり、日本の自動車産業の発展を実現した高い品質と生産性の実現に大きく貢献したことは言うまでもありません。

●ウォークマン

1979年にソニーによって開発・発売されたステレオカセットプレイヤーで、これによりあらゆる場所でステレオ音楽が楽しめるというライフスタイルが確立されました。

●ウォシュレット

東陶機器(現TOTO)が180年に発売開始した温水洗浄便座で、後に、「おしりだって洗ってほしい」という斬新なCMで知名度が急上昇。

清潔性向上のみならず、トイレに関するマイナスのイメージを一新、快適感を与える空間へと変化させた功績も見逃せません。

●家庭用ゲーム機・同ソフト

1983年に任天堂株式会社が発売した「ファミリーコンピュータ」は、ゲームセンターに行かなくても家庭のテレビ画面で楽しめる画期的なゲーム機として大ブームに。

1994年にはソニー株式会社が発売した先進的3D画像処理技術を採用したゲーム機「プレイステーション」が発売されました。

日本の家庭用ゲーム機のハードウエア・ソフトウエア総出荷額は、2007年、有料携帯電話ゲームコンテンツ等を加えると3兆円を超えるものになりました。

●発光ダイオード(LED)

半導体に電流を流すことで発光現象を得る電子部品で、液晶ディスプレイのバックライト、スキャナーの光源、街路灯、屋内照明等が、青色LEDとそれに伴う白色LEDの実用化により、LEDに置き換えられつつあります。

白色LEDの寿命は4万時間以上で、消費電力は既存の光源と比べ10%〜40%程小さく、二酸化炭素排出の削減にも貢献しています。

●ハイブリッド車

1997年、トヨタ自動車が内燃機関と電気モーターの二種の動力源を用いたエンジン装置、いわゆる ハイブリッド(エンジン)システムを搭載した車を世界で初めて量産化すると、気候の温暖化という全地球的課題に対応する車として世界の注目を浴びました。

このシステムを搭載した「プリウス」の累計販売台数は300万台(2013年6月)を超えており、ハイブリッド車という新市場を切り拓いたと言えます。

なお、iPS細胞については、トップ3に入る得票数を得たものの、現時点では開発段階ということで今回の選定からは外されています。今後に大いに期待しましょう。

文・鈴木ゆかり

参考・引用

公益社団法人発明協会――戦後日本のイノベーション100選

http://koueki.jiii.or.jp/innovation100/innovation_list.php?age=topten