逆転勝利の陰で驚きの選手起用…中野雅臣がまさかのCBでの出場

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 世界の大舞台で、まさかのCB起用だった。

 所属チームではアタッカーやゲームメーカーとして活躍し、第二戦のベネズエラ戦では右のワイドトップでプレーをした。

 CB起用を言い渡されたのは、チュニジア戦の2日前のことだった。そして、前日練習で初めてCBのポジションに立った。

「ほぼぶっつけ本番でした。でも、自分の中でチャレンジしたいと思った。決勝トーナメントも決まっていたので、思い切ってチャレンジしようと」

 自分の可能性を信じ、中野雅臣(東京Vユース)はCBとして世界の舞台に立った。最初はぎこちなさがあったが、徐々にコツを掴んだのか、プレーの精度が高くなっていく。182?とフィールドプレーヤーではナンバーワンの高さを生かして、空中戦ではフィジカルに優れるチュニジアアタッカー陣と対等に戦い、さらに得意のパスセンスを生かして、最終ラインから攻撃を組み立てた。

「相手が1トップで、CBのどちらかがフリーになるので、余裕を持ってボールを持てたし、運ぶこともできた」

 前半終了間際に失点はしたが、後半に入るとラインコントロールやカバーリングも鋭さを増してきた。

「ボールを持っている相手選手が、蹴る状態なのか、それともボールを運ぶ状態なのかを意識して、裏をカバーするのか、足元でのインターセプトを狙うのかを考えながらやりました」

『相手を見る』という吉武監督のコンセプトをしっかりと実践し、時には味方のパスミスから生まれたピンチを、見事に読み切ってスライディングクリアするなど、目立ちはしなかったが、90分間、急造CBとは思えない働きを見せた。

「1回しか練習をしていない状態で臨んだ割には、僕的には凄く満足しているというか、意外とできるなという印象でした。これでパイが増えたので、これからの真剣勝負になる時、どっちを取るかのチョイスになった時に、選択肢が増えた」

 吉武監督がこう讃えたように、2−1の逆転勝利の陰には、とんでもないぶっつけ本番を、周りの期待以上にやってのけた彼の存在があった。

文●安藤隆人