<サッカー>北朝鮮チームのゴールに大きな歓声…水原FCが涙の敗北「私たちは大韓民国のチーム」
20日、アジアサッカー連盟(AFC)女子チャンピオンズリーグ準決勝が行われた水原(スウォン)総合運動場。水原FCウィメン(韓国)とネゴヒャン女子蹴球団(北朝鮮)が激しい雨の中で激戦をした。
前半にゴールの枠に2回弾かれるなどネゴヒャンを圧倒していた水原FCは、後半4分に鈴木陽(日本)の先制ゴールでリードした。しかし体力が落ちないネゴヒャンのチェ・グムオクとキム・ギョンヨンに後半10分と22分に連続ゴールを許した。後半34分には池笑然(チ・ソヨン)がPKを失敗し、1−2で敗れた。
23日に同じ場所で行われる決勝戦へのチケットをネゴヒャンに譲ることになった。ネゴヒャンのキム・ソンオクとチェ・ヨナが激しいタックルで警告を受けるなど肉弾戦が繰り広げられた。チェ・グムオクは「私たちのチームが団結すれば準決勝も決勝も問題はない」と語った。
両チームは前日の記者会見でも総合格闘技(UFC)の計量を控えたファイターのように神経戦を見せた。ネゴヒャンのFWキム・ギョンヨンが無表情な顔で「人民と父母兄弟の信頼、期待に応えるために全力を尽くす」と宣戦布告した。水原FCウィメンの攻撃型MFチ・ソヨンは「北朝鮮の選手が暴言を吐けば言い返し、蹴ってくれば蹴り返す」と語った。
昨年11月のグループステージでの対戦も激しいタックルと暴言が飛び交う「銃声なき戦争」だった。2017年4月に南北女子サッカー代表の女子ワールドカップ(W杯)予選が行われた金日成(キム・イルソン)スタジアムの入り口には武装した軍人が配置されていた。ピッチに立つ前の待機スペースのトンネルの雰囲気も、互いに銃を手にしていないだけで戦場のようだった。北朝鮮の選手が「殺していこう!」と叫ぶと、池笑然は「私たちも殺そう!」と対抗した。すると「引き裂いて殺そう」という言葉が返ってきた。実際、北朝鮮の選手は韓国のGKキム・ジョンミの頭部を故意に殴った。
2019年10月に平壌(ピョンヤン)でサッカー南北男子代表チームが激突したW杯予選ではMF黄仁範(ファン・インボム)が北朝鮮の選手に顔を殴られた。北朝鮮の選手らは「この野郎」という荒々しい言葉を浴びせ続けた。孫興慜(ソン・フンミン)は帰途に「選手たちがけがをせずに帰ることだけでも大きな収穫」と発言した。
しかし南北サッカー試合が常にこのような雰囲気だったわけではない。2015年8月に中国武漢で開催された東アジアカップの表彰式の直後、趙昭賢(チョ・ソヒョン)ら韓国選手らは、1998年生まれで同じ年齢の北朝鮮のFWナ・ウンシムと仲良く写真を撮影した。当時ナ・ウンシムが「私に会いたかったと聞いたが、どうして話しかけてくれなかったのか」と親しげに話しかけると、趙昭賢は「うん、なんとなく…みんな平壌に住んでいるのか」と明るく応じた。これにナ・ウンシムが「平壌に住んでいる。髪の毛はなぜ切ったのか」と返し、少女たちのような会話を続けた。
ナ・ウンシムはAマッチ100試合を達成したクォン・ハヌルに「おい、お前はずいぶん長く(代表に)いるな」と冗談を言った後、「一つの民族、一つの血筋であり、統一さえすれば私たちは一つのグラウンドでできる」と話したりもした。趙昭賢は「北の選手たちは試合に負けたら本当に炭鉱に連れて行かれるのではないかと本気で心配したこともある」と打ち明けた。
しかし11年が経過した今、南北サッカー姉妹による「自撮り友情」は色あせた思い出にすぎない。選手たちの言葉や表情、行動からはもう「一つの民族」「一つの血筋」は全く感じられない。南北対立状況が長期化し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「敵対的な二つの国家関係」を宣言した状況で、北朝鮮の選手にとって韓国は打倒すべき敵にすぎない。
凍りついた南北の政治的葛藤はグラウンドさえも格闘技のリングへと変えた。対北市民団体などで構成された共同応援団はこの日、「わが選手、頑張れ」と書かれた横断幕を掲げて「ネゴヒャン!」と叫んだ。しかしネゴヒャンのゴールが決まった時により大きな歓声を上げるという奇妙な光景が演出された。
水原FCのパク・ギルヨン監督は試合後、「ホームアドバンテージが大きくなかったのでは」という質問に対し、涙ぐみながら「私たちは大韓民国のサッカーチーム、水原FCウィメンだ。試合ではずっと悔しい思いをした」と率直に心境を語った。ネゴヒャンのイ・ユイル監督は「激しい試合だったのであまり意識していなかったが、(韓国の)住民のサッカーへの関心は高いようだ」と言葉を控えた。
