【新華社合肥5月6日】中国安徽省亳州(はくしゅう)市は後漢末の時代、「三国志」の英雄・曹操の生まれ故郷であり、「神医」と呼ばれた華佗(か・だ)のふるさとでもあった。現在は「全国薬膳の都」の称号を持つ。

 「曹操が美食家、養生家であったことはあまり知られていない」。安徽省の無形文化遺産「薬膳製作技芸」の第5代伝承者、懐凱(かい・がい)さんは、曹操が編さんした「四時食制」は食事を通じた養生を季節ごとにまとめた世界初の美食専門書だったと指摘。華佗については、生活習慣で健康を改善する「未病を治す」という理念を食事に取り入れ、中国薬膳の基礎を築いたと説明した。

 華佗は慢性的な頭痛を抱えていた曹操に対し、中国伝統医学の「薬食同源」の知恵を活用して食事療法を処方した。魚の頭に茯苓(ぶくりょう)や当帰、天麻など32種類の生薬を加えて弱火でじっくり煮込むもので、曹操の頭痛の発作はこの食事療法により明らかに減少したという。「曹操魚頭」と名付けられたこの薬膳の処方は徐々に広まり、今に伝えられている。

 懐凱さんが経営する薬膳料理チェーン「懐養堂」でも「曹操魚頭」は既に40万食以上を売り上げている。特許を取ったレトルト製品も店舗と通販の販売数が年間数十万食に上る。

 薬膳は今、従来の飲食店の枠を越えて工場や電子商取引(EC)に広がり、より若者に受け入れられる姿で生活に溶け込んでいる。亳州市の食品会社、亳州亳食記餐飲管理ではマントウ(中華蒸しパン)や麺、しょうゆ、米酢、麻花(ねじり揚げ菓子)、おこげ、花茶、ミルクティーに至るまで原材料欄に生薬の名が並ぶ。

 高睦麟(こう・ぼくりん)董事長は、「黄帝内経」(中国医学の古典)に記された「五色は五行・五臓に対応する」という理念に基づき、桑の実と黒豆、桑の葉と茯苓、ナツメとクコの実など5色の薬膳マントウを開発したほか、全ての製品の研究開発に応用していると説明。2021年に3千万元(1元=約23円)だった同社の生産額はこの5年で5億元超に拡大したという。

 三国時代の軍営治療食から庶民の四季の食養生、さらには誰もが楽しめる新感覚の養生食。薬膳の移り変わりは中国の伝統食養文化が脈々と受け継がれていることを物語っている。(記者/朱青、劉美子、屈彦)