「モダンな部屋」の“モダン”って何? インテリア界で頻出なのに意外と知らない基本
インテリアの世界は、空前のモダンブームです。右を見てもモダン、左を見てもモダン、モダンモダンモダンモダン、ちくしょうモダンばかりではないか。
ならばモダンスタイルを作ればトレンディなのだろうと、部屋作りをしてもなかなかうまくいきません。そう、我々はそもそも「モダン」という言葉が何のことなのか、さっぱりわからないのです。
インテリアの頻出用語でありながら、どうにも正体不明のモダンという概念。一体全体どんなデザインのことをモダンと呼ぶのでしょうか。ざっくり大枠を覚えておきましょう。
◆最近生まれたばかりのデザインです
ウホウホ言っていた原始時代の頃から、人類はずっと地域に根差した伝統的な住まいで暮らしてきました。
ですが、18世紀から19世紀にかけて産業革命が起こり、大規模な技術革新によって、新しい素材を作れるようになり、工場で機械を使うこともできるようになりました。
おかげでいろんな製品を大量生産できるようになったけど、そのぶんチープな粗悪品も増えてしまいました。せっかく技術革新をしたのに、これでは素敵な社会がつくれません。
やがて西洋では、この流れに「ちょっと待てよ」と疑問を投げかける運動が生まれました。粗悪品をつくっている場合じゃないだろう。せっかく技術革新したのだから、今こそデザインというものをゼロから考え直してみるべきではないか?
過去のことはいったん全部忘れましょう。産業革命の技術がある前提で、現代文明にふさわしいデザインをゼロから考え直してみましょう。これがモダニズム運動です。
モダニズムで生まれたデザインのことを、インテリアの世界ではモダンと呼んでいます。なんとなく現代的なものがモダンなのではなくて、モダニズム運動で発祥したデザインをモダンと呼んでいるのです。
◆モダニズムが目指したのは「機能美」
モダン家具の特徴的なデザインは、この流れに由来しています。ゼロからデザインを見直すときに、関係者たちは本当に根っこのところから見直しました。建築や家財は、究極どうデザインするべきなのだろうか?
そうしてモダニズムがたどり着いたのが、「機能美」という考え方です。機能のない装飾は不要である。機能的に必要な構造だけで作られたデザインこそが美しいという、革新的な発想です。
昔ながらの伝統的な住まいは、豪華なシャンデリアをぶら下げたり、壁に彫刻をしたり、ソファの張地を花柄にしたりする、装飾・加飾こそが美しいという考え方でつくられていました。
だけどモダニズムはそうではなく、機能のない装飾は不要だと考えたのです。座りやすい椅子、使いやすいテーブル、過ごしやすい照明。あくまで機能ありきでデザインを考えて、機能のない装飾は追加しないのが信条です。
彫刻による装飾ではなく、構造上必要な形態そのものが美しい。花柄による装飾ではなく、素材そのものの素直な見た目こそが美しい。
だから、モダニズムはプロダクトの形に余計な手を加えません。単純な直線や曲線など、無駄な遊びのない「形の根源要素」を組み合わせてデザインをつくります。
クールな印象だとか、無機質な印象だとか、そういう評判を求めてモダンデザインが生まれたわけではなくて、禁欲的なデザインアプローチをしていたら、結果的にそんな感想が生まれたという順番なわけですね。
