配送業者「タワマン配達で駐車代3500円払った」投稿が話題! 実は駐車場代は“ドライバーの自腹”って本当!? SNSでは「配送拒否すべき」の声も…今後は“タワマン特別料金”が加算される?

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物流業界の深刻な人手不足により、「ネットで購入した商品が、送料無料で翌日には配達される」という、これまでの常識が徐々に崩れつつあります。配送にかかわるドライバーからは日々、過重労働による疲労などの声が上がるようになりました。   先日、SNS上で「あるタワーマンションに荷物を届ける際に、駐車代が4時間分で約3500円もかかってしまった」という配送業者の投稿が大きな話題になりました。配達に行っているのに駐車場代がかかるのかと驚いた人もいることでしょう。本記事では、なぜこのような事態が起きたのか解説します。

個人事業の軽貨物ドライバーは「駐車場代」が自腹になる

一般的なサラリーマンの感覚からすると、配送時の駐車場代は「業務の必要経費」となり、配送会社がドライバーに必要額を精算してくれるものだと思うかもしれません。しかし、ネット通販等の荷物を運んでいるドライバーの多くは、大手運送会社の正社員ではなく、業務委託を受けた「個人事業主(軽貨物ドライバー)」です。
個人事業主である彼らは、基本的にガソリン代や高速代、そしてコインパーキングの駐車代まで「全額自己負担」で仕事を受けています。
「配達時だけ、路肩に停めればいいじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、都心のタワーマンション周辺は駐車監視員の巡回ルートになっていることが多く、車両を数分間離れただけでも駐車違反の切符を切られかねません。
反則金は1回で1万円~1万8000円にもなり、もちろんドライバーの「自腹」です。このような状況下では、多少高い駐車料金(都心なら1時間あたり1000円超えの場合もある)であってもコインパーキングに停めるしかないでしょう。
投稿の内容によると、問題となった配送業務はタワマン1棟で50個以上の荷物配送をしなければならない上に、エレベーターは1機しか使えないため、慣れたドライバーでも2時間近くはかかるものだったそうです。
さらにこの日は新人ドライバーが担当したために普段の倍近くの時間がかかり、「駐車4時間分、約3500円」の負担が発生したとのことです。
個人事業主にとって数千円の経費支出は、小さなものではありません。このような出費が続く状況では、ドライバーが「タワーマンションにはなるべく配達をしたくない」と考えてしまうでしょう。

将来は配送料に「タワーマンション特別料金」「過疎地域特別料金」が加算される?

駐車料金以外にも、「タワーマンションへの荷物配送」はドライバーへの負担となる場面が多くあります。
一般的な住宅やアパートであれば、車を正面に止めて玄関のベルを鳴らす(または置き配をする)だけで済みますが、セキュリティレベルの高いタワマンであれば以下のような作業やタイムロスが発生します。
1. 駐車場から入り口までが遠く、受付の手間もかかる
駐車場に車両を停め、業者用の窓口を探し、入館証をもらい、入館者名簿に記帳する必要があると、それだけで数分のロスが発生します。
2. 貨物用エレベーターの渋滞によるタイムロス
タワマンの搬入用エレベーターは数が限られており、引っ越し業者や他の宅配業者と作業時間が重なると、エレベーターに乗るだけで10分~20分待たなければならないということもありえます。
3. タワマンの館内が広すぎる
タワーが複数棟に分かれていたりする場合は特に、長い廊下を歩いたり、複雑な構造を台車で(場所によって台車NGの場合は手持ちで)進む必要が出てきます。
こうした要因が重なると、最悪の場合は「1件の荷物(報酬は数百円程度)を届けるのに30分以上かかり、駐車料金だけで赤字になってしまう」という状況すら発生しかねません。
実際は同じタワマンに一度に多数の荷物を届けるため、荷物1個あたりの負担はそこまで大きくないということも考えられますが、タワマンへの荷物配送がドライバーへの負担になっていることは事実です。
今回話題となったケースでは、「50個の荷物を届けるのに約3500円の駐車料金が発生した」ことになりますので、荷物1個あたりでは約3500円÷50=約70円の負担になった計算です。
さらにエレベーター待機中の人件費などを加味すると、タワマンに配送する荷物1個あたり100円程度の「タワーマンション特別料金」が配送料に加算されることも、将来的に起きうるのではないかと筆者は考えています。
一方で、タワーマンションなどの集合住宅であれば「家から家」の移動時間はきわめて短く済むというメリットもあり、その面では住宅がまばらな「過疎地域」への荷物配送のほうがガソリン代や時間のロスが発生しやすいと言えます。
いよいよ物流の人手不足が深刻になると、過疎地域でも過密地域でも「配送料の値上げ」が起きてくるのではないでしょうか。

まとめ

SNS上で、「配送業者がタワーマンションにおける荷物配達業務中に約3500円の駐車料金を負担した」という投稿が話題になりました。個人事業主の軽貨物ドライバーにとっては、仕事中にかかるガソリン代や駐車料金などはすべて自腹になるため、タワーマンションへは荷物を運びたくないという意見が出ても不思議ではありません。
今後はさらに物流業界の人手不足が深刻になると予想されており、「タワーマンション特別料金」などが配送料に加算されるような状況も、ありえない話ではないのかもしれません。
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント