《脳の老化タイミング》ついにわかった…!「66歳と83歳で急速に老けます」ケンブリッジ大学の研究で判明

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「これまで人間の脳は、年齢を重ねるにつれて少しずつ変化していくものだと考えられていました。ところが我々の研究チームが約4000人の脳のMRIデータを調べたところ、人の知性は人生で4回、劇的な転換点を迎えることがわかったのです。

9歳、32歳、66歳、83歳という4つの年齢を境にして、人間の脳は異なるフェーズに入ります。そして32歳の時点からすでに老化は少しずつ始まっていて、66歳になるとそのスピードが急に速まってしまう。適切に対応しなければ、その機能はどんどん衰えてしまいます」

こう話すのは英ケンブリッジ大学教授で、認知神経科学の専門家であるダンカン・アストル氏だ。

'25年11月、イギリスの科学雑誌『Nature Communications』に驚くべき論文が掲載された。人間の脳は9歳、32歳、66歳、83歳を境に5つの段階に分けられ、質的に大きく変わることを明らかにしたのだ。それぞれの時期、人間の脳内ではどのような変化が生じているのか。アストル氏の論文を紐解きながら、解説していこう。

生まれてから9歳までは、脳内で情報をやり取りするネットワークが少しずつできていく時期だ。情報を伝える窓口となる神経細胞シナプスが、大量に作られては取り除かれ、スクラップ&ビルドをくり返して、脳内の神経回路が作られていく。

続く9歳から32歳までは、脳の異なる分野同士のネットワークが発達し、情報の伝達スピードも高まっていく時期だ。あわせて計算や会話に関する能力をはじめ、その人の環境や生活に応じたジャンル特化の機能も成長を重ねる。

30代で脳はピークに達し、安定してくる。この時期はひきつづき専門に特化した能力が伸びていく反面、情報を伝えるスピードは落ちていき、少しずつ脳の老化が進む。

抗えない加齢による「脳の老化」

そして66歳を過ぎたころから老化の速度は一気に高まり、情報伝達の効率が極端に落ちていく。

「この時期の人間の脳内では、局所的には神経同士のつながりが強くなるものの、分野を超えた統合は弱まってしまい、複数の領域を同時に使う作業が次第に苦手になっていく。言ってみれば、脳の各部位がてんでばらばらに働いてしまうわけです」(アストル氏)

'24年8月に発表された米スタンフォード大学の研究でも、人間の体は60歳前後から急に老化が進むと明らかにされている。65歳を過ぎると認知症患者が増えるのを見ても、その年代から脳が老いていくのは間違いない。

そして83歳に到達すると、老化のスピードはある程度まで落ち着く。ここから先は年齢より個人差のほうが、脳に大きな影響を与えるという。

こういった年齢による脳の老化は、抗おうと思ったところでなかなか難しい。しかしその流れを食い止めて、スピードを遅らせることは可能だ。東北大学教授で、脳科学が専門の瀧靖之氏が話す。

「60代以降、脳の体積が次第に減少していくのは間違いないですが、あくまでも一般的な傾向に過ぎません。日々の暮らし方を改善すれば、どの年代の人でも、脳の萎縮を遅らせることは十分に可能です」

【後編記事】『「脳トレがあなたの脳を腐らせる」英ケンブリッジ大学教授が警告…脳の老化をほんとうに防ぐ《最新常識》』へつづく。

「週刊現代」2026年4月27日号より

【つづきを読む】「脳トレがあなたの脳を腐らせる」英ケンブリッジ大学教授が警告…脳の老化をほんとうに防ぐ《最新常識》