Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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数々のJリーガーを排出してきた清水商業高校を前身とする「清水桜が丘高校」。市内有数の進学校「静岡市立高校」。静岡市は先日この2校を廃校にして特色ある新たな高校を作ると発表。驚かれた人も多いと思います。そこで今回のテーマはこちら「公立高校の再編教育現場で何が?」“廃校”を選択した事情とは…。

「静岡市立高校」と「清水桜が丘高校」の、2つの市立高校をもつ静岡市。

「静岡市立高校」は1948年に開校。市内有数の進学校として入学希望の絶えない人気校。

一方、2013年に清水商業高校と庵原高校が合併して生まれた「清水桜が丘高校」は、サッカーの名門校として前身の清水商業時代も含めて全国高校サッカー選手権に13度出場し3度の優勝を果たすなど数々のタイトルを獲得。

小野伸二や名波浩、川口能活などワールドカップに出場した日本代表選手も数多く輩出してきました。

地元からも愛される、そんな“伝統ある2校”ですが・・・

(静岡市 難波市長)
「今、市立の高校は2つありますけど、その2つではなくて、今度は独自に一つの学校を設置することにいたしました」

先週、難波市長がこの2校を“事実上の廃校”にして新たな市立学校を設置する方針を示したのです。

卒業生や在校生だけでなく市民にとっても衝撃が走る発表でしたが、この再編には、切実な理由が…。

(静岡市 難波市長)
「静岡市として一定の供給責任を担う必要があるということで、市立の高校を設置して教育・学習機会の提供に努めてきました。しかし、少子化が進む現状において供給量が過剰になりつつあります」

静岡市によりますと静岡市の15歳の人口は2024年3月末時点で5725人でしたが、2050年には約42%減少する試算だということです。

さらに4月からは私立高校の授業料の実質無償化も開始。それが公立高校にとって強い逆風となっているのです。

この2校の再編の検討に、市の委員会の委員長として携わってきた静岡大学の村山 功 名誉教授に、「今後、公立高校が置かれる状況」について話を聞きました。

(静岡大学 村山 功 名誉教授)
「いわゆる静岡高校のような上位校は変わらないと思うんですけど、他の選択肢となると今まで経済的な事情で私立を選べなかった人たちが私立を選ぶようになる。数の問題以外に、そういった子どもたちがどこの高校にいきたいかという選択が変わってくると思います。(生徒の数が)減っていく中で、多様性をどうやって公立の高校が持てるかというところがすごく大事な問題だと思っています」

そうした中、静岡市が構想する“新たな市立高校”は、「完全中高一貫の6年制」で、“後期課程”つまり高校の3年間は「単位制」で生徒は自分が興味のある分野を選択して、専門的な学習をすることができます。

市は2030年の開校を目指していて、2027年3月をめどに具体的な方針を発表する予定です。また、現在ある2校の移行時期などは現状未定だということです。

(静岡大学 村山 功 名誉教授)
「静岡市が私立の一貫校を持つということは、静岡市が求める人材を育成する点で他の市町とは違う教育を目指すことが出来る。中学から一貫で高校の単位制というのはあまりないかと思うので、そこの特色を生かすのが大事だと思います」

地域の人材育成の意味でも必要とされる公立高校。一方で、直近の公立高校受験の志願者数では県内全日制公立高校は90校162学科のうち69校96学科で定員割れしました。また、静岡県は現在の90校から2040年ごろまでに50から60校に減らす方針を示しています。

私立高校を選ぶ人が増える傾向の中、ある取り組み”を始めた公立高校があります。1937年開校、全国2位の広大なキャンパスを誇る県立富士宮北高校です。この学校のサッカー部が行っているのが…。

(県立富士宮北高校 サッカー部 海瀬 滝 監督)
「クラウドファンディングによって資金を集めさせていただいて、グラウンドの天然芝生化を目指しています」

来年、創立90年を迎える節目に、サッカー部が練習している砂のグラウンドを天然芝にする計画です。“学校の魅力”を高めようとクラウドファンディングを実施したのです。

(県立富士宮北高校 サッカー部 海瀬 滝 監督)
「学校が減っていくことはわかっていることなので、その中で、どうやって学校としての魅力を図っていくか、生徒が行きたいと思えるような学校にしていくかということが大事だと思います」

(県立富士宮北高校 サッカー部 冨永 陸太 主将)
「ここから入ってくる新入生とか、もっと下の代とかに使いやすい環境になってほしいと思います」

生徒の減少によって大きな岐路に立たされている公立高校。村山名誉教授は、「時代の変化に合わせた高校教育のあり方」を模索することが大切だと話します。

(静岡大学 村山 功 名誉教授)
「高校に進学してくる子どもたちが卒業した後に自分が望む人生を選べるように高校で色々な機会を与えることが高校教育の趣旨だと思います。私立は、それぞれ自分たちが目指す教育があって、それに合っている人が来ると思うが、公立の方は、いろいろなニーズを持った子どもたちが来ても受け入れて、それなりに機会を与えて卒業させるという役割を、これからもしていかないといけない」

(スタジオ)
(伊藤 薫平 キャスター)
静岡市民の皆さんにとっても決して小さくない衝撃が走ったと思うんですが、教育にお詳しい白井さん、全国的にもこの再編というのは待ったなしなんですかね?

(コメンテーター 社会起業家 白井 智子 氏)
そうですね、少子化というのと、人口構成を見ても明らかに高校生は減っていくことが確実という中で、伝統から考えると本当に寂しいですけれども…再編というのは、もう致し方ない流れかなと。プラス、いわゆる「個別最適な学び」が進んでいくという中で、普通高校離れというのが全国的にも進んでいますね。特色ある学校づくりをしないと生徒が集まらない…というのはどこでも、今言われているということです。

(伊藤 薫平 キャスター)
なるほど、ちょっとその特色の話に触れていきたいと思うんですけれども、改めて、静岡市は2030年に中高一貫校を設立へ。静岡県内で、この中高一貫校というのは結構珍しいんですよね、単位制ということになります。静岡市立高校、そして清水桜が丘高校は…OBの皆さん悲しいと思います…廃校、それぞれテニスが強かったりサッカーが強かったり元の特色はあるんですが、さらにこういった特色、「国際・グローバル」や「情報・理数」に特化を目指す…ということなんですね。津川さん、「選んでもらえる学校」になるために、まだ、ただ課題はありそうですよね?

(津川 祥吾 アンカー)
そうですね、少子化が進む中で、なおかつ特色のある教育を…プラス、地域でお子さんたちを育てる、あるいは地域で学んでもらう。そのために学校をどうやって維持するのかって…なかなか簡単な問題ではないと思いますね。

(伊藤 薫平 キャスター)
白井さん、普通高校じゃなくて特色のあるという中で、公立高校に再編されるケース、また求められるものも増えてくると?

(コメンテーター 社会起業家 白井 智子 氏)
そうですね、求められるものが増えてくると変わってきているという感覚があります。やっぱりAIが台頭して、どんどん生活の中に、社会の中に入っていっているという中で、ただ知識を入れて出すということだけだと、AIにはかなわないわけですよね。なので、より人間らしさとか…「手触り感」がある教育ですね。、実は「農業高校」だったりとか、あとは「高専」だったりとか…というのが、今人気が出ているというのは、そういう、いわゆる「手触り感」が求められている。その土地ならではの教育というのが求められているという流れの中にあるかと思います。

(伊藤 薫平 キャスター)
その「土地」で言いますと、静岡の現状…こんな感じなんですね。県立高校で言いますと、再編に向けた検討が進んでいて、2040年頃までに、現在の「90校」から…「50~60校」に減らす方針だということなんです。母校がなくなるという思いをされる人もいらっしゃると思うんですが…白井さん、これも全国的に公立高校再編って…今後どう進んでいくんでしょうか?

(コメンテーター 社会起業家 白井 智子 氏)
そうですね、数は減っていくという中で、でも、すごく大事なのは、子どもたちにとっての選択肢の幅を広げていくということ…。今までみたいに点数だけではなくてですね、自分らしさを伸ばしていける、自分の長所を伸ばしていけるというような、そういう選択肢を増やしていくということがこれから求められていくかなと思います。

(伊藤 薫平 キャスター)
あと、小学生、中学生のお子さんをお持ちの親ですね…私も本当に家族会議が開かれるレベルで、「今後、静岡市の学校どうなるんだろう」となったんですけれども…現場の、教育現場の現状を踏まえてですね、今後学校を選んでいくためのポイントはどうなりそうでしょうか?

(コメンテーター 社会起業家 白井 智子 氏)
今…入試の形も変わってきているんですよね。ただ、それこそ成績で序列並べて輪切りにするという形ではなくて、その人の個性を見たりとか、あとは人格を見たりとか…というような入試というのが、高校にも大学にも、どんどんどんどん広がっていますので、「その子らしさを育てる」ということ。あとは、「自分でその環境を選んだ」という感覚もすごく大事なので…、そういう「自分で選べるような選択肢」を、大人の社会の側が提供していくということが本当に問われていくと思います。

(津川 祥吾 アンカー)
私たち親の世代からしても、自分たちの子どもの高校の頃とはだいぶ変わっているという認識を…変えなきゃいけないということですね。

(コメンテーター 社会起業家 白井 智子 氏)
全く違うと思います。

(津川 祥吾 アンカー)
なるほど。

(伊藤 薫平 キャスター)
今の時代に合った学校選びというのが求められてくるのかもしれません。