(※画像はイメージです/PIXTA)

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家族のためにマイホームを購入する際、直面する「住宅ローンの返済期間」問題。家計の負担を考慮して、長いローンを組んで毎月の返済額を抑えるか、定年後に借金を残さないよう短いローンで多額の返済を選ぶか。本記事では、4,000万円の住宅ローンでジレンマに陥った40歳男性の事例を紹介。「35年ローン」を選びながら、たった18年で実質完済に持ち込んだ「ある方法」について、FPの斎藤和孝氏が解説します。

35年ローンは長い、25年ローンは毎月の支払いが高い

「定年後もローンを払い続けるなんて不安です。でも、これ以上毎月の負担が増えるのも厳しくて……」

Aさん(40歳・男性)は、妻と子ども2人の4人家族。マイホーム購入をきっかけに、4,000万円の住宅ローンを検討していました。当初は一般的な35年返済で借入れを考えていましたが、完済は75歳。定年後も返済が続くことに不安を感じ、「もっと早く返し終えたい」と考えるようになりました。

そこでAさんは、25年ローンへの変更を検討しました。しかし試算してみると、月々の返済額が大きく増え、家計への負担がかなり重くなることが判明。

これから本格的になる子どもの教育費や、日々の生活費を考えると、「返済を早めたい気持ちはあるが、今の生活が苦しくなるのは避けたい」というジレンマに直面してしまったのです。

「35年ローン」を組み、投資を並行する選択

住宅ローンの返済期間で悩む人は少なくありませんが、このジレンマを解消するための選択肢があります。

それは「無理に返済期間を短くするのではなく、あえて35年ローンのままにする」というものです。Aさんも、最終的にこの方法を選びました。

一見すると遠回りのように感じますが、明確な理由があります。35年ローンにして毎月の返済額を最小限に抑え、そこで生まれた“浮いたお金”を積立投資に回すのです。つまり、「借入」で手元資金の流出を防ぎながら、同時に「運用」を行うことで、効率よく資産形成を進めるという考え方です。

Aさんは最初、「借金を抱えながら投資をするなんて大丈夫なのか」と不安を感じていました。

しかし、長期・分散・積立の投資であればリスクをコントロールしながら資産を増やせる可能性が高いこと、そして現在の住宅ローン金利が非常に低いという客観的な事実を確認し、この手法に納得しました。

こうして、Aさんは35年ローンを組みつつ、同時に浮いた資金での積立投資をスタートすることになったのです。

結果的に18年で住宅ローン完済

Aさんは、35年ローンで毎月の負担を抑えながら、浮いた資金をコツコツと積立投資に回し続けました。市場の上下はあったものの、長期で運用を続けたことで資産は徐々に成長していきます。

そして18年後、驚くべき結果が訪れます。住宅ローンの残高と、積立投資で増えた資産額がちょうど同じくらいになったのです。つまり、投資で増えたお金を使えば、残りの住宅ローンを一括返済できる状態になっていました。

Aさんはこのタイミングで繰上返済を実行し、本来35年かかるはずだった住宅ローンを、実質18年で完済することに成功しました。

「早く返す=短いローンが正解」とは限らない

もし最初から25年ローンを選んでいた場合、毎月の返済負担が大きく、投資に回す余裕はほとんどなかったはずです。その結果、資産形成が進まず、予定通り25年かけて返済するしかなかった可能性が高いでしょう。もしかしたら返済不能に陥っていたかもしれません。

Aさんの事例は、「早く返す=短いローンが正解」とは限らないことを示しています。住宅ローンのような低金利の借入においては、無理のない返済期間を設定して手元の資金に余裕を持たせ、その資金を運用に回すという組み合わせが有効に働くケースがあります。

客観的な数字をもとに「自分にとって最も安全かつ効率的な返し方」の計画を立てることが、将来の安心を手にするための鍵となるでしょう。

斎藤 和孝

株式会社ベリーライフコンサルタント

ファイナンシャル・プランナー(CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)