日本で作るにはまだまだ課題の多い「バイオ燃料」! けっきょく精製に電気を使うならEVのほうが有利

この記事をまとめると
■脱CO2の切り札として注目されるのがバイオ燃料だ
■モータースポーツでもバイオ燃料が利用されるなど実用化に向けた活用が進められている
■食物の自給率や資源の少ない日本ではまだまだバイオ燃料への課題が多い
すでに実用化されている国もあるバイオ燃料
バイオ燃料とは、生物を由来とする燃料をいう。たとえば、トウモロコシやサトウキビといった食用の植物から実用化されている。有名なのは、ブラジルで永年にわたり日常的に利用されているアルコール燃料だ。ブラジルではサトウキビを利用し、ガソリンに混ぜて使っている。発端は、1980年代の石油危機だ。ほかにも、ひまわりや菜種の油を使う例もある。こちらはどちらかといえば軽油の代替だ。
近年では、農業や林業から出る廃棄物としての麦や稲のわら、枝、葉などを利用する例も出ている。さらには、古紙などの繊維質、使い終わった食用油、家畜の糞尿などの利用も進められている。

食用の作物や、紙の原料となる植物は、成長の段階で二酸化炭素(CO2)を吸収し、酸素を排出する光合成により成長するため、CO2の削減に効果がある。それを燃料の原料として使うのであれば、植物が吸収したCO2がもとに戻るだけなので、大気中のCO2の総量を増やさずに済む利点がある。
食用油も、もとは植物を原料としているので、同様といえる。草食の家畜の糞尿もまた、食べた飼料は植物が基なので、同じ循環といえる。
原料として幅広い分野からエタノールを入手すれば、需要と供給を管理できる可能性が高まる。これを実現するため、モータースポーツの分野でエタノールを活用する動きがある。国内のツーリングカーによる耐久レースや、海外では、パリ・ダカール・ラリーの参加者が利用する例もある。世界的な関心事だ。

ただし、技術的にできることと、実用化や普及につながるかどうかは、わけて理解する必要がある。その課題とは?
そもそもトウモロコシやサトウキビは、人間の食料でもあり、トウモロコシは家畜の飼料としても不可欠だ。そうした作物をクルマの燃料に使うとなれば、耕作地にゆとりがなければならない。たとえば、ブラジルなどのように、食料自給率が高く(ブラジルは100%を超えている)、耕作地に食料以外の作物をつくる余裕がなければならない。食糧自給率が数十年前から40%を切る日本では、十分な量を賄うのは難しいのではないか。
それならと、海外からバイオ燃料を輸入したのでは、船舶であろうと航空機にしても、運搬にCO2排出が必要になるので脱CO2にはならない。

バイオ燃料の前提は、国産で、かつ地産地消の循環をできることが条件のひとつになる。
バイオ燃料の製品化には多くのエネルギーが必要となる
次に、さまざまな原料からバイオ燃料としてエンジンで使える品質で製品化するには、エネルギーが必要だ。多くは電力だろう。もしそれを火力発電に依存するなら、電気自動車(EV)で使う電力の質が問われるのと同じ話になる。
再生可能エネルギーを使えばいいという案もあるかもしれない。だが、耕作地の課題を紹介したように、食料自給率が極度に低い国内で、太陽光発電のメガソーラーなどに厳しい目が向けられているのが昨今の動向だ。風力発電にしても、鳥の衝突などを含め、自然界との折り合いに課題がないわけではない。

ならば、原子力発電に依存できるかというと、国内では懸念する声が残る。もし原子力発電への依存を認めるなら、EVでいいだろうという話にもなる。バイオ燃料は、やりかたによっては脱CO2に役立つが、燃料を燃やす以上、排出ガス中の有害物質は残り、大気汚染(健康被害)への影響はなくならないからである。排気を浄化するといっても、現在のエンジン車でさえ100%除去はできていない。一方のEVは、有害物質も含め排出ゼロだ。
バイオ燃料は、エンジン車を残しかつ脱CO2にもなると聞こえはいいが、ことに日本においてそれを実行するには、課題が残るのである。








