グラフィックデザイナーの西出弥加さんと訪問介護の仕事をする光さん夫妻は、夫婦ともに発達障害という特性をもちながら結婚。別居婚ながらも仲良く暮らしています。今回は自炊を全くしなかった夫が自炊するようになったきっかけについて教えてくれました。

発達障害夫婦の日常。自炊できなかった夫が料理をするようになった理由

 

出会った頃はまったく自炊をしなかった夫ですが、現在は自炊をしています。どのようなきっかけで料理をするようになったのか聞いてみました。

●夫の家には便利なアレがない

 

別々に暮らしている私たちですが、夫の部屋には炊飯器と電子レンジがありません。なぜこの2つがないのでしょうか。夫本人に聞いたら、その2つの使い方が簡単すぎて、電子レンジでチンして食べられるお米とレトルト食品しか食べなくなり、絶対に料理をしなくなるから、とのことでした。

 

夫のADHDの性質である飽き性な癖が大きく影響し「いちばんラクな方法」をとってしまい、主にお米のみを食べて野菜などはまったく食べなくなるそうです。

とはいえ、本音は野菜も食べたいし自炊をしたい気持ちはあったそう。そこで、夫ならではの驚きの行動に出ました。

●便利な家電は手放した。簡単な料理を覚え、自炊が日課に

野菜も好きだし自炊をしたいので、ラクに調理できない部屋にしようと決心して炊飯器と電子レンジを人に譲ってしまいました。極端に思える行動ですが、ここまでしないと本人はまた甘えてしまい“お米だけを食べすぎ生活”に戻ってしまうとのことでした。

そこで、調理道具は鍋だけにしたそう。

電子レンジと炊飯器がある頃は「食材を買い、切ったり煮たり、焼いたりする」という一連の行動が面倒だと思えましたが、その行動しかできないキッチンになり、むしろ料理をするようになったということです。
しかし料理といっても特段難しいことはしていません。

●ラクを手放したら、夫の食への興味がアップ!

野菜を切ったり煮たりする簡単な料理です。炊飯器を手放したことで炭水化物をやめ、自宅では野菜や果物をたくさん食べる生活になりました。

そうなってから、買い物のとき、さまざまな食材に興味を示し、たくさんの食材を料理に取り入れるようになりました。今では体調がよくなったそうです。

 

私は鍋で炊くご飯もおこげができて好きなので、たまに夫の家にいくとお鍋でお米を炊いて一緒に食べています。

夫は家電をなくすことで、手にとる食材の幅が広がり、以前よりも楽しそうにご飯を食べています。今では私が食材について教えてもらうことも多いです。