“不適切タンブラー”で大炎上の韓国スターバックス、法的処罰の可能性は?商品破壊・廃棄の不買運動騒ぎも
スターバックスコリア(SCKカンパニー)が5.18民主化運動の記念日に実施したタンブラー割引イベントが、韓国国内で大きく物議を醸している。
論議が収拾がつかないほどに拡大すると、新世界(シンセゲ)グループのチョン・ヨンジン会長は5月18日夜にSCKカンパニーのソン・ジョンヒョン代表解任に踏み切った。
新世界グループのキム・スワン副社長は翌19日午前、事態の収拾と謝罪のため光州(クァンジュ)の5.18記念財団を訪れた。しかし、財団側と公法3団体は「国民への謝罪と徹底した経緯把握が前提だ」として面談そのものを拒否した。
李在明(イ・ジェミョン)大統領も自身のX(旧ツイッター)に「低俗な商売人の非人間的な振る舞いに憤りを感じる」とし、「当然、それに見合う道徳的、行政的、法的、政治的責任を負わされるべきだ」と強調した。
法曹界や政治圏の一部からは、今回の事態の責任者を「5.18民主化運動等に関する特別法(5.18特別法)」で処罰すべきだとの指摘も出ている。

2021年に改正された5.18特別法は、情報通信網などを利用して5.18民主化運動に関する虚偽の事実を流布した者を、5年以下の懲役または5000万ウォン(日本円=約527万円)以下の罰金に処すと規定している。
法改正後、SNSやオンラインコミュニティに「5.18は暴動」「ヘリ射撃は捏造」といった投稿をしたネットユーザーが相次いで裁判にかけられたり、ユーチューブ配信で「北朝鮮軍の介入」などの虚偽事実を流布したサラン第一教会の特任伝道師に懲役6カ月の実刑が言い渡された事例もある。
しかし、複数の刑事専門弁護士は、現在までに判明している内容だけでは、今回のスターバックスの事態に5.18特別法を適用して処罰するのは容易ではないとの見方を示している。この法律が、5.18民主化運動に関する誹謗・歪曲・捏造ではなく、具体的な「虚偽事実の流布」のみを処罰の対象としているためだ。
ある刑事専門弁護士は「スターバックスの行為は5.18に関する具体的な虚偽事実を摘示したのではなく、卑下や揶揄に近い。そのため処罰の構成要件を直接満たすのは難しい」と診断した。
イベントの担当者や責任者を侮辱罪で刑事処罰することも簡単ではない。
侮辱罪の場合、公然性、特定性、侮辱性のすべてを満たす必要がある。しかし、5.18を「タンクデー」と表現し、パク・ジョンチョル拷問致死事件を連想させる「机にドン!」というマーケティング文章を付けただけでは、被害者を「特定」したと見なすのは難しいというものだ。
別の刑事専門弁護士は「侮辱罪は親告罪であり、被害者の特定が不可欠だ」とし、「5.18の遺族を原告として、スターバックス法人を相手に精神的損害賠償を請求して争う余地はある。ただ、この場合も法人の“過失”や“違法性”を立証するのは容易ではなく、訴訟による実益も大きくない」と指摘した。
セウォル号沈没事故の発生日にも不適切なイベントスターバックスの事態に対して刑事責任を問うのは難しいが、道徳的責任は決して軽くない。
光州全南(クァンジュ・チョンナム)追悼連帯は同日、「スターバックスが繰り広げた『タンクデー』マーケティングは、光州市民と民主主義を守り抜いた国民すべての心に拭い去れない傷を残した」とし、「今回の事態を単純なハプニングとして片付けようとするなら、光州市民は強力な市民的審判と不買運動に乗り出すだろう」と警告した。
6.3地方選挙の光州地域の出馬者たちは、特別法の改正後も5.18に対する嘲笑や事実の歪曲が繰り返されているとし、虚偽事実の流布だけでなく、誹謗・歪曲・捏造まで処罰できるよう法を再改正すべきだと声を上げている。
スターバックスコリアに対するオンライン上での不買運動も拡散する兆しを見せている。
スレッズなどのSNSには、スターバックスのタンブラーやマグカップを破壊・廃棄する動画や投稿が相次いで上がった。特に、5.18イベントに先立ち、セウォル号沈没事故があった4月16日にも「ミニタンクタンブラーデー」を実施していた事実が明らかになり、論議はさらに激しさを増している。

李大統領が「行政的責任」に言及しただけに、地方自治体の公共契約や各種行事からスターバックスを排除する行政措置が必要だという意見も出ている。
今回の事態が政治的・社会的な波紋に発展したことを受け、新世界グループは超強硬な対応に乗り出した。ソン代表とともにイベントを企画・主管した担当役員も解任され、関連する役職員全員に対する懲戒手続きが開始された。
チョン会長は19日午前、別途、韓国国民への謝罪文を発表し「5.18民主化運動の記念日に、あってはならず容認もできない不適切なマーケティングを行った」と公式に謝罪した。
米国のスターバックス本社も同日、「5月18日の光州民主化運動記念日に合わせ、韓国で容認しがたいマーケティング事件が発生したことに対し、深くお詫び申し上げる」とし、「経営陣の責任に対する措置が取られ、徹底した調査が進行中だ」と発表した。
(記事提供=時事ジャーナル)
