「マグネシウム」がアーモンドより多い”ナッツ”はご存じですか?管理栄養士が解説!

マグネシウムが多いナッツは?メディカルドック監修管理栄養士が一日の摂取量・効果・不足すると現れる症状・不足しやすい人の特徴・過剰摂取すると現れる症状・効率的な摂取方法などを解説します。

監修管理栄養士:
都々地尾 ゆき(管理栄養士)

介護老人保健施設で給食管理や栄養管理業務等、約10年間従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は同施設で栄養ケアマネジメント業務やおやつレクを担当しています。日々の食事を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

「マグネシウム」とは?

マグネシウムは、人体の構成に必要なミネラルの一種で、骨や歯の形成や補酵素として代謝に関与しています。また、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調節にも役立っています。
体内には約25gのマグネシウムが存在し、そのうち50~60%が骨や歯に含まれ、残りは筋肉や脳・神経に存在しています。

マグネシウムの一日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、18~64歳成人の1日の推奨量として、男性では340~380mg、女性では280~290mgが設定されています。また、妊婦の付加量として、+40mg/日が定められています。また、通常の食品以外からのマグネシウム摂取量としての耐容上限量が、成人の場合350mg/日と設定されています。

マグネシウムの効果

骨や歯を形成する

マグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。体内のマグネシウムの約50~60%が骨や歯に貯蔵されています。骨の中に入るカルシウム量を調節し、骨の形成に関与しています。

筋肉を動かす

マグネシウムとカルシウムは、互いに作用し合い筋肉を動かしています。細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇し、筋肉繊維(アクチンとミオシン)の収縮が起こります。マグネシウムイオンは、筋肉の収縮に使われたカルシウムを元の場所へ押し戻す働きをします。この働きにより、筋肉がリラックス(弛緩)した状態に戻ります。

血圧の調整に関与

マグネシウムは、カルシウムとともに血圧を調節しています。マグネシウムは血管を弛緩させて血圧を下げ、カルシウムは収縮させて血圧を上げる働きをしています。

マグネシウムが多いナッツは?

ブラジルナッツ

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、ブラジルナッツ(フライ/味付け)には100gあたり約370mgのマグネシウムが含まれており、ナッツ類の中でも特に豊富な食品の一つです。ブラジルナッツはアマゾン川流域を中心に収穫されるナッツで、1粒が大きく食べ応えがあります。マグネシウムに加えて、不飽和脂肪酸やビタミンE、各種ミネラルも含まれています。一方で、リンなどのミネラルも比較的多く含まれるため、腎機能に不安がある方などは摂取量に配慮することが望ましいでしょう。

アーモンド

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、アーモンド(いり/無塩)100g中に、マグネシウムは310mg含まれています。アーモンドは手軽に食べやすいナッツで、ビタミンEやミネラル、食物繊維も含まれています。1日の適量は明確には定められていませんが、20~25粒程度が適量と言われています。

カシューナッツ

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、カシューナッツ(フライ/味付け)100g中に、マグネシウムは240mg含まれています。市場で流通している物の多くは、加熱処理がされたローストナッツです。マグネシウムのほかに、不飽和脂肪酸であるオレイン酸も多く含まれています。

マグネシウムが不足すると現れる症状

食欲不振や脱力感

マグネシウムの摂取が一時的に不足しても、健康な人であればすぐに明らかな症状が出ることはありません。これは、腎臓が尿への排泄量を調節し、血液中の濃度を一定に保とうとする「恒常性(ホメオスタシス)」が働くためです。
しかし、慢性的な不足が続くと、低マグネシウム血症に繋がる恐れがあります。エネルギー代謝がうまく働かないことで疲れやすさや活力の低下を感じるようになり、初期徴候として食欲不振、吐き気、眠気、脱力感などが現れることがあります。

骨や歯への影響

骨からマグネシウムが溶け出す際に、同時にカルシウムも溶け出してしまいます。血液中のマグネシウムが不足すると、体は骨に蓄えられたマグネシウムを溶出させて血中濃度を維持します。長期間の不足が続くことで、骨密度の低下につながる可能性があります。

筋肉の痙攣

マグネシウムが不足すると、筋肉の収縮と弛緩がうまく働かなくなる可能性があります。そのため、筋肉の痙攣やふるえ、こむら返りなどの症状が出ることもあります。

マグネシウムが不足しやすい人の特徴

消化器疾患がある人

クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、慢性的な下痢、脂肪吸収不全などがある場合、マグネシウムの吸収が低下しやすく、欠乏が起こる可能性があります。また、小腸(特に回腸)の切除歴がある場合には吸収効率が低下するほか、消化管からの喪失も増えるため、マグネシウム不足のリスクが高まると考えられています。

慢性的にアルコールを摂取する人

慢性的にアルコールを摂取する人は、マグネシウム欠乏に陥りやすいことが知られています。理由は複数の要因(アルコールによる食事摂取量の低下、嘔吐、下痢、脂肪便などの消化器異常など)が重なるためだと考えられています。また、アルコールが腎臓に影響を与え、本来必要なマグネシウムまで尿と一緒に大量に捨ててしまうことも原因の1つであるとされています。

2型糖尿病の人

2型糖尿病では、マグネシウム欠乏や尿中排泄量の増加が起こる可能性があるという論文がいくつか報告されています。これは、腎臓でのグルコース濃度の上昇により尿量が増加することに関係していると考えられています。
マグネシウム不足のリスクは、体質や生活習慣によって人それぞれ異なります。特に注意が必要なのは、上記の方々や高齢者です。これらの人々は、日々の食事からの摂取量が足りないと推測されており、さらに、病気や服用している薬の影響で、腸からの吸収が妨げられたり、尿として体外へ出る量が増えたりしやすい傾向にあり「入る量が少なく、出る量が多い」という状態が重なるため、健常者よりもマグネシウム不足に陥るリスクが高くなる可能性があると考えられています。

マグネシウムを過剰摂取すると現れる症状

軟便や下痢

マグネシウムを通常の食品から摂取する場合、過剰分は腎臓で調整されるため、健康な人において過剰症が問題となる可能性は低いとされています。一方で、サプリメントや医薬品など食品以外から多量に摂取した場合、浸透圧作用により腸管内の水分量が増加し、初期の有害作用として軟便や下痢が起こることがあります。このため、食品以外からの摂取には耐容上限量(成人で1日350mg)が設定されています。これらの症状は一般的に一過性で可逆的ですが、摂取量を減らしても改善しない場合や症状が強い場合は、医療機関への相談が推奨されます。

マグネシウムの効率的な摂取方法

カルシウムとのバランスを意識

マグネシウムはカルシウムとともに体内で働く栄養素であり、どちらか一方に偏らずバランスよく摂取することが大切です。特定の比率に明確な基準はありませんが、カルシウムの摂取量が多い場合は、マグネシウムも不足しないよう意識するとよいでしょう。

吸収を妨げる要因を避ける

アルコールの過剰摂取や加工食品中心の食生活は、マグネシウムの吸収低下や尿中排泄の増加を招く可能性があります。日常的にこれらの摂取を控えることで、体内のマグネシウム状態を良好に保てます。

ビタミンDと一緒に摂る

ビタミンDはミネラル代謝に関与し、マグネシウムの働きをサポートする役割があります。魚類やきのこ類などビタミンDを多く含む食品と組み合わせて摂ることが望ましいとされています。

「マグネシウムが多いナッツ」についてよくある質問

ここまでマグネシウムなどを紹介しました。ここでは「マグネシウムが多いナッツ」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

ナッツはマグネシウムが多く含まれているのでしょうか?

都々地尾 ゆき

ナッツ類にはマグネシウムが比較的豊富に含まれており、種類によって差はありますが100gあたりおよそ150~300mg程度含まれています。
日本食品標準成分表(八訂)によると、ナッツ類にはマグネシウムが比較的豊富に含まれており、種類によって差はありますが、100gあたりおよそ150~300mg程度含まれています。

アーモンドは1日どのくらい摂取して良いでしょうか?

都々地尾 ゆき

1日20~25g程度(手のひらに軽く一杯分)が目安として提案されています。
ナッツの1日の摂取量については、明確には定められていませんが、日本人の食事バランスガイドで示される嗜好品の量で考えると、1日20~25g程度(手のひらに軽く一杯分)が、目安として提案されています。また、海外の疫学調査で健康上の利点が報告されている摂取量を、日本人の一般的な体格や活動量に合わせて調整・解釈した際にも、20~25g程度が無理なく取り入れやすい目安として広く紹介されています。

編集部まとめ

マグネシウムは、エネルギー代謝や神経機能、骨の健康、血圧の調整などに関わる、体のバランスを保つうえで大切なミネラルです。特にカルシウムとのバランスが重要とされ、不足は生活習慣や健康状態との関連が報告されています。また、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。基本は食事から摂取することを心がけ、日々の食事の中でバランスよく取り入れていくことが大切です。

「マグネシウム」と関連する病気

「マグネシウム」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

骨粗鬆症

循環器系の病気

高血圧症

虚血性心疾患

内科の病気

糖尿病

神経内科の病気

神経過敏症

消化器内科の病気

便秘症

下痢

「マグネシウム」と関連する症状

「マグネシウム」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

吐き気嘔吐

食欲不振

眠気

脱力感

筋肉の痙攣

ふるえ

こむら返り

抑うつ感

軟便

下痢

参考文献

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書|厚生労働省

食品成分データベース 食品成分ランキング|文部科学省

厚生労働省eJIM | マグネシウム[サプリメント・ビタミン・ミネラル - 医療者]

「食事バランスガイド」の適量と料理区分|農林水産省

Office of Dietary Supplements - Magnesium