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大西洋を航行中のクルーズ船で感染が確認され、死者も出た「ハンタウイルス」。聞き慣れないウイルスですが、新型コロナウイルスと比べて感染率や感染スピードなどにはどんな特徴があるのでしょうか? 日本国内で広がる可能性や予防法をお伝えします。

■クルーズ船に乗っていた3人が死亡

森圭介アナウンサー
ハンタウイルスの集団感染が疑われているクルーズ船は、4月1日にアルゼンチンを出発しました。乗客・乗員合わせて約150人、乗客には日本人1人が含まれています」

「スイスに帰国した1人を含めて、これまで8人に感染の疑いがあり、そのうち3人からハンタウイルスの陽性が確認されました。陽性だった1人を含む3人の男女が亡くなったということです」

「感染の疑いがある人は船から搬送され、オランダなどで検査や治療を受ける予定だといいます。クルーズ船はアフリカの島国カボベルデの沖合に停泊していましたが、現在はスペイン領のカナリア諸島に向かっていて、今後、乗客の検査や治療が行われるそうです」

■感染に気づきにくいハンタウイルス

森アナウンサー
「厚生労働省やWHO(世界保健機関)などによると、ハンタウイルスは主にネズミなどが持っていて、ネズミの排せつ物に汚染された水などを摂取するなどして感染するということです。潜伏期間は1〜5週間。5週間の潜伏期間というのは非常に長いですよね」

忽滑谷こころアナウンサー
「自分の行動範囲をたどるのも大変なくらいの期間ですよね」

森アナウンサー
「症状は発熱・せき・嘔吐・下痢などで、初期症状は風邪やインフルエンザに似ているようにも感じるということで、ここでもなかなか気づきにくいのかもしれません」

「急速に症状が進行して重症化した場合には、呼吸不全を起こして死亡することもあるそうです。特効薬はなく、ワクチンも日本で承認されているものがないのが現状です。このウイルス、今はかなりニュースになっていますが、これまで聞いたことありました?」

鈴江奈々アナウンサー
「いや、今回が初めてです」

森アナウンサー
「日本でも感染例があります。国立健康危機管理研究機構によると、日本でも1960年代に119人が発症し、2人が亡くなっています。また、1970〜80年代にかけて127人が発症して 1人が亡くなっています」

「動物実験を通して感染が広がって、感染者が多くなったというようなことも言われています。ただ、感染症法が施行された1999年以降は国内の感染事例は報告されていません。ここからかなり時間が経っているので、聞いたことがない方が多いのかもしれませんね」

鈴江アナウンサー
「一方で、ネズミは都市部で暮らしていても時々見かけることもある身近な動物ではあるので、最近は感染報告がなかったというのは意外でもあります」

■2つの型で致死率に大きな違いが

森アナウンサー
「亡くなっている方がいるということなので、心配される方も多いかもしれません。WHOなどによると、ハンタウイルスは大きく分けて2つの型があります」

「1つ目がアジア・ヨーロッパ型で、アジアやヨーロッパで多く見られる型です。腎臓の障害や出血熱を引き起こす可能性があり、致死率が1〜15%未満と言われています」

「もう1つは南北アメリカ大陸型で、肺や心臓の炎症、呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。致死率は最大で50%とかなり高いですよね。気になるのが、ヒトからヒトへの感染があるのかということです」

「アジア・ヨーロッパ型は、これまでヒトからヒトへの感染は確認されていませんが、南北アメリカ大陸型には色んな株があり、アンデス株と呼ばれるものはヒトからヒトへの感染が確認されています」

「WHOは今回のクルーズ船の感染者からアンデス株を確認したと発表しています」

「ただ、国際医療福祉大学の寺嶋毅医師によると、アンデス株は濃厚接触した場合に飛まつなどから感染する可能性は考えられるものの空気感染はしません。『ヒトからヒトへの感染は非常にまれ』と話しています」

■新型コロナと比較すると…特徴は?

森アナウンサー
ハンタウイルスは新型コロナウイルスのように未知のウイルスではないので、ある程度対策も取りやすいということです。とは言っても、新型コロナウイルスは世界中にまん延しました。今後は感染拡大の可能性があるのか、心配される方もいると思います」

「新型コロナウイルスとハンタウイルスを比較します。厚労省やWHOなどによると、ハンタウイルスの潜伏期間は1〜5週間と長く、新型コロナウイルス(1〜14日)と比べて感染が広がるスピードが遅いというのが特徴です」

「また、感染率自体も新型コロナウイルスのような高さではありません。新型コロナウイルスは次々に変異株が広がりましたが、寺嶋医師は『ハンタウイルスは感染率が低いため、変異株が生まれたとしても広がることは考えにくい』と言っていました」

■感染拡大の可能性、予防法は?

森アナウンサー
「日本での感染拡大について、厚生労働省は6日、『感染拡大の可能性は低い』と発表しています。その理由としては、日本にはハンタウイルスを保有するネズミなどは生息していないということがあります」

「さらに、過去のアンデス株の感染事例でも、適切な対応で感染拡大を抑えることができました。仮に感染した乗客が日本に入国した場合でも、国内でヒトからヒトに感染が拡大する可能性は低いということなので、冷静に対応したいところですよね」

直川貴博アナウンサー
「私たちが冷静に状況を見続けることもそうですが、(クルーズ)船が陸の孤島となってしまっているので、その人たちの心情も体調も心配ですね」

森アナウンサー
感染症は目に見えない分、心配される方も多いと思いますが、どう予防すればいいのか。寺嶋医師は手洗い・マスク・アルコール消毒が有効だと言っていました。未知のものではなく対策も分かっているので、心配しすぎず、正しい情報を取ることが重要になります」

鈴江アナウンサー
「日本で(感染)拡大の可能性が低いということを心に留めた上で、まずはクルーズ船に乗っている皆さんが安全に戻ってこられることを祈るばかりですね」

森アナウンサー
「まずは厚生労働省などの公式の発表をよく調べて、冷静に対応してください」

(5月7日『news every.』より)