無数の星々が輝く宇宙の宝箱 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した球状星団「NGC 6540」
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した球状星団「NGC 6540」。いて座の方向、地球から約1万8000光年先にあります。画像全体に散りばめられた無数の星々が、まるでこぼれ落ちた宝石のように美しく輝いています。

球状星団は、数万から数百万個もの星々が互いの重力によって結びつき、球状に密集している星の集団です。
画面の中心付近に目を向けると、星々がとりわけ高い密度で集まっていることがわかります。個々の星が放つ光が重なり合うことで、ひときわ明るく輝いて見えます。
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、球状星団に含まれる星々は、一般的に宇宙の初期に誕生した古い星が多いとされています。これほど数多くの星が密集している球状星団の環境は、宇宙の悠久の歴史を感じさせる独特の空間といえるでしょう。
天の川銀河の歴史をひもとく鍵
ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 6540の観測は、天の川銀河の中心方向に分布する球状星団の年齢や形状、構造を測定する目的で行われました。
銀河中心部付近の天体の観測には困難が伴います。私たちの住む天の川銀河の中心付近は、ガスや塵(ダスト)に厚く覆われていますが、これらの星間物質は、背後にある星団からの光を遮るだけでなく、星の光を散乱させて色をわずかに変化させる性質があるのです。
そのような困難を乗り越えてでも、球状星団を詳細に調べることには意義があります。球状星団には天の川銀河の形成初期に関する重要なヒントが保存されていると考えられており、その観測は私たちの銀河がどのような歴史をたどり、どのように進化してきたのかを深く理解することに繋がるからです。
星々を飾る十字の「回折スパイク」
また、この画像でひときわ明るく輝いている星々は、十字の形をした光の筋を伴っています。これは「回折スパイク」と呼ばれる現象で、望遠鏡に入射した光の経路が内部の構造物によってわずかに回折(障害物を回り込む現象)することで生じる、光学的な現象です。
回折には副鏡を支える梁や反射鏡の形状などが影響するため、スパイクの様子は望遠鏡によって異なります。十字の輝きは、ハッブル宇宙望遠鏡の観測画像ならではの特徴的な装飾ともいえます。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」および「WFC3(広視野カメラ3)」で取得したデータを使って作成されたもので、ESA/Hubbleから2022年8月15日付で公開されました。
本記事は2022年8月16日公開の記事を再構成したものです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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