【独占密着】電動キックボードは厄介者?「LUUP」安全対策の苦闘:ガイアの夜明け

4月24日(金)に放送した「ガイアの夜明け」のテーマは、「独占!LUUPの野望〜街の厄介者か、救世主か〜」。
【動画】電動キックボードは厄介者?「LUUP」安全対策の苦闘
2025年の訪日客数は、過去最多を更新。都市部や観光地では交通への需要が急拡大し、「オーバーツーリズムによる混雑や渋滞」が深刻化している。
一方で、人口減少や少子高齢化に伴い、地方などでは公共交通が維持できない「交通空白」が問題に。
こうした交通課題の解決に取り組むのが、電動キックボードなどのシェアリングサービスを手掛ける「Luup」だ。
2025年、Luup CEOの岡井大輝さん(32)は、高齢者から若者まで、誰もが安全に走行できることを目指す3輪新型車両「Unimo(ユニモ)」を発表した。
LUUPは「利用者による安全な走行」という課題を克服し、交通インフラとして、広範な市民の理解を得ることができるのか――。
事業の正念場を迎えた岡井さんに、独占密着した。
LUUPの宿命…成長と安全の二兎を追う苦闘

東京・品川区に本社を構える「Luup」(従業員:256人)は、2020年に自転車のシェアリングサービスで事業を始め、2021年に電動キックボードを導入。東京など都市部を中心に拡大し、2026年3月、ユーザー数は600万人を突破した。
LUUPの電動キックボードは、車道時速20km以下、歩道(標識がある場合のみ)は時速6km以下で走行可能。「ポート」と呼ばれる街中の駐輪スペースで借りて、移動先のポートに返却するという仕組みで、利用者の約7割が20〜30代だ。
利用料は50円の基本料金、プラス1分ごとに20円(東京・大阪 ※その他エリア 1分ごとに15円)かかる。

Luupは約5万台の車両を投入し、ポートの数では業界トップを独走中。創業者は、東京大学農学部出身の岡井大輝さんだ。
岡井さんは、ダンスサークルの同期5人とLuupを立ち上げ、そのうち3人が今も経営の中枢に残り、会社の成長を支えている。目指すのは「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」ことだ。
新型コロナの感染が広がる中、サービスを開始すると、LUUPは“密を避けて移動できる”と急速に普及。
さらに追い風となったのが、2023年の道路交通法改正だ。16歳以上であれば、運転免許がなくても電動キックボードに乗れるようになった。
今では、北海道・沖縄を含む18都道府県で、約1万7000カ所にポートを設置している。

そんなLUUPに追い風が吹いていた。2026年1月から、京都府庁(京都市)で、職員の公務におけるLUUPの使用が可能に。京都府のLUUP導入は、地方自治体では全国初の取り組みだ。
外国人観光客の増加などで、バス乗り場の長蛇の列が日常的な光景になっている京都。京都府職員の中尾麻悠子さんは「移動の時間を考えると、従来の半分以下」と話す。

さらにLuupはこんな活動も。2026年1月16日未明、山手線と京浜東北線で停電が発生。始発から8時間以上運転を見合わせ、67万人以上の足に影響が出た。
この日、運転見合わせの裏側で動いていたのが、LUUPの車両管理部隊だ。
向かったのは、新橋駅近くのポート。ここでは電車の運転見合わせは影響しておらず、LUUPは満車状態。そこで2台だけ残し、残り11台をトラックに積み込み、車両が足りない上野駅近くのポートへと移動させた。
この時、東京郊外からの通勤客が多い上野駅や品川駅などでは、LUUPへの乗り換え組が急増。LUUP利用者は「便利で助かる」と話す。
この日、車両管理部隊は8時間の間に300台以上の車両を移動。結果、新規登録者は、前週の同じ時間帯と比べて8倍に増加した。

新たな交通インフラとして安心安全は最優先の課題だが、電動キックボードの普及には大きな懸念材料もある。
LUUPの安全性を巡っては、SNS上で「危ない 早く規制しろ」「ひかれそうになった」など、批判の声が噴出。あるタクシーの運転手は「厄介者に近いかもしれない。ルールがあって無いような感じ」と話し、「怖い。ある程度の規制をかけてもらわないと…」という歩行者の声も。
電動キックボードの利用者のモラルが問われる運転が目立つようになり、批判の矛先がLUUPにも向けられているのだ。
2024年に発生した電動キックボードなどの交通違反は、4万件以上。1年前から約5倍に増加した。
「悔しい。安全対策は死ぬ気でやっているし、やっていく。それが伝えられてない」(岡井さん)。
事業開始から6年…会社が急成長する中、岡井さんは正念場を迎えていた。

安全対策をこれまで以上に――。LUUPの安全性に厳しい目が注がれる中、岡井さんが交通安全統括責任者に抜擢したのが高木僚平さん(39)。大手広告代理店の社員を経て、4年前に転職した。

都市生活に適した利便性の一方で、利用者のマナーと安全への危惧が存続を脅かすLUUP。最大の課題と言えるのが「飲酒運転」だ。
日本全国で見ても、電動キックボードは自転車などと比べて、飲酒運転中の事故の割合が非常に高くなっている。
飲んだら乗るな――高木さんは、永遠の難題にどう立ち向かうのか。
さらにガイアは、終電がなくなった深夜、東京・渋谷区の繁華街でLUUP利用者の実態を取材した。
新しい乗りもの「ユニモ」にかける思い 実証実験で高齢者の反応は?

2025年8月下旬。「大阪・関西万博」の会場でLuupの岡井さんが公開したのが、座席がついた3輪の新型車両「Unimo(ユニモ)」だ。
電動キックボードや自転車と違い、高齢者でも乗りやすいことが最大の売りで、構想から6年かかった。
「こういうものを最初からつくろうとしていたが、思ったよりも時間がかかった。全年代の皆さんのために事業やっていると、今日から言えるようになる」。

今回、自動車部品大手「アイシン」(愛知・刈谷市)と組んで、試作品の完成にこぎ着けた。
この新型車両最大の特長が、車体が傾いた時に自動で姿勢が戻る起き上がりこぼしのような制御技術。片方の車輪が段差に乗り上げても瞬時にバランスを保ち、転倒しにくいのだ。カーブを走行する時も、傾きすぎないように姿勢を維持してくれる。

3月、栃木・宇都宮市。「Unimo」初の試乗会が始まった。乗るのは主に60歳以上の高齢者だが、果たして乗りこなせるのか――。
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