あらゆる世代から人気で連日大混雑のサイゼリヤ!″安いままで美味い″ワケ
サイゼリヤは、メニューを絞り込みながらも、イタリアから直輸入したエクストラ・バージン・オリーブオイルを使い放題にするなど、客を喜ばせる″大盤振る舞い″を同時に行っている。
捨てるものは捨てる、こだわるものはとことんこだわる--。このメリハリが、サイゼリヤの薄利多売経営を支えているのだ。「選択と集中」は、メニューのバリエーションだけでなく、店舗運営においても徹底されている。
利益の多くが海外!
こうした「選択と集中」の背景には、第2のカギとなる「圧倒的な流通網」が存在する。「セントラルキッチンで全国約1000店舗分の商品を製造、運搬してコストを抑えている」と言葉にするのは簡単だが、それを実現するためには途方もない数の障壁がある。事実、これほど大規模でありながら、海外からの食材の輸入、食品の製造、流通、販売をすべて自前で行っている飲食チェーンはサイゼリヤをおいて他にない。
「たとえば、『小エビのサラダ』などに使用されているレタスは、福島県白河市にある『白河高原農場』という自社農場で栽培し、それを同市にある自社工場へ運んで調理、パッキングを行って店舗に届けています。サイゼリヤはコールドチェーンを構築しているため、この間、徹底的な温度管理を行って食材を4℃に保っています。だからこそ、全国でいつでも新鮮なサラダを提供できるのです」(消費経済アナリストの渡辺広明氏)
サイゼリヤの自社工場は、国内だけに留(とど)まらない。たとえば、メニューブックにある看板商品『ミラノ風ドリア』の写真の横には、「オーストラリア自社工場製ホワイトソース」という文言が、『ミックスグリル』(650円)の横には「オーストラリア自社工場製牛100%ハンバーグ」との文言が添えられている。
「畜産大国であるオーストラリアに工場を持ち、原料となる牛肉や牛乳を調達している。自社で必要な分だけを生産することで長期保存が不要となり、高品質な食品を安定供給できる。中間マージンを取られないため、自社で価格を調整しやすいのも特徴です」(飲食業界紙記者)
自社工場での製造が困難で、やむを得ず食品を輸入する場合も、業者を介さずに直接取引を行っている。
「ピザなどで使われているチーズなどもイタリアから直輸入している。最も驚きなのがワインです。渋さ、甘さ、酸味のバランスが取れていて、誰もが親しみやすい味わいです。たしかにイタリアには日常的に飲まれている水よりも安価なワインもありますが、日本人に受ける品質のものをグラス一杯あたり100円で輸入できる調達力には脱帽ですよ」(前出・須田氏)
流通網がすごい
サイゼリヤは今年、中国・広州市に新工場を建設した。第3のカギ、「順調な海外店舗運営」を実現するためだ。
「実は、サイゼリヤは上海、広州、北京、香港、台湾、シンガポールなどに600店舗以上を展開しています。海外店舗もリーズナブルで大衆的なイタリアンレストランとして受け入れられていますが、国内店舗に比べると価格改定を柔軟に行いやすく、利益を確保しやすい。’24年8月期、サイゼリヤの海外事業の売上高は全体の約4割に過ぎませんでしたが、営業利益は全体の8割を上回る驚異的な数字でした。海外で大きな利益を稼げるからこそ、国内店舗でのギリギリの原価率を維持することができるのです」(前出・記者)
’73年創業のサイゼリヤは、これまでの半世紀で圧倒的な流通網を構築し、選択と集中を続けて小さな利益を積み上げ、業界内での圧倒的な地位を手に入れた。
「サイゼリヤは原価割れしてでも『ミラノ風ドリア』の300円を維持するでしょう。この看板商品を中心にサイドを数皿頼んで1000円以内で収める。この潮流は今後も続くはずです」(前出・須田氏)
サイゼリヤがある限り、庶民はインフレ状況下でも″安いままで美味い″外食を楽しめそうだ。
『FRIDAY』2026年4月17・24日合併号より

