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熊本地震から10年。観光都市・大分県別府市では、当時の教訓から外国人観光客への防災対応を強化しています。さらに「多言語」だけではなく、日本人同士でも起こりうる「方言の壁」をどう乗り越えるか各地で議論が深まっています。

【写真を見る】「多言語」「方言」問われる対応力 熊本地震10年、観光都市で「防災」新局面

「浴衣に裸足」混乱教訓に

2016年に起きた熊本地震では、大分県由布市と別府市で最大震度6弱を観測。建物被害は9600棟以上に上り、災害関連死で3人が亡くなりました。

別府市文化国際課 高木智香課長:
「熊本地震では、駅に観光客の方々が浴衣で着の身着のままでスーツケースをもって裸足でという状況もありました」

別府市は震度6弱の地震が発生した場合、一時的に滞在できる「指定避難所」を最大40か所開設し、観光客も受け入れます。また、被災後は多言語支援センターの設置や留学生との防災ワークショップなど外国人への対応にも力を入れてきました。

別府に訪れた外国人観光客に取材すると、地震に対する不安の声が聞かれました。

(旅行客)「地震は怖いですし、好きではありません」「幸いなことに、スイスでは地震はめったに起きません。でも日本では地震が起きるというニュースを時々耳にします」

地震を知らない外国人観光客

宿泊客の約7割が外国人という別府市のホテル「アマネク別府ゆらり」では、地震を一度も経験したことがない宿泊客も少なくありません。去年、市内で震度3の揺れがあった際には不安の声が寄せられたといいます。

アマネク総支配人 鎌田恭輔さん:
「深夜に揺れが強く感じた地震があったとき、宿泊客がフロントに来て、不安げにしていたことがありました。飲み物を出して話をして落ち着いてもらうほか、内線対応をしていました」

こうした経験から、同ホテルでは震度4以下の揺れであっても、必要に応じて「部屋の安全性」や「地震情報」を館内放送で伝える取り組みを始めました。

アマネク総支配人 鎌田恭輔さん:
「震度6、7は誰しもが経験しているものではなく、全く想像がつきませんが、寝袋や毛布の用意など緊急時に備える必要があると思います。まだそこには至っていないので、まずは計画の樹立を考えています」

「方言の壁」どう乗り越える?

一方で、災害時の「言葉の壁」は、多言語対応だけにとどまりません。日本人同士でも、見落としがちな課題があることが分かってきました。

東北大学大学院文学研究科 中西太郎准教授:
「能登方言で『しょうもない』という言葉は『塩味が薄い』なんです。共通語の意味で解釈してしまうと、たいしたことないと誤解を生むケースもあります」

東日本大震災をはじめ、熊本や能登でも『方言』が支援者と被災者のコミュニケーションに壁となったケースが起こりました。こうした教訓から東北大学大学院の中西太郎准教授は方言パンフレットを作成しました。

東北大学大学院文学研究科 中西太郎准教授:
「パンフレットをきっかけに、支援者と被災地の方がコミュニケーションを取ることが、継続的な支援において非常に重要です」

大分県内で宿泊した外国人客が去年およそ120万人と過去最多となる中、大規模災害時の言葉の壁は、温泉観光都市の別府だけでなく、日本全体の課題として浮上しています。